望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

秋葉原型の無差別テロ

車が暴走して歩道に乗り上げ、歩行者を死傷させるという出来事は珍しくはない。原因は様々で、危険ドラッグなど禁止薬物の摂取や飲酒、突然の病などで運転手が正常の意識を失い、車をコントロールできなくなって暴走し、歩行者を死傷させるという事件は日本…

最期になって回心

回心という言葉を「えしん」と読むと仏教用語になり、「改心し、仏道に帰依すること」になるが、「かいしん」と読むとキリスト教の用語になり、「従来の不信の態度を改めて、信仰者としての生活に入ること」を意味する。どちらも、単なる入信ではなく、それ…

仮説と検証

テレビやインターネット、新聞、雑誌などに大量の通信販売の広告が溢れている。それらの広告を出した後、各社は、どのような商品が売れるか、どのような見せ方が効果的か、どのような説明が効果的かなどを常に検証して、顧客のレスポンスがいい商品や訴求法…

価値観の共有

普遍的な価値観とは、国家や民族、宗教などを超えて人類が共有する価値観のこととされる。とはいえ、普遍的な価値観を決定する明確な基準はなく、共有する国家が多い価値観が普遍的とされる。現在では、近代になって世界的に大きな影響力を持った欧米的価値…

「愛国者」という道化者

かつて軍国主義教育が全国で強制されていた時代に教えられていたものの中にある、例えば、「父母に孝」「夫婦相和し」「朋友相信じ」などというのは、時代を超えて受け継がれるべき徳目であり、民主主義が定着しただろう現在においても教えることに問題はな…

国境の壁と万里の長城

人間が作った最大の建造物は、中国の「万里の長城」だとされる。2000年以上前から諸王朝が、北方からの外敵の侵入に備えて各地で構築を続けた壁で、全長は2700キロとか6000キロとか8800キロとか様々な数字が出されていたが、最新の発表では2万1000キロ以上…

分断して統治する

英国は植民地において、少数民族を支配者側に登用し、多数民族を被支配者とすることで反感を少数民族に向けさせたり、宗教を利用して対立を煽ったり、社会に存在する差別を利用して被差別者を優遇することで多数派の反感を被差別者に向けさせたり等々、植民…

動物農場

馬や牛、豚、羊、鶏、犬など農場の動物たちが、懸命に働いているのに収穫は人間のものとなる一方で、鞭打たれたり、産んだ子供を売られたり、卵を産んだり乳を出すことを強制されることが不満だと意識し始め、怠惰な農場経営をする農場主らを追い出し、動物…

公共交通のあり方が不鮮明

過疎化が進む地方でJRの赤字路線が次々に廃線になっていくが、赤字路線を維持する解決策は実は簡単だ。沿線の人口を増やし、鉄道に乗る人数を増やせばいい。そうすれば鉄道事業は採算がとれるようになり、廃線せずに運行を続けることができよう。問題は、鉄…

米中の妥協

米中は貿易交渉を巡る「第1段階の合意」文書に署名した。この合意は①知財保護、②技術移転の強要禁止、③農産品の非関税障壁の削減、④金融サービス市場の開放、⑤通貨安誘導の抑止、⑥輸入拡大、⑦履行状況の検証の7項目から成る。 この合意が実行に移されると中…

キャラクター化する車のデザイン

街中で奇妙なデザインの車を見かけることが多くなった。例えば、「C-HR」は過剰な甲羅をつけて走っているようにも見える造形で、これは何だと注目を集める存在感があることは確かだが、何らかの機能性を感じさせるデザインではないし、空力などからの必然性…

善悪で見る

高度な知能を持つ地球外生命が大挙して地球に押し寄せてきて、地球を乗っ取るために人類を絶滅させようと襲い始め、さあ大変、圧倒的な攻撃力の差で人類の危機だ。そんな時に、戦いに巻き込まれていた人物が地球外生命の弱点を偶然知って、反撃を開始し、地…

歌手の評価法

上手に歌うことはプロの歌手として当然だと思われがちだが、何を歌っても上手な人がいる一方で、プロとしては声域が狭かったり声量に制約があったりして歌う曲が限られる人もいるし、見た目は可愛いけれど音程が不安定で素人レベルの人もいる。自作の歌を個…

民意を示す

国家権力を握っている人たちは民意が明確に示されることを嫌い、恐れる。自分たちの意のままに権力を行使することが、民意が示されることによって制約され、時には自分たちが民意に反していると明らかになったりして、権力を担う正当性が失われると退場に追…

主権在民にふさわしい憲法は

国家の主権が、王侯貴族や特権階級、軍など限られた一部の人間にあるのではなく、広く人民にあるとする国家にふさわしい憲法は、第1章で主権在民を宣言する憲法であろう。ところが現行の日本国憲法は第1章が天皇の位置づけで、第1条は「天皇は、日本国の…

機能する議会にするために

国会審議が形骸化しているという批判は以前からある。予算案や法案の審議よりも閣僚らの不祥事や疑惑、不適切発言の責任追及を野党が優先したりする一方、野党が法案に関し具体的想定に即して質問すると政府がまともに答えなかったりする。与野党の一方にだ…

「知る」こと

神の存在を「信じる」人は多いが、それらの人が全て神の存在を「感じる」かどうかは定かではない。おそらく神の存在を「感じる」人は神の存在を「信じる」人よりも少ないだろう。神の存在を「知る」人はさらに少なく、皆無かもしれない。 同様のことは、死後…

もっと権力を縛る憲法

現行の日本国憲法は立派なものだが、現実との乖離があり、それが憲法の地位を揺るがし、緊張感をもたらしている。第九条で「戦争の放棄」「戦力の保持及び交戦権の否認」を定めているが、現実には自衛隊という強力な軍事組織が存在しており、自衛隊の存在を…

欧米が問題を設定

日本でも、LGBTの人々を肯定的に取り上げ、社会で受け入れようと啓蒙する記事が増えてきた。LGBTの人が急に増えたのか、黙っていた人々が声を上げるようになったのか、それともメディアが積極的にLGBTの人々の取材を行うようになったのか。LGBT関連の記事が…

ジャズとは何か

カフェやレストラン、居酒屋など飲食店で、小洒落た雰囲気を演出するための道具としてBGM(背景音楽)によく使われるのがジャズだ。ジャズといってもスタイルは多彩で、ムード音楽に近いものからハードバップ、クール、フリー、フュージョン、ファンクなど様…

温暖化という葵の御紋

オーストラリア南東部で大規模な森林火災が続いている。昨年9月から多数の森林火災の発生が相次ぎ、懸命な消火活動も火災の勢いを止めることができず、焼失面積は1000万haを超え、住宅2000棟以上が焼失し、死者は26人にもなっている。乾燥と強風が森林火災…

確率を見ないから不安になる

何か良くないことが起きるかもしれないとの不安は誰にもある。その不安の対象は様々だ。自分や家族の健康や経済状態などから住環境のこと、職場などでの人間関係から新法で個人の自由や権利が制限される懸念、さらには日本の巨額の国債発行やら近隣国の軍事…

空間の破れ

夜空の星を見ていると、例えば北極星までの距離は434光年(約323光年という説もある)とされ、この宇宙はとてつもなく大きいなあと感じる。宇宙の全体の大きさがどれくらいかは想像もつかないが、果てしない空間が続いていることは間違いない。さらに、宇宙…

懐メロ番組でも口パク

歌謡曲のファンだがJ-POPには興味がないという友人は、歌謡曲をたっぷり聴くことができる懐メロ番組のファンだった。酒を飲みながら往年のヒット曲を聴いていると、気持ちがのんびりして来て、「こいつ、すっかり老けたな」とか「歌がうまい。やっぱり、圧倒…

熊との付き合い

山菜やタケノコを採るために山林などに入った人が熊に襲われるという事件は毎年、各地で起きている。熊は臆病な動物で人間を恐れるから、人間がいることを熊に知らせると、警戒した熊が近寄って来なくなるので、鈴やラジオなどを携帯して音を出すことが有効…

赤いカラス

ある人物(A)が「赤いカラスを見た」と言った。他には誰も赤いカラスを見た人はおらず、見たとAだけが言っている。この場合の事実とは、Aが「赤いカラスを見た」と言ったことであり、赤いカラスの存在が事実であるとは確認されていない。しかし、マスメディ…

温暖化論の不都合な真実

温暖化が進行すれば地球環境が大きく変化して様々な災いを惹起するとの焦燥感や、温暖化の進行を止めなければとの使命感などに支えられてか、米国のパリ協定からの離脱は「正義」に背くものと糾弾する雰囲気が漂う。温暖化論は科学的な仮説であるが、世界規…

自分で状況を変える

中国ファーウェイCFOの孟晩舟副会長は2018年12月にカナダで、米国の要請により逮捕された。容疑は、米国が経済制裁を科すイランに製品を違法に輸出したり、違法な金融取引に関わったこと。米国は引き渡しを求めるが、カナダの裁判所は孟氏の保釈を認めた。検…

それでも新聞を読みたいという需要

実家が朝日新聞を購読していたので子供の頃から朝日新聞が身近にあったという友人は、親元を離れて社会人になって以来、朝日新聞を購読し続けていた。社会人なら新聞を購読するのが当然だと思い、子供の頃からの親近感もあって朝日新聞を購読していた。 その…

政治家が活用する印象操作

辞書によると「印象」とは「①見たり聞いたりした時に対象物が人間の心に与える感じ、②心に残っていること」で、「操作」とは「①機械・器具などを動かして作業させること、②自分に都合の良い結果が得られるように手を加える」こと。「操作」の②の用例で「株価…