望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

ロケットが落ちてきたら

 何もしないと忘れられるからと面倒を起こし、周囲があたふたするのを満足して見ている駄々っ子……何やら北朝鮮にはそんなイメージがついてしまった。様々な射程のミサイルを日本海などに発射する。

 大金をかけている日米のMD(ミサイル・デフェンス)システムは、こういう時に役に立って、日本の領空に侵入した北朝鮮テポドンなどを見事に撃ち落とす……ことができたら、巨額の税金を使った甲斐も少しはあったということになるのかもしれないが、MDシステムで実際にテポドンを撃ち落とすかどうかは不明だ。



 その理由は、(1)政府が政治決断をしなければならない、(2)MDシステムは実戦では役に立たないとも見られており、テポドン撃ち落としに失敗したら、MDシステムの今後に関わる(だから、MDシステムは使わず、大事にしまっておき、今後も税金を使って「開発」を進める)。



 北朝鮮のミサイル技術がどの程度のレベルなのかは知らないが、発射したものの、途中で失速して日本のどこかに落ちてきたなら、どうなるだろうか。日本の世論が一気に沸騰することは、拉致問題などでうかがえる北朝鮮への嫌悪感からも、確かなように思われる。人的被害が出ようものなら、北朝鮮討つべしとの声は相当強くなりそうだ。



 ここで少し視点を変える。2008年12月からイスラエル軍がガザ攻撃を始め、23日間でパレスチナ側に民間人など1300人以上の死者が出たと言われる。人道的側面からもイスラエルに対する国際的批判が強いが、イスラエルは、ガザから打ちこまれるロケット弾の発射阻止をガザ攻撃の理由としていた。



 日本でもイスラエルはやり過ぎだという雰囲気だったが、日本にロケットが実際に打ち込まれた(落ちてきた)ら、イスラエルのように戦争に「慣れて」いない分だけ、一気に強硬論に走ってしまいそうな気もする。