望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

外国メディアに従う人たち

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で新型コロナウイルスの集団感染が起き、日本政府の対応が失敗したと欧米メディアが批判した。それを日本のメディアも大きく報じ、すぐに日本でも政府の対応を批判する声が高まった。それらの批判の多くは欧米メデイ…

二重の所属

人は様々な集団を形成したり、集団に所属したり帰属したりして生きる。最小単位は家庭で、収入を得るために会社などの組織に所属し、スポーツクラブや趣味サークルなどに属し、人によっては政治組織に所属する人もいるだろう。属していると意識する最大の集…

紙幣が突然使えなくなった

数年前に、世界第2位の人口を有し、現金取引が大半のインドで政府が突然、使用されている通貨のうち最も高額の1000ルピー紙幣と次に高額の500ルピー紙幣を即日廃止すると発表。この2種類で流通現金の85%を占めているというから、現金取引の禁止に近い措置…

基準は二転三転

中国湖北省は2月13日から、検査でウイルス感染が確認されていなくてもレントゲンなどの画像診断で肺炎の特徴がみられた場合には「臨床診断」として新型コロナウイルスの感染者に加えたため、新たな感染者の数が大幅に増加した。この感染認定の変更がなぜ行…

自由な社会と分断

宗教的な摩擦や文化的な摩擦などが暴力やイジメとして現れたり、政治的な対立がデモの応酬になったりすることは珍しいことではない。政治的な対立が鋭くなるほど、選挙結果を敗北した側は素直に受け入れられず、といって選挙を否定することもできず、選挙結…

人口減少地域における鉄道事業

各地を結ぶ長い距離のレールを敷き、駅を設置し、安全を確保しながら列車を走行させるという鉄道事業は固定コストが大きい。乗客が減ったからと1両編成にしたところで、一定の費用は常に必要となるため、運行コスト削減には限度がある。乗客数が減り続け、…

希望ではなく怒りを動員

2期8年の任期を全うして2017年1月に退任した米オバマ大統領は大統領選で、「Yes, we can change」という前向きのメッセージを繰り返し、「世の中は変えることができる」「世の中が変わるんだ」という期待を一身に集めて当選した。そして新しい政策や方向…

信じるもの

ユダヤ教・キリスト経・イスラム教に現れる神は世界を創ったという。他にも、神が世界を創ったという神話は世界各地にある。だが、そうした神の創ったという世界に、例えば、恐竜は登場しない。これが意味するのは、そうした創世神話は当時の人間の知見に基…

パリ協定の不都合な真実

パリ協定は各国がそれぞれ削減目標を決め、その達成を相互に監視する仕組み。先進国だけに削減義務を負わせた京都議定書とは異なり、途上国を含めて多くの国を参加させるために、削減目標の達成を義務とはせずに削減に向けた努力を促すことにした。 各国が独…

ブルーズが好き

ブルーズという音楽はシンプルな構成だ。最も多いのは12小節のもので、最低3つのコードを覚えたなら、演奏することができる(構成がシンプルなので、演奏者の創意工夫次第で複雑化でき、ジャズでは多くのコードを細かく使って表現に変化をつける)。4小節…

過剰なプライド

中国の発表によると、2018年のGDPは前年比6.6%増の90兆309億元だという。日本円に換算すると1500兆円超になり、日本のGDPは548兆円だったので、中国の経済規模は日本の3倍近くにも成長した。米国は20兆4940億ドルで世界1位を続けている。 軍事費で見ると…

独裁の中国と民主主義の中国

中国は核心的利益と決めた対象について、対外的には強硬で非妥協的な姿勢になる。台湾は中国が最優先する核心的利益であろうから、台湾を独立国家と見なす動きがあれば国際的にも封じ込めようとするが、外交的な恫喝が通じない米国に対して中国には有効な抑…

共同経済活動

北方4島や竹島、尖閣諸島で日本の領有権が脅かされているが、状況は異なる。尖閣諸島は日本が実効支配していて、中国が定期的に艦船を「パトロール」させるようになったものの、中国人が上陸して経済活動を行うことは防いでいる。北方4島はロシアが、竹島…

努力して期待を高める

年末ジャンボ宝くじの発売日に東京・銀座の販売所に大行列ができ、マスコミがこぞって報じるというのは定番のニュースだ。どこで買っても当たる確率は同じはずだが、全国各地に人々が押し掛ける売り場が存在する。その売り場で買ったということで、当たる確…

将来予測とサイコロ

これからサイコロを1回振って、例えば3が出る確率は6分の1だ。1から6まで、どの数字が出るのかは不確定だから、確率で示すしかない。前(過去)にサイコロを1回振ったときに3が出たのであれば、それは事実として起きたことであり、確かな記録となる…

国家資本主義に覆われる

冷戦期に共産主義国家では資本が国家権力に従属し、資本主義国では国家権力が資本に従属していた。どちらも、資本と国家権力が結びついていることでは同じだから、民衆に向ける「顔」にはさして違いはなく、自由選挙で政府が選ばれる国でも、歯向かう人々に…

当事者でもあったという自覚

福島第一原発で事故が起きてから原発批判を始めた人は多い。その大半は原発事故の影響の大きさに直面して驚き、危険性を現実のものとして認識するようになったと見える。想定されるリスクに万全の対策を講じているとされた原発で、電源喪失が現実に生じたの…

何が事実か

中国政府は2月11日、新型コロナウイルスによる死者が前日10日に108人増えて1016人になったと発表、武漢市で中国最初の死者が出たとの発表は1月11日だったので、1カ月で1000人を超えた。このウイルスが急速に致死率を高めたと見えるが、発表数字がコントロ…

普遍性を捨てて個別利益を追う大国

冷戦期の2大大国は米国とソ連だった。それぞれに自国の個別利益を追及しながら、同時に米国は自由主義、ソ連は社会主義という普遍的な理念のモデル国家でもあることを自認し、また、他国にも認めさせることで大きな影響力を持っていた。 ソ連は崩壊してロシ…

事実と代替的事実

世界では、一緒に革命戦争を戦った同志であっても、共産党が政権を握ったあとに粛清された人は珍しくない。政権に参加していた人物でも、粛清されると政権首脳の集合写真から、その人物だけが消されたりする。現在なら写真の修整は簡単だが、当時はフィルム…

変身と変態

「人間も昆虫のように変態するなら、子供と大人の区別がはっきりする」と知人が言う。夢で見たそうだ。大きくなった子供がある時に、仰向けに寝たきりで動かなくなり、やがて乳白色の柔らかいが厚い膜に覆われる。初めは膜を通して人体の形が判るが、やがて…

批判の矛先を他に向ける

不祥事を起こした組織や企業のトップらが謝罪会見で「お騒がせしましたことを、お詫びいたします。申し訳ございませんでした」などと言ってから立ち上がり、深々と頭を下げてみせる光景は日本では見慣れた儀式となった。ニュース映像ではトップらが頭を下げ…

殺されたマサオ氏

民主主義を制度として支えるのは、主権者である人々の意思が示される自由な選挙が行われることで、自由な選挙を経て形成された権力に対して正統性が与えられる。だが、独裁国家では権力の正統性に客観性が希薄なので、軍事力などを掌握した個人や一派が強権…

身体は酸性?

インターネットがまだ一般化していなかった頃に、中規模の物流倉庫の食堂で昼休みに、アルカリ整水器の実演販売を行っているのを見たことがある。食事を終えた人を集めて業者は、まずリトマス試験紙をなめさせ、「ほら、あなたの体は酸性になってる」と次々…

偏西風と暖冬

この冬は暖冬で雪が少ない。気象庁は、昨年12月以降「東・西日本を中心に気温がかなり高く、日本海側では降雪量が記録的に少なく」、2月にかけても「本州付近への寒気の南下は弱く、北日本から西日本の気温は平年より高く、日本海側の降雪量は平年より少な…

生命の存在

宇宙はあまりにも広大なので39光年という距離は“近い”といえる。太陽系から39光年離れた恒星トラピスト1は太陽の10分の1弱の大きさだが、7つの岩石惑星が周回していることが確認され、惑星と主星(恒星)の相対的な大きさが生命の誕生に理想的であること…

職業としての芸能人

芸能人の引退はよくあることだ。テレビや映画、CMなどの出演依頼が絶えたなら、ひっそりと消えていき、世間から忘れられ、引退せざるを得ないという仕組み。ヒット曲がある歌手なら実演で全国を回リ、役者なら舞台公演を企画して活動を続けることもできよ…

語り継ぐもの

東日本大震災があった3月11日には毎年、テレビ各局は特番を並べ、新聞各紙は数ページの特集を組むなど大々的に取り上げる。それらでは、肉親を失った人々にスポットを当て、亡くなった人を悼み、例えば、「忘れない」などのメッセージを大きく掲げたりする…

ドキュメント「情報操作」

中国の武漢市や湖北省、国家衛生健康委員会による患者数と死者数などの発表を日付順に追うと次のようになる(2019年12月8日に武漢市は原因不明のウイルス性肺炎に感染した患者を初めて確認したとされるが、関連の報道は12月には乏しい)。 <2020年1月>5…