世界の人口は81億1900万人となり、2023年より7400万人増加した(国連人口基金の世界人口白書2024。初めて80億人台に達したのは2022年11月)。インドが14億4170万人で最も多く、中国14億2520万人、米国3億4180万人、インドネシア2億7980万人、パキスタン2億4520万人、ナイジェリア2億2920万人、ブラジル2億1760万人、バングラデシュ1億7470万人と続く。日本は1億2260万人で12位。
世界の人口が60億人を超えたのは26年前の1998年。1950年には約25億人だったが、1960年に30億人台に達し、1975年に40億人台に乗り、1987年に50億人台に達した。70億人台に乗ったのは2011年。1950年に約25億人だったので、80億人に達した2022年までの72年間で3.2倍に世界人口は膨張した。
2020年の世界人口は78億2095万人だったが、この年の宗教人口はキリスト教が23億8000万人、イスラム教が19億人、仏教は5億人とされる。3大宗教の信者数は合計で約48億人で世界人口の約62%を占める。これは世界の人々のおよそ3人に2人は3大宗教の信者ということになる(ヒンズー教信者は11億6000万人で仏教徒より多いが、信者はほぼインドに限定されるので世界3大宗教には含まれない)。
信者といっても信仰の度合いは様々だろう。聖書やコーラン、仏典に書いてあることを全く疑わずに信じる信者から、神や仏は信じるけれど聖典などの記述を鵜呑みにはしない信者や、科学的知識を備えていて聖典などに書かれていることは架空の物語だと受け止める信者まで信仰の実態は広く分かれるだろう。信仰の度合いは様々であっても、その神や仏を信仰する人々は信者と見なされる。社会で生きるために必要だったり有利だったりするため多数派の宗教の信者になっている人も含まれよう。
世界に膨大に存在する信者たちだが、信仰に入った経緯は様々だろう。何かの宗教の信者になることを自分の意思で選択した人から、親や家族や集落の信仰を受け継いだ人、何かの宗教の信者になることが当然とされる社会に生まれ、その宗教を自然に受け入れた人など多彩に分かれる。宗教的な環境で生まれ育った人々はその宗教の規範に則った生き方を続けてきただろうから信者であることは当然で、宗教が選択の対象ではない場合もあるだろう。
宗教は信者に価値観を与える。キリスト教とイスラム教と仏教が与える価値観は、それぞれに「よき生き方」を説くなど共通する部分もあるが、大きく異なる部分もある。イスラム教は信者の日常生活を強く律し、社会に規範を与え、国家のあり方をも方向づけるので、イスラム教国の多くは世俗国家とは見なされない。イスラム教の信者とキリスト教や仏教の信者に要求される信仰のあり方も大きく異なる。
3大宗教は神や仏の実在を肯定するので、それぞれの信者も神や仏の実在を肯定する(神や仏の実在を否定する人は信者にはならない)。だが、神や仏の実在は証明されず、神や仏の存在は信じることによって担保される。神や仏の存在を感じるという人々も信者に含まれるだろう。神や仏の実在を考える人々よりも、神や仏の存在を信じたり感じたり疑わない人々が現在の世界で6割強と多数派であることは、理性や知性だけでは動かない世界の状況を理解するための重要な前提だ。