望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

芸能の力、TVの力

豊竹山城少掾といえば義太夫節の昭和の名人と称される。59年に引退しており、至芸に触れる機会は消えたが、最近はCD化が進み、新たなファンを生んでいるという。その山城少掾の「菅原伝授手習鑑」をNHK教育が09年に放映した。サワリだけだったが、その語…

その場しのぎ

パンデミックが始まり、西欧などマスク着用の習慣がなかった諸国では、新型コロナウイルスの拡散防止対策としてのマスク着用の強制に人々から反発の声が上がった。日本ではマスク着用に厳しい拒否反応は起きなかったが、市中からマスクが消え、人々はマスク…

収奪する

資本主義の本質はギャンブルだと言う人がいる。アメリカの投資銀行などが元手を何十倍にも膨らませて(レバレッジ)、投資していた(賭けていた)ことだけじゃなく、資本主義自体がギャンブルだと言う。 自動車でもTVでも商品は、市場に出しても確実に売れる…

欲があってこそ

米ウォール街などの強欲が積もり積もった結果が2008年の金融危機だという人がいる。「舌切り雀」や「花咲か爺」などのおとぎ話のように、強欲な人間がこらしめられましたとさ、めでたし、めでたし……とでも感じるのか、経済危機に至ったことを納得してしまい…

イスラエルという物語

イスラエルはパレスチナ自治区ガザへの攻撃を繰り返す。イスラエルは口実があれば、いつでも攻撃を行う。ハマスのロケット弾によりイスラエル側にも死者が出ているが、その数はパレスチナ側の死者数より圧倒的に少ない。数の多寡で死を比較できるものではな…

人生の意味

「人生には意味はない。だが、生きることには価値がある」とは友人の言葉。人生には台本はなく、その場しのぎの連続で誰もが行き当たりばったりに生きるしかないと友人は言い、無数の選択の結果として個人の人生は形成されるのだから、人生に意味を感じたり…

オバマの演説力

こんなコラムを2009年に書いていました。 え~、寒い中を大勢の人が集まって、ご苦労なことでしたな。ご近所だけじゃなくて、全米から集まったんだそうで。ローリング・ストーンズがリオ・デ・ジャネイロのコパカバーナ・ビーチで無料コンサートを開いたとき…

気温は上がっているか

近頃は少し風があったり、陽が陰っていたりすると、冷えますな。朝六時過ぎには、窓から入る陽光のまぶしさに目が覚める……なんてころが懐かしい。まあ、5、6カ月も経てば、そうなるんでしょうが。 最高気温が北国では零下の日も珍しくなくなり、東京などで…

マスクと強制

最近、建物内や公共交通機関内でマスクを着用していない人を見ることはほぼないが、行き交う人がまばらな路上ではマスクをつけていない人を見かけることは珍しくない。密になっていない環境なのだから、マスクの着用は個人が自由に選択することだ。だが、マ…

成功か死か

「革命家には成功か死しかない」とゲバラはボリビア人の若者に言う。その言葉は、映画の大枠を示すものでもある。パート1である「チェ 28歳の革命」は、成功した革命家を描き、パート2である「チェ 39歳別れの手紙」は、革命家の死を描く。 成功した革命と…

お札が降って来る?

20XX年、金融危機に加えパンデミックによる経済収縮も深刻化し、デフレに陥っていた。そこで、急速かつ大幅な消費縮小に歯止めをかけ、消費を少しでも活性化させようとアメリカが、ドルとは別の政府紙幣を発行した。名称は「チェンジ」。国民全員に1人2000…

円とドルが統合

20XX年、日本のような「失われた20年」は回避できると楽観していたアメリカは、次から次と表面化する不良債権の処理に手間取り、莫大な財政赤字をこしらえて不良債権の処理にはメドをつけたものの、製造業などはガタガタになり、米国債の大量消化に不安が出…

強制と自由

経済活動をパンデミック前の状況に戻そうと、ワクチンの接種済みの人々に限定して飲食店や商業施設への出入りを自由にしたり、ライブイベントなどの参加を上限なしに認める「ワクチンパスポート」導入の動きが広まっている。だが、欧州諸国などでは、ワクチ…

ロケットが落ちてきたら

何もしないと忘れられるからと面倒を起こし、周囲があたふたするのを満足して見ている駄々っ子……何やら北朝鮮にはそんなイメージがついてしまった。様々な射程のミサイルを日本海などに発射する。 大金をかけている日米のMD(ミサイル・デフェンス)システ…

国境線の引き直し

え~、2009年に当時のスーダンのバシル大統領に国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出しましたな。30万人が死んだとされるダルフール紛争ってのがありまして。そこであった殺人、拷問など戦争犯罪や人道に対する罪に責任があるとの容疑だったンですね。 しか…

中国の民主主義

中国政府が「中国の民主」と題する白書を発表、報道によると「西側の民主モデルをただまねるのではなく、中国式の民主を創り上げた」と主張し、共産党主導の中国式民主主義の特色と成果を強調する内容だったという。中国にも民主主義があるとの主張だ。 中国…

自分たちから始めよ

クーちゃん「ひと頃、政界は改革、改革とやかましかったけど、最近はあまり聞かないな。改革という言葉に付与されていた斬新さのイメージが消え、改革なるものの実態が、資本や金持ちに有利なだけだったと見えるようになったからかな」 永田王子 「日本の既…

新しい市場

外需依存の日本経済を内需中心の経済構造に転換すべきだとする声があるが、日本の内需は成熟しており、輸出していた分を「消化」するほどの市場は内需には残っていない。日本が内需中心の経済構造に転換すると、輸出向けの生産能力を過剰なものとして削減す…

去り行く列車

消えるとなると途端に人気がわき起こるのだから不思議だ。2009年の寝台特急「はやぶさ・富士」の最後の出発を見ようと東京駅のホームに3千人以上が集まったという。07年度平均で20%の乗車率だったのに、廃止が決まってからは急に乗車率が上昇し、100%だっ…

自然に任せろ

フランス南西部で、野生のイノシシを追っていた70歳の猟師(男性)がヒグマに遭遇、襲われて足に重傷を負ったという。ヒグマは欧州最大級の肉食動物で、報道によるとフランスではほぼ絶滅したが、政府が1996年に再繁殖を目指す取り組みを開始し、スロベニア…

理論か、方便か

こんなコラムを2009年に書いていました。 中国では愛国主義を鼓舞する報道を一斉に始めたそうだ。昨年末に「憲章08」が発表され、今年が天安門事件の20周年にあたることもあって、政府は警戒心を強め、治安対策が強化されると言われていたが、その一環という…

様々なボーダーレス

リーマンショックで始まった世界的金融危機と同時不況は、世界経済が密接に相互関連していることを明らかにした。サブプライムローンを始めとした「有毒証券」が次々に正体を現し、米欧の銀行などは次々に実質的に破綻して公的資本を注入された。金融商品が…

戦争責任の定義

日常の会話では、言葉の定義(言葉が意味するもの)をいちいち意識することなく、おおよその理解や解釈で使っている人が多いだろう。人により言葉の定義に違いがあっても、誤解を生んだり意思疎通を阻むほどの障害になることは日常では少ないだろうし、違っ…

エコという物語

白クマ 「エコを標榜する商品を買う消費者は、環境にいいことをやってるんだという満足感を買っている面が大きい。ある種の使命感というか自己満足というか、どちらにしても『意識の高い消費者』であることを自負しているはずだ」 ブルーギル「エコはいいこ…

境界にいる厄介者

インフルエンザの病原体はウイルス。このウイルスというものは奇妙な存在だ。「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一著)によるとウイルスは「栄養を摂取することがない。呼吸もしない。もちろん二酸化炭素を出すことも老廃物を排泄することもない。つまり一切…

名前の呼び方

深夜の公園で、着ているものを脱いで(しかも、ちゃんと畳んで)、全裸になって騒いでいたタレントが、近所の住民の110番通報で駆けつけた赤坂署の警官に、公然猥褻の現行犯で逮捕されたのは09年。ぐでんぐでんに酔っぱらって、正気をなくしている酔っぱらい…

外交道具としての移民

英仏海峡で2018年以降、フランスの海岸からゴムボートや小型船などで英国上陸を目指す移民が急増を続け、今年はすでに2万5千人以上になるという(英国の統計)。英仏海峡トンネルを通るトラックに潜む英国への密入国はパンデミックによる入国規制で難しく…

咳をすると、にらまれる

え~、友人が嘆いておりました。彼には喘息の気があってですね、カゼをひくと喘息が出て来て、ときどき咳き込むんだそうです。最近、彼はうたた寝をして、カゼ気味になってしまったそうなんですがね、翌朝、電車の中でうっかり咳き込むと、周囲の人々は露骨…

新聞の世論調査

大新聞社から電話がかかって来たんで、うれしくなって、ホイホイと答えてやったで。世論調査なんて、あんなもん、内輪でごちゃごちゃ作ってるんだろなんて思うてたから、へ~、関係者でもない相手にホントに電話かけてるんだ!と感心したんだ。 「岸田内閣を…

批判できる立場

誰かを批判するのは簡単だ。誰かが右を向けば「右を向いた」と批判し、左を向けば「左を向いた」と批判し、動かずにいれば「何もしない」と批判する。批判することが目的とあれば、対象が何をしても何もしなくても批判は可能だ。そうした批判の判断基準は、…