望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

事実と解釈と分析

メディア・リテラシーとは、新聞やテレビ、インターネットなどのマスメディアに乗る情報を理解し、事実関係の真偽、見解の妥当性などをチェックしつつ必要な情報を引き出す能力。マスメディアが流す情報を受け入れるだけでは、多くの知識を持っていたとして…

人口減少と地方都市

166年前の1854(安政元)年3月に日米和親条約が締結され、北海道の函館(当時は箱館)は翌年、開港となった(ペリーは条約締結後の4月に函館にやってきて、湾内測量などを行った)。やがて函館は貿易港として賑わい、函館山のふもとに市街地が広がり、その…

自由か平等か

1989年といえば、中国人民解放軍が、北京の天安門広場に集まった学生・市民らを装甲車・戦車で武力排除して多数の死傷者を出し、中国共産党の1党独裁体制に内外から疑問符がつけられたのが6月。東西ベルリン市民によって「ベルリンの壁」が破壊されたのが1…

感染者と反逆者

中国は支配する新疆ウイグル自治区やチベット自治区で、出生率を抑制するため人々に不妊手術などを強いたり、移住で増えた漢民族との結婚を奨励して「中華民族」化を推進する施策を続けているとの指摘がある(独裁する中国共産党は全面否定)。この指摘が事…

革命第1世代

1枚の写真に、もっとも多い人数が写っているのは、何かの記念日に中国・北京の天安門広場に集まった人々を写したものだという。南北880m×東西500mの天安門広場は最大50万人を収容でき、接する長安街を含めると100万人にもなるという。その広い天安門広場に…

肯定と否定

いわゆる空飛ぶ円盤=未確認飛行物体(UFO)は実在するのだろうか。カメラ付きの携帯電話やスマホを所持している人が世界中で爆発的に増えたのだから、本当に地球にUFOが飛来しているなら、写真に写される機会も増えるだろうし、UFOを撮った写真がネットに世…

紫外線が強い

例えば、戦後の小津安二郎監督の映画などで会社勤め人を演じる笠智衆らは、背広姿で外出する際に帽子をかぶっていた。だが今では、背広姿のサラリーマンが帽子をかぶっている姿は珍しい。都市化が進み、地表はアスファルトで覆われ、クーラーを使用する車や…

体制側にも同志がいる

中国の長編小説「水滸伝」の主役は首脳クラスの天罡星36人と、部門長クラスの地煞星72人の計108人の豪傑だ。彼らは、体制からはみ出したり弾き出されたりした人や、体制など見向きもせず自由に生きる人々だ。1人また1人と出会いを重ね、やがて強力な集団とな…

伯剌西爾で世界杯

蹴球の世界杯争奪の大会が2014年に伯剌西爾で開催された……「蹴球」は今でも高校などの部活動では健在だから判別できる人が多いだろうし、「世界杯」も字面から類推できるだろう。だが「伯剌西爾」となると、ほとんどの人は理解不能だろう。伯剌西爾はブラジ…

実現しなかった過去

好きになった相手に振られたなど、実らなかった恋愛の経験を持つ人は珍しくないだろう。最初に好きになった相手と結婚して、共に齢を重ねたという人もいるだろうが、いろいろな人と出会い、つき合ってみて、好きになったり嫌いになったり、振ったり振られた…

自由と世論調査

日本と韓国で民間団体が行った共同世論調査で、人々が互いに厳しく相手国を見ていることがまた示された。現在の日韓関係について、「非常に悪い」「どちらかといえば悪い」は日本54.7%で昨年比8.8ポイント減だったが、韓国88.4%で22.3ポイント増加した。現…

特異な脆弱性

立法府が関与しないまま政策の重大な変更が、与党内の協議を経て、内閣による閣議決定だけで行われた場合、その変更に反対する側から、民主制の否定であるとか、憲法を軽んじるものだなどの批判が沸き起きる。そうした批判の中には「日本の民主制と憲法の本…

悪魔は存在する?

この世に悪魔が存在すると信じるなんて、時代遅れの迷信だという印象だ。だが、バチカン法王庁が2014年に国際エクソシスト協会をカトリック団体として公認したというニュースを知って、神の存在を信じる人なら、悪魔の存在をも信じるはずだと思い至った。ど…

主役になれない記者

最近のサスペンスドラマで主人公になるのは警察関係者が多い。自殺に見せかけた殺人や身元不明の遺体、手がかりが乏しい殺人、過去の事件との関連など、事件の真相を僅かな手がかりをたぐって突き止めるには、主役が警察関連のほうがストーリーを組み立てや…

自由を求める自由

強大な中央政府が人々を強権で抑圧し、思想や行動を統制、日常生活で中央政府が制定した規範からの逸脱を許さず、言論や表現、行動などの自由を人々から奪う国は現在も世界各地に存在するし、過去にも日本を含む多くの国が強権で人々を統制していた。そうし…

悩ましい選択

これは、『夜と女と毛沢東』(吉本隆明と辺見庸の対談。文春文庫)の一節。 (辺見) 女から「あなた、文章は最低だけど性格は最高だ」と言われるのと、「性格は最低だけど文章はいい」と言われるのと、もう一つ、「あなたは書くものもくだらないし性格も最…

悩ましい選択

国家を評価する時に、政治、経済の二つの要素で見ると、どうなるか。「政治は最低だけど経済は最高だ」という国もあろうし、「経済は最低だけど政治は最高だ」という国もあろう。「政治も経済も最低だ」という国は珍しくなさそうだが、「政治も経済も最高だ…

嘘と大嘘

マーク・トウェインが紹介した「世の中には3種類の嘘がある。それは嘘、大嘘、そして統計だ」との言葉は有名だ。統計も全てが客観的で信頼できるとは限らず、政府など発表する側に都合がいいように特定の方向に誘導されたり、不都合な状況を示すデータはぼ…

科学的な装い

それほど親しくない人や初対面の人と一緒に時間をつぶさなければならなくなった時に、持ち出す無難な話題のトップは天候に関することだろう。暑いとか寒いとか、いい天気だとか雨が続くとか、台風が来るそうだとかゲリラ豪雨があったとか、見たまま感じたま…

独裁政治と腐敗

中国は1党独裁政治であるため、国家権力は共産党に集中する。最高指導部は中国共産党の中央政治局(委員25人)で、そこから選出された7人で中央政治局常務委員会を形成する。常務委員はまさしく“雲の上”の人物だ。ちなみに、中国共産党中央軍事委員会が、…

無責任になる時

以前に聞いた話だが、人が金を使う時に、最も慎重になるのは「自分の金を他人のために使う時だ」という。何らかの見返り(相手からの好意、感謝など無形のものも含む)を期待し、それが、自分の使う金に相応するものかを推し量るが、実際の見返りが予想通り…

宗教という仮説

仮説は、真理に到達するための1段階だという見方がある。一方、世界を合理的に説明するための推論が仮説であるとの考えがある。真理を確かめることが困難な状況は珍しくないが、ある仮説によって合理的な説明が可能であれば、その仮説を共有し、理論を発展…

自分たちのスタイル

2014年のW杯ブラジル大会で1勝もできずに帰国した日本代表メンバーから、「自分たちのサッカーができなかった」と悔やむ言葉が聞こえてきた。ずいぶん甘ったれ言い訳だと聞き流していたが、しばらくしてから、これはプロ意識の希薄さを示す言葉ではないかと…

客観性が欠如

成分表示の表記には記載されていない怪しげな何かを含む食品を、数十年も販売していた食品会社があった。以前から疑惑が指摘されていたのだが、その食品会社は否定し続けていた。食品の偽装表示などで成分表示に対する世間の目が厳しくなったので、その食品…

嘘をつく

ある女性(Aとする)が「女性は、いくらでも嘘をつける」と言った場合、その発言が真実であるなら、女性Aは嘘をついている可能性が高い。「女性は、いくらでも嘘をつける」のだから女性Aも嘘をつけるだろうし、女性Aだけは嘘をつかないと判断する根拠が…

共感する力

8月に入ると新聞紙面には戦争に関する企画記事が増え、テレビでも戦争に関するドラマや検証特番が増える。戦争といっても、世界各地で現在行われている戦争がテーマではない。取り上げられるのは、日本が直接関わった先の戦争である。中東やアフリカなどで…

ネットが先か、新聞が先か

新聞紙面に載っている記事を、どこまでインターネットで公開するかは各社によりまちまちだ。積極的に無料公開している新聞社もあれば、限定的に無料公開している新聞社、有料公開をメーンにしようとする新聞社など、ネット戦略はバラバラ。ネットは新聞社に…

読者からの信頼への裏切り

朝日新聞は2014年、(1)吉田清治氏の関連記事について「虚偽の証言だと判断」して記事を取り消し、(2)女子挺身隊と慰安婦を誤用していた、ことを認めた。32年も経って誤報を認めたわけだが、事実関係を間違えている記事を32年も“放置”していたことの説…

感染拡大が続く都市

日本における新型コロナウイルスの感染者は8万4千人台(10月1日現在、以下同)に乗り、中国本土の8万5千人台に近づいている。5月に中国政府は国内では感染拡大を押さえ込んだとし、その後に発表される感染者数は微増にとどまり、中国の公式発表の信憑…

ドキュメント「パンデミック9月」

世界における新型コロナウイルスの感染者数は3300万人、死者数は100万人を超えた。4月末には感染者319万人、死者22万人だったので6カ月で感染者数は10倍以上、死者数は約5倍に増えた。9月は1日に感染者数2550万人、死者数85万人、それが30日には3351万…