望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





政治家タレント

 立候補したタレントやスポーツ選手らはひとまとめにタレント候補とされ、識見もなく知名度だけが頼りと見られているようで。こんな人が議員になって、何をやろうというんだろうと疑問を持たれ、当選しても党の執行部の指示で、賛成したり反対したりするだけなんだから、お人形さんだとか、集票力が党に買われただけだなどと見られましてね。



 人気タレントは儲かる商売でもあるようで、なかには何を勘違いしたのかセレブぶったりする人も現れる。タレントを見下していた人々は落ち着かなくなったものの、おバカタレントがクイズ番組で「再発見」され、やはり野に置け蓮華草、タレントは馬鹿にされつつ愛される存在というポジションに落ち着き、安心してタレント候補を批判できるようになった?

 

 タレント候補だって懸命に頑張っていたと評価する人もいまして。タレント候補にも識見のある人はおられるかもしれませんし、闘病や介護などの体験を国政に生かすと言う向きもあるようで。企業上がりや官庁上がりの候補者などが皆、識見があるかというと、とうてい断言はできないンでね。タレント上がりを特に見下さなくても、職業に貴賤はなく、期待はずれは同じようなものだったりして。



 タレント候補は選挙が終わると出番がなくなるのに、選挙が終わるとマスコミでの出番が増えるのが政治家タレント。政治ネタのバラエティ番組が増え、視聴率がまあまあ取れるのか、タレントなどを交えて床屋政談ならぬTV政談。タレントに遠慮しながら発言する政治家タレントがヒナダンに並んだりします。



 そうした番組では、党が違う政治家連中の馴れ合いぶりがうかがえる半面、識見を感じさせる発言がないのが不思議でして。そうした発言はきっとTV局がカットしているに違いない、TVに出ている政治家に識見がないはずがないから……と思うことにしているのですがね。



 政治家タレントもTV局のオボエがよくなると、娯楽バラエティやクイズ番組などにも招待されまして。国会議員ともあろうものが、まさか、オチャラケにつきあうはずがない……ところが、共演しているタレントにイジラレル始末。当意即妙に切り返す「芸」など政治家タレントは持っておらず、苦笑か自嘲か、力なく笑う政治家タレント。



 TV慣れ、バラエティ慣れした政治家タレントが増えると、人々の意識も変わらざるを得なくなるかもしれませんな。タレントが政治家になることは批判するが、政治家のタレント活動は容認するというは、明らかな矛盾でして。タレント候補には批判的であっても人々は、タレントには好意的なのですから、タレント候補も政治家タレントも同じようなもんだと許容するようになるかも。