望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧




何でも喰う人々

世界には地域により、また民族により、様々な食文化が存在する。「えっ、そんなものを食べるの!」という食文化もあちこちに存在するが、それぞれの地域で、身近で入手しやすい“食材”を食べてきたという歴史の現れであったりする。 食文化は、保守的な面と、…




浅草紅団

昭和初期の浅草……瓢箪池があり、軽演劇のカジノ・フォウリーや活動写真館があり、東武鉄道の鉄橋は架橋中で河岸の隅田公園は工事中だった。円タクが走り、よいとまけの一団や浮浪人、小商い、救世軍、ズブ、ゴウカイヤ、グレ、猫取りなど様々な人間がひしめ…

食品偽装の誘惑

コシヒカリと表示しながら低級米を混ぜていたり、輸入肉を和牛として売ったり、他産地の肉を松坂牛など銘柄肉に偽装したりと業者による産地偽装は珍しくない。加工食品では原料表示や加工日、消費期限の偽装などがあり、レストランなどのメニューでは材料の…

ウナギの人気

日本各地に大小様々な水族館があるが、展示対象としてウナギはあまり人気がないようだ。大規模な養殖が行われているのだから、飼育は難しくないのだろうが、ゆったり泳ぎ回るジンベイザメやエイ、サメなど大型魚や極彩色の熱帯産の魚に比べて、夜行性のウナ…




外国での評価

世界各地で高く評価されている日本の技術、商品などを紹介する企画はTVでは珍しくないし、そうした趣向の番組もある。そうした技術、商品に関わる職人や企業に縁がない人でも、「ほ~、すごいものだ」と楽しんで見ているのだろうから、その種の企画が成立す…




英音楽の強み

2012年のロンドン五輪の閉幕式にはクイーン、ザ・フーが登場し、ほかにも若手や中堅のバンドや人気歌手らが次々と登場、歌い、演奏した。「イマジン」の時にはジョン・レノンの大きな顔がステージ上に作成された。開幕式でも多くのバンドやシンガーが登場し…




カードを増やす

囲碁を打つ人なら分かるだろうが、互いの石が競り合っている状況なのに、見当違いのところに石を置く棋士がいる。テレビの囲碁対局番組でそんな場面を見て、あれっと思うが、解説者は、数十手先になれば役に立つ石だと言う。相手の棋士も、仕掛けられた“ワナ…




実は生もの

遠足やレジャーなどの携行食として、おにぎりは日本では身近な存在だ。コンビニでは定番商品で、手軽な昼食には欠かせない。都会には専門店もあって、オシャレに変身したりもする(厳選素材だとかで価格は高めだったりするが)。災害時には、おにぎりは被災…

衰えた翻訳力

日本では言語状況も「グローバル化」が進み、カタカナ語の大幅な増加が続いている。明治以来、日本人は英語など欧米の言葉を適当な漢字を使ったり造語して翻訳し、新しい概念や技術などを吸収してきたのだが、翻訳の過程は欧米の言葉の意味するものを日本語…




お友達

国際協調を重視する日本人が日本政府の外交を批判する時に、しばしば持ち出されるのが「日本にはアジアに友人がいない。アジアに友人を増やす外交が必要だ」との言葉だ。波風が立っていない時でも、中国や韓国との関係には常に緊張をはらんでいるような印象…

孤独な死

死後の世界のことは、生きている人間には分からない。手がかりは何もないのだから、想像をたくましくして考えるしかない。各宗教にはそれぞれの来世観があり様々だ。中には、絶対的な神が存在していて、人間の現世での行動・生き方を裁くので、誰もが“天国”…




並ばないぞ

行列が嫌いだ。せっかく店に来てあげた客がなんで、突っ立ったまま順番が来るのを待たなければいけないのかと腹が立ってくる。椅子などが用意してあって、座ってお待ち下さいというパターンも面倒だ。1人、2人と店内に入るたびに、座っていた連中は腰を浮…

無人島に持っていくもの

「無人島に1枚だけCDかレコードを持って行けるとしたら、何を持っていくか」との問いは、頻繁に聴く愛聴盤か最も高く評価している作品は何かを尋ねている(無人島には電気がないだろうから、CDやレコードを持っていっても音楽を聴くことはできないのだが)…





「歴史問題」を葬る

日本は歴史に真摯に向き合って来なかったとの批判がある。満州事変から太平洋戦争までの日本の「戦争責任」から目をそらしてきたなどという論だ。歴史的に敗戦国は世界に数多あり、それらの国が戦勝国の言いなりに数十年も「懺悔」し続けていたものなのか?…





阿Qの今

現代の中国の地方都市に阿Qが生きていて、2012年のような反日デモを見かけたなら、面白そうだと飛び入り参加しただろう。デモが日系デパートなどに対して投石などを始めれば、阿Qも加わり、入口を破って店内に人々がなだれ込めば、阿Qも遅れじとなだれ込…

時代についていけない

森喜朗氏の「不適切」な女性蔑視発言は、日本社会で女性の地位が低い状態のままであることを可視化した。さらに世界の男女平等ランキング(ジェンダーギャップ指数)で調査対象156カ国のうち日本は120位であり、指導的地位にいる女性の割合が少なすぎること…

生態史観

梅棹忠夫氏が1957年に発表した「文明の生態史観」は、斬新な発想で歴史を俯瞰し、世界を新たな視点でとらえ直した論文だ。近代西洋だけが文明で、他は、近代西洋に至る歴史の発展段階の過程を歩んでいるという図式を拒否し、環境や歴史的条件などにより文明…





レクサスの「迷走」

トヨタがプレミアムブランドとして育てるレクサス。1989年から展開を始めたアメリカでは高品質ブランドとしての評価を確立したようだが、欧州では地元の高級車ブランドが強く苦戦気味だという。日本では2005年からブランド展開を始めたが、ベンツ、BMWなど輸…





C級グルメ

B級グルメというと、街中の飲食店で食べることができる、安くて美味しい料理をさす言葉として定着した。高級なレストランや割烹などで出される料理をA級グルメとし、それより安いのでB級としたが、美味しい日常食として肯定的に評価した言葉なので、料理…

機動的な対応に失敗

まん防とは「まん延防止等重点措置」の略称である。これは「地域の感染状況に応じて、期間・区域、業態を絞った措置を機動的に実施できる仕組み」(内閣官房HP)で、「集中的な対策により、地域的に感染を抑え込み、府県全域への感染拡大を防ぎ、更に全国的…

善悪の「基準」

全能で唯一の神が存在し、最後の審判があるとした場合、その神は最後の審判で、どのような基準で人間を裁くのだろうか。その基準を人間は知ることができるのだろうか。 全能の神が創造したという人間世界で、人間は相互に争い、時には殺し合う。大規模な自然…

ラジオ体操

ラジオ体操というと、子供の頃の運動会や夏休みの朝を思い出す人が多いだろう。でも多くの人にとってラジオ体操は、大人になるとともに縁遠くなる存在だ(工場などでは、始業前などに皆で行うところも珍しくないが)。そのラジオ体操が、実はダイエットに効…

中国人の愛国主義

愛することは普遍的な行為で人類が共有するものだが、誰を愛するか何を愛するかは個人の選択に任される個別的なものだ。愛するという普遍的な行為は、現れる時には個別的で特殊なものとなり、それは多彩で様々な形態や展開となる。もちろん、ある個人を複数…

決定した未来?

2012年版「高齢社会白書」によると、日本の総人口は1億2780万人(2011年10月1日現在)で、65歳以上の高齢者人口は過去最高の2975万人(男性は1268万人、女性は1707万人)。総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は23.3%となる。うち75歳以上人口は1…

マネジメントの違い

アメリカとイタリア、日本でそれぞれマネジメント講習を受けたというデザイナーの奥山清行さんによると、管理職がミスした場合、アメリカでは「ミスを訂正してもいいが、謝るな」と教え、イタリアでは「訂正するな。謝るな」と教え、日本では「訂正して、謝…





ドキュメンタリーの手法

1970年11月25日、東京・市谷の自衛隊市ヶ谷駐屯地で楯の会会員5人が東部方面総監を人質にして立てこもり、バルコニーから、隊員に決起を求める演説をした三島由起夫はその後に自決、続いて森田必勝も自決した。若松孝二監督作品「11.25 自決の日 三島由紀夫…

感染拡大の波状攻撃

フランスはパリなどで続けていた外出制限や店舗休業を全土に拡大し、学校を遠隔授業に切り替えた。850万人以上(国民の1割強)がワクチンを接種したが、感染力が強い英国型変異ウイルスによる感染加速で新規感染者数が6万人(3月31日)にもなる状況では、…





不正ばかり

とある週末、のどかな昼下がりにチャイムの音。誰かが訪ねて来る予定はなかったので、新聞の勧誘か何かのセールスかと思って玄関のドアを小さく開けると、こざっぱりした身なりの中年の女性が1人、「まあ、ドアを開けていただいて、ありがとうございます」…

ゴジラの老後

東宝映画「ゴジラ」が公開されたのは1954年(昭和29年)だから、67年前のこだ。水爆実験により太古の眠りから目覚めた大怪獣だとも、核実験の放射線で恐竜が変異した生物だともされるゴジラは、体長50mという巨大な体を持ち、海から東京に上陸してビルなどを…