クーちゃん「ひと頃、政界は改革、改革とやかましかったけど、最近はあまり聞かないな。改革という言葉に付与されていた斬新さのイメージが消え、改革なるものの実態が、資本や金持ちに有利なだけだったと見えるようになったからかな」
永田王子 「日本の既存システムが政治・経済をはじめとして各面で行き詰まっているのは確かだ。大規模な見直しをやらなければ衰退するってことが明白になったんだが、既得権益を保持しようという人たちの抵抗が強くて、押し返されているという状況だな」
クーちゃん「小泉・竹中時代のように、アメリカという強いバックがなければ、政治家やマスコミがいくら改革と言ったって、官僚の抵抗を押し切れないということか」
永田王子 「それもあるが、改革の必要性を政治家が実感していないから、簡単に放棄できるんだよ。身分は安泰だし、利害調整に動いていればオツトメは果たしたという感覚なのかもしれない。政治家でいることが目的の人たちには、変革なんてカンケーねえってところだ」
クーちゃん「でも政治家は改革という言葉を捨てたわけではない。自分の主張を正当化するためには、改革という言葉はまだ利用価値がある。一方では、本当に改革の必要性を考えている政治家もいるはずだ。主権者は、口先だけで改革を言っているのか、本気で改革を考えているのか、政治家を見分けることが大事だ」
永田王子 「どの政治家が改革に本気なのかを見分けるポイントの一つが、1票の格差の是正だ。自分たちでできるところから動くかどうか。政治家たちが変えようと思えば、1票の格差の是正はできる」
クーちゃん「政治家でいることが目的の人たちには、1票の格差の是正は大問題なんだろうな。ほかの分野の改革では、官僚などが改革の障害だと批判していればよかったが、政治家だけで行うことができる1票の格差是正をサボる口実は何にするのか興味深い」
永田王子 「動的平衡という概念は、社会システムにも当てはめることができるかもしれない。社会が“健康”でいるためには改革=変化が必然だとすれば、本気で改革をしようとしない政治家は淘汰されるべきだ。無能な世襲議員を排除し、1票の格差是正を行って、民意をもっと政治に反映させるところから、日本の変化は始まるのかもしれない」