望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

欧州で感染が再拡大

世界で新型コロナウイルスの感染拡大は続いている。感染者数は3300万人を突破(9月28日現在。以下同)し、回復した人は約2300万人で治療中の患者は約910万人。死者数はほぼ100万人という惨状だ。感染しても大半の人は軽症ですむともされるが、誰が重症化す…

黒人と人権

米ミズーリ州セントルイス郊外ファーガソンで2014年8月9日、白人警官が黒人青年を射殺した。警察発表では、警官と黒人青年が言い合いになり、もみ合いで警官が暴行を受け、黒人青年が警官の拳銃を奪おうとし、警官が発砲に至ったという。射殺された青年と…

「のたれ死に」は難しい

若くて健康で、独り身で気ままに暮らしている時なら、自分の最期について「俺は、のたれ死にするから」と言ってみることは簡単だ。その「のたれ死に」の言葉には、孤高を貫いて孤独に死んでいくというようなロマンチックなニュアンスさえ漂ったりする。自分…

水戸黄門の正義

1969年から2011年まで42年間も放映されていた「水戸黄門」というテレビドラマがあった。「世の為、人の為になる時代劇」というコンセンサスのもとに誕生した(TBSの「水戸黄門」公式サイト)との位置づけだ。黄門様一行が全国を旅し、不正や悪を暴いて悪…

女性の閣僚

日本の新しい内閣では女性閣僚が2人だったので、「少ない」「少なすぎる」などの批判が現れた。女性閣僚が少ないとの批判は組閣のたびに繰り返されてきたが、一向に女性閣僚が増える気配はなく、日本の強固な男性支配社会の象徴にも見え、女性活躍社会なる…

誤報を恐れるな

スキャンダルというと日本では、芸能人らの恋愛沙汰や金銭トラブルなど“醜聞”をさすイメージだが、もともとは汚職事件、疑獄などを意味するし、英和辞典によると「スラム街は我々の町の恥である」(The slum is a scandal to our town)などとも使われ、不名…

全能の神の存在

この世界をつくった全能の神がいて、その神が人間をもつくったとする。人間にとって全能の神は、自分たちを生んでくれた親みたいな存在なのであるから、あがめる対象となるのが自然のはずだが、そうはならなかった。この世界には全能の神の存在を信じない人…

カメラ市場の縮小

インターネット上には人々が世界中で撮った写真があふれている。そのほとんどは、おそらくスマホなどで撮って投稿したものだろう。スマホのカメラは機能アップを続け、わざわざデジタルカメラを買う必要はなくなった。かつてデジカメの国内出荷台数は1億2…

1時間に100ミリ

最近は、月に何回かは日本のどこかが豪雨に襲われているという印象だ。2013年から気象庁が運用を始めた特別警報が出ることもある。特別警報は、「大雨、地震、津波、高潮などにより重大な災害の起こるおそれ」があり、警報の発表基準を「はるかに超える豪雨…

上から目線

いつ頃から使われるようになったのか知らないが、すっかり定着した言葉に「上から目線」がある。誉め言葉ではなく、相手のエラソーな言い方や、他人を見下したような態度を批判したりする時に使う。相手の言ったことに対する反論というより、自分と対等なは…

生きているだけで丸儲け

幼い子供を失って親などが憔悴している様子を、「かける言葉が見つからない」と表現することがある。そんな状態で心が悲しみで溢れている人にとっては、どんな慰めの言葉だろうと心にとめる余裕がないだろうし、亡くした子供のことしか考えていないことが傍…

田舎ぐらし

ストレス要因が多い都会で生活する人々の中には、豊かな自然に囲まれてマイペースで生きる田舎暮らしに対する憧れを持つ人がいる。鳥の声で目覚め、畑で野菜を育てたり、野山を散策したりしてすごすという暮らしは穏やかだろう。欲しいものがあればネットで…

日の出・日の入り

最近は夕方6時にはすっかり暗くなる。夏には夕方7時でも明るかったことを思うと、ずいぶん日の入りが早くなった。朝も、夏には4時頃には明るかったのだが、最近では5時過ぎになって、ようやく明るくなるなど、日の出も遅くなった。外が明るい時間が短く…

責任を負う不条理

2014年に朝日新聞は慰安婦報道をめぐり、誤報があったことと、それを長年放置したままであったことを認めた。第三者委員会の初会合では、1)慰安婦に関する過去の記事の作成、今回の記事取り消しに至る経緯、2)今年8月5、6日付朝刊に掲載した特集紙面…

現状追認と大義

バーレーンがUAEに続いてイスラエルと国交樹立に動いた。アラブ圏でイスラエルと国交を樹立する国はエジプト、ヨルダンに続く4カ国目。イスラエルとの仲を取り持ったのは米トランプ大統領で、大統領再選に向け、イスラエル寄りの中東和平への環境づくりを進…

聖なる存在

寒山拾得(かんざんじっとく)とは寒山と拾得のことで、「2人とも詩禅一如の生活を送り、その挙動すこぶる奇矯であったという。後世、禅画の好題材となったほか、文芸・芸能の材ともなった」(大辞林)。寒山は「中国、唐代の伝説的な詩僧。拾得とともに天…

観ることができない李香蘭の映画

「カサブランカ」とか「望郷」「自転車泥棒」「市民ケーン」「天井桟敷の人々」「風とともに去りぬ」「第三の男」などの名作洋画DVDが10作品入って約二千円前というボックスセットが書店などで売られている。ほかにも西部劇、ミュージカル映画、ジョン・…

議論の成果

幕末の頃、攘夷派と開国派、倒幕派と佐幕派などに対して誰かが「殺し合いは止めて、話し合いで日本の方向性を決めましょう」と呼びかけ、公開討論会のようなものが実現したとしても、冷静な議論が成立したかは疑問だ。自分らの主張が絶対に正しいとし、相手…

新型コロナと陰謀論

世界には、新型コロナウイルスの危険性は誇張されていると主張する人々がいる。実際に感染者や死者は世界で増え続けていると報じられるが、PCR検査でウイルスの増殖回数を増やし感度を過剰に上げて感染者数を増大させているとか、コロナ以外の持病などで死ん…

天動説的な仮想世界

地動説を支持したことでローマ教皇庁から異端審問を受け、有罪を言い渡されたガリレオ・ガリレイは、「それでも地球は動く」とつぶやいたとされる。この言葉は後世の創作だともいうが、時の権力がどんなに圧力を加えようとも科学的真理が揺らぐことはないと…

言葉を換えると

中国共産党の中央理論機関誌の2014年版で、「西側は常に自らの民主主義が『普遍的価値』だと誇示し、民主主義に別の形があること否定している。西側の民主主義は本質的に欠陥があり、『普遍的価値』ではない。むやみにまねることは惨事につながる可能性があ…

腹話術とマスク

マスクをつけていると商売ができなくなるのは腹話術士。腹話術士は口を動かさず、しかし、声がどこかから聞こえてきて、腹話術士が持っている人形の口が動いて、あたかも人形が喋っているかのように見せるのが芸だ。下手な腹話術士は口が動いてしまって誰が…

太陽信仰

久々に会った友人と一献酌み交わしていたら、ポツリと「朝起きると、窓から東の空に向かって、手をあわせるンだ。太陽が見えることもあれば、雲がうっすらと明るくなっているのが見えるだけのこともあるし、雨降りのこともある。でも、東の空に太陽があるの…

季節を告げる虫

日本各地での桜の開花日を気象庁が“決めている”ことは、余計なお世話にみえる。自然の移り変わりを気象庁が「桜が開花した」「梅雨入りした」「鶯が初鳴きした」などと宣言するのは、おこがましい。でも、近場の観光地での開花宣言を知ると、「そうか。観に…

ドキュメント「パンデミック8月」

世界における新型コロナウイルスの感染者数は8月1日の1761万人から31日には2510万人と約750万人増えた。死者数は1日の67万9千人超えから31日には84万3千人超えへと16万人以上増えた。日本では感染者数が1カ月で3万人以上増え、欧州各国でも感染者の増…

サケの代わりにブリ

函館港内で9月1日、イワシが大量死して浮いているのが見つかり、漁師や市職員らが回収・撤去作業に追われた。大量死していたのは港の奥のプレジャーボートなどを係留している岸壁近く。イワシは「津軽海峡でイナダに追われて港に逃げ込んだものの、水温が…

自由な言論・自由な表現

ウェブサイトに日本語で書いた記事が朴槿恵大統領に対する名誉毀損にあたるとして2014年、韓国の検察当局が産経新聞前ソウル支局長を起訴した。日本では、言論の自由に対する侵害であると“立場”を超えて批判が広まったが、中には、大統領の「7時間の空白疑…

危機感に温度差

「国連の気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は2014年に発表した統合報告書で、地球温暖化の深刻な悪影響を避けるために、温室効果ガスの排出量を2050年までに10年比で40~70%削減し、今世紀末に排出量をほぼゼロにする必要があるとした。 今世紀末…

集中から分散へ

新型コロナウイルスの感染拡大により様々な行動変容を強いられた人々はまた、「これって、なくてもOKなんだ」と数々の見直しできるものがあることに気がついた。例えば、都会での通勤。リモートワークで業務に支障がないと明らかになってしまうと、朝早く起…

危機感を煽る

危機感を煽るという手法は、演説や論説、ブログ、エッセイなどで広く蔓延している。危機感を煽ることには、聞き手を浮き足立たせ、自説への冷静な検証を抑制する効果もある。危機感を煽る当人は、切実な警告を発しようと“使命感”が先走るのかもしれない。で…