望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

気温は上がっているか

 近頃は少し風があったり、陽が陰っていたりすると、冷えますな。朝六時過ぎには、窓から入る陽光のまぶしさに目が覚める……なんてころが懐かしい。まあ、5、6カ月も経てば、そうなるんでしょうが。



 最高気温が北国では零下の日も珍しくなくなり、東京などでもヒトケタの日が続いたりして、「冬には冬を楽しむ」心で過ごせなんて言われますがね、寒いものは寒いや。



 気温といえば、思い出すのは百葉箱。校庭の隅にあった白く塗られた木製の小さな家みたいなアレです。百葉箱は19世紀後半にイギリスで使われ始め、数年後には日本でも導入されたそうですが、今では測定方法が変わったこともあって、百葉箱は次第に撤去されているとか。そのうちに文化遺産になるかも。



 百葉箱が19世紀から使われ始めたってことは、観測制度もその頃から整備されたってこと。といっても、いきなり世界各地で観測が始まったわけではないでしょうから、徐々に観測地点が増えたんでしょうね。でもね、現在でも気温が観測されていない場所は世界に多くある、というより、気温の観測が行われている場所が特別なのかもしれないという気もしますね。



 地球の環境を、できるだけ正確に知ろうとするなら、多くのデータが必要なんですが、例えば気温のデータはどのくらいまで遡ることができるんでしょうか。データが残っていたとしても、百葉箱登場以前の気温のデータは測定環境がまちまちでしょうから、百葉箱登場後のデータと同列に見ることはできないでしょう。



 地球が温暖化しているといわれますね。夏の平均気温が上がっていると報じられ、暑さを体感することもあって温暖化は本当らしいと納得してしまいます。どうせなら、温暖化のエネルギーは、夏はほどほどにして、冬にもっと発揮して欲しいなんて思うのは、スキー場に行くこともなくなった者の勝手な思いつきですが。



 「温暖化している」というのは世界の科学者が多くのデータを検討して出した結論ですから、正当性はあるんでしょうが、上昇傾向にある平均気温って何でしょうね。データとして残っている気温データは200年分もないでしょう。人間の生活感覚で言うと200年は長いですが、45、6億年という地球の歴史からすると200年なんて「一瞬」かもしれません。



 温暖化の危機はビジネスチャンス……だから、企業は省エネ・低CO2商品を売り込むのかもしれません。それでマスコミも温暖化の危機を煽るのか、なんて見えてきますね。温暖化を信じる者は救われる?



 温暖化の危機を声高に言い立てるよりも、地球上各地の気温データを集めたほうが、冷静な判断につながりそうな気がしますが、問題は時間。例えば、これから200年分の地球各地の気温データを集めるには200年必要で、危機なるものが本当なら「手遅れ」になりかねません。まあ、手遅れになったとしても地球の歴史からすると、小さなことかもしれませんが。