望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

やり返すという対応法

やられたら、同じ分だけ、やり返すという対応をする人は、強い精神力を有するタフな人物と見られるだろう。批判されたら同じように相手を批判し、嘲笑されたら嘲笑し返し、1発殴られたら1発殴り返し、2発殴られたら2発殴り返し、蹴られたら蹴り返す……こ…

「中華民族」という怪

2012年に中国共産党の総書記に選ばれた習近平氏は記者会見で「我々は偉大な民族」で「5千年の文明発展の歴史において、中華民族は人類文明の進歩に貢献した」が、「近代以降、我々の民族は度重なる苦難を経験し、中華民族は最も危険な時を迎えた」とし、「我…

終末の日

古代マヤ暦に基づき2012年12月21日が「世界終末の日」になると騒がれたが、世界的に大した出来事はなく、その日が過ぎた。ノストラダムスの予言でも、空から何かが降ってくると不安がられたが、その日にテポドンが落ちて来ることもなく、無事に過ぎた。 マヤ…





公人と個人

2013年に中国側からの招きで「文化交流」名目で訪中した鳩山由紀夫元首相は、北京で賈慶林・全国政治協商会議主席や楊外相らと会見し、尖閣諸島について、領有権を巡る「係争地」であることを双方が認めた上で解決を探るべきだとし、「棚上げの方向に戻るこ…

撤収できない米軍

米トランプ政権がアフガニスタンのタリバンと和平合意を結び、今年5月1日までの米軍撤収を明記したが、バイデン大統領は5月撤収について「厳しい」とした。和平合意に対する批判ではなく、アフガン政府とタリバンとの停戦協議が難航する一方、タリバンと政…





製品寿命

ラジオとカセットテープ再生機が一体化したラジカセ。登場した頃は大人気だったという。やがてCD時代になり、CDラジカセに移行し、カセットテープ再生機能がつかなくなってもCDラジカセと呼ばれているのだから、ラジカセというのが独立した名称として…





「後押し」は危険

2013年の1月に首都圏では何度か雪が降った。そのたびに、降雪による交通事故や歩行者の転倒などの事故が相次ぎ、成人の日の降雪では1都3県で4百人以上がけがをし、首都高は長時間、通行止めとなり、JRなどで運休が相次いだ。28日の降雪では千葉で車の…

占いの根拠

血液型占いは、血液型と人の性格に何らかの関係があるとするから成立する。だが、血液型は客観的に判定できるが、人の性格は茫漠としている。陽気だとか真面目だとか気が強いとか消極的だとか人の性格は多くの要素が重なり合って形成され、時には陽気になり…





「田園に死す」

東京と“田舎”の行き来はかなり手軽になった。航空網が密になり、複数の新幹線が各方面に伸び、高速道も整備され、地方都市と東京を結ぶ高速バスも多い。格安の高速バスもあって、時間的にも金銭的にも東京と田舎の“距離感”は縮まった。東京は、週末に遊びに…

「泣ける」が勝ち

「3倍泣けます」というキャッチ・コピーの映画があった。三益愛子が主演の母もの映画で、1948年から10年間に31作品が作られたというから、けっこうな観客動員があったようだ。日本映画専門チャンネルの解説によると「様々な事情から幼い我が子を手放した母…





ネットで問診

例えばグーグルで「胃が痛い」の言葉で検索すると、様々な解説サイトがずらずらっと表示される。自己診断を謳うサイトでは、痛みの部位によって疑われる病名が表示され、それをクリックすると、病気の概略、症状、原因、治療法などの説明がある。さらには、…

事実の確認

インターネット上には情報が溢れているが、それは①事実を正確に伝えている情報、②事実を誤って伝えている情報、③事実を歪めて伝えている情報、④事実と無関係に創作された情報、に大別される。その見極めは簡単ではなく、また、人は自分が好む情報を探す傾向…

「六道遊行」(下)

六道に興味を持ったのは最近、石川淳著「六道遊行」を読んだからだ。この小説は、天平時代の奈良の都でうごめく盗賊たちの頭「上総の小楯」がふと、時空を行き来するようになり、現代日本にも現れ、二つの世界で出会う人々とそれぞれの因縁を持ち、騒ぎを起…





「六道遊行」(上)

仏教でいう六道とは大辞林によると、「すべての衆生が生死を繰り返す六つの世界。迷いのない浄土に対して、まだ迷いのある世界。地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道。前の三つの世界を三悪道、あとの三つを三善道という」とある。道に迷っている…

増殖する言葉

「よりそう」という言葉が増殖している。悲しむ人々や苦しむ人々の悲しみや苦しみに共鳴・共感しつつ見守り、時には励ましたりすることを意味しているようだ。よりそう行為は具体的ではなく、災害の被災者や事故などの被害者に同情し、精神的に支えるなど主…

保守か革新か

保守的な人間というと、新しいものを受け入れることには消極的で、新しいことを始めようとせず、それなりに定着している物事を更に続けようとするタイプで、周囲の説得にもなかなか応じず頑固というイメージがある。革新的な人間というと、新しいものを積極…

狛犬と阿吽

神社の入口あたりで、参拝者を出迎えるのが狛犬。向かって右側が、口を開けている阿形、左側が、口を閉じている吽形だ。両方が揃うと阿吽の呼吸ということになるのか。狛犬といっても、犬の仲間ではなく、想像上の生き物。昔は、阿形のほうが獅子で、吽形の…





奇妙で害なす存在

ウイルスは、細菌などと同じ微生物とのイメージがあるが、実はウイルスは奇妙な存在だと、福岡伸一ハカセの「生物と無生物のあいだ」を読んで知った。ウイルスは細胞を持たず、代謝をせず、ひっそり“固まった”ままの存在で、遺伝子は持っているが単独では増…

目を合わせる

京都や奈良など全国各地の古刹が保有する仏像を借り出して、東京などの美術館や博物館で展示する催しは年中どこかで行われている印象だ。日本は全国で古刹や仏像の数が多いことに加え、人気がある仏像をメインにした催しなら数年ごとに全国どこかで開催され…

外堀を埋める

憲法の改正気運を高めようと自民党はかつて、現行憲法の96条の改正をまず目指すと言い出した。96条は、改正について規定しており、条文には「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」と…





花壇葬

大きな地震の時に、揺れの強さを表す映像として、霊園で墓石がなぎ倒されている様子が報じられることがある。一般的な墓石は、台石の上に縦長の細長い石が載る形状だが、「○○家之墓」とか「南無阿弥陀仏」などと刻まれている細長い石が揃って倒れている様子…

肥満とウイルス

世界肥満連盟と聞くと、肥満者の権利を主張する国際団体なのかとつい早合点したくなる。肥満者が多い米国で、肥満者は自己管理ができていないと見られ、出世に不利だなどと以前伝えられたが、一向に肥満者が減ったようには見えず、出世のチャンスから遠い多…





憲法はどこを向く?

1865年に下院で可決された米国憲法修正第十三条の条文には、「奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とする時を除く」とある…





トキも外来生物か

日本では外国起源の外来種は外来生物と呼ばれ、その中で、生態系や人体、農林水産業へ被害を及ぼす動植物は特定外来生物に指定され、法的規制の対象になる。現在(2013年)は哺乳類21種類、鳥類4種類、爬虫類16種類、両生類11種類、魚類13種類、クモ・サソ…

上級国民

富や権力を持つ人々を上級国民と呼ぶのは褒め言葉ではなく、優位な位置にあることを皮肉ったり批判している。富や権力を持つ人々の言動に特権臭が漂った時などに、反感を感じた人々が用い、不公平が厳然と存在する社会に対する憤りを滲ませる。とはいえ、上…





過少な報道

例えば、米国のどこかの都市で発生した爆弾事件で数人の死者が出たならば、それは大事件だ。取材陣が殺到し、次から次とニュースが報じられ続け、細かな情報も取り上げられる。そのニュースは世界にも発信され、日本でも連日大きく扱われたりする。ところが…





英語ができれば

政府の教育再生実行会議が2013年、国際的に活躍できる人材を育成するため、小学校での英語教育を正式な教科とし、授業時間を増やすことや、実施する学年を早めることの検討を提言に盛り込んだ。国際的に活躍できる人材とは、いわゆるグローバル人材とのこと…

二重マスクの効果

マスクを着用する目的は、①風邪などに罹患している人がウイルスなどを含む咳やくしゃみのしぶきの飛散を減少させる、②ウイルスや花粉などが口に入ることを防ぐ、③タレントらが簡易な変装に使う、だ。①は、マスクの内から外に何かが出ることを防ぐためであり…





本音と建前

ある程度の親しい仲だったら、建前で話さず本音を話すのは許されることだろう。話す内容だけではなく振る舞い方も同様で、誰にでも、うっかり軽いボディタッチなどすると、相手は親しみよりも違和感や警戒感を持ったりする。仕事上だけのつきあいで、仕事に…





仇討ち

仇討ちとは大辞林によると「自分の主君・父などを殺害した者を仕返しに殺すこと。武家時代に儒教的・武士道的観念から盛んに行われたが、1873年(明治6年)に太政官布告により禁止された」。武士の仇討ちは主君の許可を受けてから、敵を捜し出して討つもの…