望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧





倒れた大銀杏

鎌倉の鶴岡八幡宮の大銀杏が、根元から倒れたのは2010年3月10日。樹齢800年以上と言われる大銀杏の倒木を、源実朝を暗殺した公卿が身を隠していたという伝説とともにメディアは大きく報じた。源実朝とはどういう人物であったのかの解説があるものと期待した…

非常事態

国家における非常時の典型は戦時で、勝利を目指して国家権力が強権を発動し、総力戦体制を構築して生産力を統制したり人々を動員したりする。こうした非常時は国家権力への信任が問われる時でもあり、独裁的で民心から離反した国家権力が外敵に攻撃されてい…

東京ボ○キ

こんなコラムを2010年に書いていました。 建設中の東京スカイツリー(高さ634m=完成時)の観察者は同時に、東京の活力復活を寿ぐアジテーターでなければならない。日々高くなっていくスカイツリーを、天に向けて東京がボ○キしていると思想するべきなのだ。…





バラエティー番組と政治

TVのバラエティー番組で政治テーマを取り上げる場合は、まともには取り上げず、斜に構えて風刺をぴりっと効かせるものだと心得ていたが、最近は大いに事情が変わってきたようで、スタジオでタレントたちが真面目を装って、時には大声で言い合ったりする。 日…





表記の混乱

各新聞社はそれぞれ、紙面で使用できる漢字、送り仮名、言い換え、使い分けなど用語法を決めている。大手書店では朝日、共同の用語集を見かけることが多いが、内容はほとんど同じだ。基本は新聞協会で決めているのだから。 新聞社が用語法を定めるのは、表記…

新型から季節性へ

インフルエンザとは「インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症で、一般のかぜ症候群とは分けて考えるべき重くなりやすい疾患」で「人類に残されている最大級の疫病」である(国立感染症研究所。以下同)。 インフルエンザウイルスは「A、B、Cの3型が…





成長を目指さない

成長を目指さない経済とは、どういうものだろうか。日本の高度成長は終わり、モーレツ社員も昔のハナシとなり、活力が失われた日本で、もう成長を目指さず、なにやら皆でのんびりと助け合って暮らしているイメージなのだろうか。あくせく働くよりはマシだと…

「危機感」を疑え

2010年に、こんなことを書いていました。 日本は大変なことになっているようですな。何がって? このところの保守系の政治家の言うことには、「財政悪化で、日本は3年もたない」とか「日本が沈没しそうだ」とか「立て直さなければならない」、挙げ句の果て…

20年と15年

米国は2001年10月にアフガニスタンに派兵し、タリバン政権を倒して民政政府を構築させたものの、タリバンを壊滅させることができず、勢力を盛り返したタリバンに追われる形で2021年8月末に駐留米軍はアフガニスタンを去り、20年に及ぶ「米国史上最長の戦争…





自分さがし

え~、捜し物てえのは厄介ですな。確かにここらにあったはずだと、すぐ見つかるものと捜してみると、これが見つからない。じゃあ、あそこかと捜してみても、ないンですな。そのうち出てくるだろうと諦めることになりますがね、時には意地になって捜すことを…





高句麗自治区

20XX年、中国内に高句麗自治区が誕生した。元々は北朝鮮として国連にも加盟する独立国だったが、独立を捨てて中国に吸収された。朝鮮労働党は党員もろとも、そっくり中国共産党に編入され、朝鮮人民軍は中国軍にそっくり吸収され、北朝鮮が保有していた核も…





普天間と賢者と奴隷

中国の作家、魯迅の作品に「賢者と馬鹿と奴隷」がある。短い作品だが、含蓄に富んでいて、賢者と馬鹿と奴隷をそれぞれ、さまざまなものに当てはめて考えることができる。あらすじは、こうだ。 あるところに、人を見つけては不平を言っている奴隷がいた。賢者…

倫理観を先に立てる

気候変動の危機なるものが共通認識とされる昨今、エコロジーに基づくとする人々の主張が、妙に倫理観を漂わせるのが気になっていた。未来予測は科学において確率で論じるべきものだが、決定したものとして未来を論じる人々が多すぎる。科学は全て真理で成り…

「ルーピー」考

好き嫌いや主義主張の違いはあっても、日本の議会で選出した首相に対するそれなりの敬意は、国会議員なら誰でも持っていると思っていたが、実態は違うようだ。2010年のの参院本会議で鳩山由紀夫首相(当時)に野党議員が「ルーピー」とヤジを飛ばした。 子供…





素朴な疑問

素朴な疑問を持つことは、簡単に騙されないためのヒケツかもしれない。例えば、高利回りが期待できるという利殖の勧誘電話などがかかって来た場合、「そんなに儲かるんなら、自分達だけで儲ければいいのに。どうして他人に勧めるの?」と聞いてみる。 電話を…

共同富裕

中国共産党が以前から掲げる共同富裕という理念が、貧富などの格差をなくし、社会を構成する皆が等しく豊かになるという共産主義の理想を実現するものであれば中国にふさわしい。問題は、現在の中国は資本主義的な搾取が定着して貧富の格差が甚だしくなり、…





沖縄という「正義」

沖縄に移住する人が増えていると聞いたのは結構前だった。南国の沖縄は1年中過ごしやすく、地元の人々は人懐っこくて優しく親切で、いいところだと、沖縄にしばらく住んでいた人は皆言っていた。そうこうするうちに、文化人だのタレントだので沖縄に別荘を…

岩波文庫がキー

本好きで、内外の古典を片っ端から読んでみようと若き日に一度でも思ったことのある人は珍しくないかもしれないが、実際に古典を片っ端から読んだ人は少ないだろう。哲学やら文学やら物理学やら政治思想や社会論、経済理論……果てしない知の世界が自分にも開…





水が欲しいか

日本各地で外国資本が、水源に近い山林の買収を持ちかけているとする報告書を東京財団が2010年にまとめた。世界的に水需要の逼迫が予測され、水資源の獲得競争が世界で激化し、日本の水も外国資本に狙われているというのだ。その例として、国内の水需要が大…

変化と破壊

「生態系の変化」と「生態系の破壊」を人類は見分けて区別することができるのだろうか。例えば、ある地域で固有の生物が絶滅した場合、それは生態系の変化か破壊か。絶滅の要因が明確であるなら、変化か破壊かを判断はできようが、複数の要因による複合結果…





報道とカネ

政治とカネの問題でメディアは政治家をさんざん批判しますね。ちょっとの疑いでも持たれたならば、説明責任があるだろう! 説明責任が!……と説明を求めます。そうした説明にちょっとでも齟齬が見つかろうものなら、火に油を注がれたかのように「熱く」報道し…

「科学」的な将来予想

人為的なCO2の排出増加が温暖化を招いていると言われ、早急な対策が求められ始めてから、もう何年になるだろうか。IPCCが創設されたのは88年、世界の科学者の知見を集約したという評価報告書は90年に第1次が出され、95年に第2次、01年に第3次、07…

言い返す

日本は世界に向けての情報発信が下手だとの指摘がある。外国メディアの日本関連ニュースが正確でないと見えたり、日本批判の論評を偏った見方だと受け止めたりすると、誤解や曲解が広まっていて日本が「正しく」理解されていないと悔しがる。そして、情報発…





69万票で落選

2010年の参院選で当時の千葉景子法相は69万6739票の得票で、神奈川選挙区では4位で次点となり、落選した。3位当選した金子洋一氏の得票は74万5143票だった。ちなみに全国で最も得票数が多かったのは東京選挙区の蓮舫氏で171万734票を得た。 69万票以上を取…





政治家タレント

立候補したタレントやスポーツ選手らはひとまとめにタレント候補とされ、識見もなく知名度だけが頼りと見られているようで。こんな人が議員になって、何をやろうというんだろうと疑問を持たれ、当選しても党の執行部の指示で、賛成したり反対したりするだけ…





ひよる主人公

現実の社会では嫌われ者で、その影響力などは「排除」しなけりゃいけないとされている暴力団。そんな連中も映画の世界ではまだ存在を許されているようで、2010年の「アウトレイジ」では、暴力団の血なまぐさい内部抗争が派手に描かれておりました。 「登場人…

民主主義の限界

アフガニスタンからまず大統領が国外に逃れ、米軍が撤収し、タリバンによる支配が20年ぶりに復活した。米国の後押しで誕生した民政政府と国軍が少しはタリバンの攻勢に抵抗するだろうとの米国の目論みはあっけなく瓦解、米軍の撤収はタリバンに追い出される…

犠牲者を減らした?

2010年に広島の平和記念式典に初めてアメリカ政府代表が参加したが、献花もせず、発言もしなかった。残念がる向きもあるが、発言できなかったのだろう。チェコでオバマ大統領が演説し、核廃絶に触れても理念の問題に閉じ込めておけるだろうが、広島では過去…





氷雪の門

映画「氷雪の門」は、重いテーマを扱っているものの、当時のアイドルを集め、ベテランで脇を固めた趣の作品。アイドルらは、楽しい時ははしゃぎ、悲しい時は泣き、深刻な場面では神妙な顔をするだけ。人気はあるが演技力に期待できないアイドルを主役に映画…

政権交代のチャンス

感染爆発という状況に現在の政府が無力とも見えるのは、最優先の課題が何かをはっきりさせることができず、状況の後追いで手一杯だからだろう。新規感染者が大幅に増え、医療体制は逼迫し、経済活動の浮上のメドは立たず、生活に困窮する人々が増え、一方で…