望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2019-01-01から1年間の記事一覧

印象操作を見破る

テレビやインターネット、雑誌、新聞などには広告が溢れている。人々の視線をとらえようと様々な手法を駆使して気を引き、商品などの認知度を上げ、さらには企業などの好感度を高めようと努めている。だが、広告が一方的な印象操作であることを人々は知って…

手放さない

1945年に終戦した戦争における日本軍の慰安婦問題は、日本と韓国の間では2015年の日韓両外相共同記者発表で「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」した。しかし、韓国の新政権は国内では解決していないと言い出し、「民意」に振り回される韓国の外交…

マイナス金利とキャッシュレス

欧州中央銀行(ECB)が最高額の500ユーロ紙幣の発行を停止する。使用することは無期限で可能だが、徐々に市中から消えていくとみられている。廃止する理由は犯罪防止で、マネーロンダリングや脱税に悪用されることへの対策という。最高額紙幣は日本1万円…

嗚呼、インターナショナル

♫立て、餓えたる者よ〜〜と歌い出し、♫いざ、闘わん、いざ、奮い立て〜〜嗚呼、インターナショナル、我らがもの〜〜などと歌う「インターナショナル」。フランスで誕生したこの歌は労働歌として世界に広がり、日本でもかつて労働組合運動が活発だった頃に盛…

ツルを折ることができますか

知人の奥さんの知り合いが癌の闘病生活を続けていて、励ますとともに平癒を願うため皆で千羽鶴を折ることになり、知人も手伝いをさせられたという。ツルを折ることは子供の頃に覚えていたので、折ることは簡単だと知人は思っていたそうだが、いざ折り紙を手…

手本は北朝鮮?

ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮は、短距離から長距離まで各種ミサイルを保有するという。報道によると、実戦配備されているのは「スカッド」(射程300〜500キロ)、「スカッドER」(同1000キロ)、「ノドン」(同1300キロ)、「北極星2」(同2000キロ以…

グレタとトランプ

米誌「タイム」は2019年「今年の人」に16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんを選んだ。「地球が直面する最大の課題に対して、最大の影響力を誇る人物となった」ことが選出理由だという。確かに世界のマスコミはグレタさんの動向を大きく扱ったから、少女…

試される普遍性

普遍的価値観を外務省は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済とする。いずれも欧米由来の価値観であるが、人類が共有するに値すると見なされたから世界で普遍的とされているのだろうし、普遍的だと教育されたことで人々は普遍性に疑いを持たな…

内なる植民地

欧米に比べて日本は移民の受け入れ数が少なすぎるとの批判があるが、飲食店やコンビニなどで見かける外国人労働者は珍しくなく、多くの外国人技能実習生も存在するというから日本で働く外国人は増えているようだ。住む国を変えて働く人を移民とするなら、日…

新しい世界を広げる

2年前に60歳になった知人がいる。親戚を集めて盛大に還暦祝いをしたいとの家族の提案を知人は拒否し、少し高級なレストランに出かけて家族だけで誕生日を祝うにとどめたそうだ。「還暦なんて言われると急に年寄りになったみたいで嫌だったし、照れくさくも…

タレントに興奮する人々

タレントが街歩きする番組は珍しくない。飲食店を訪ねて名物料理などを食べて大げさに「美味しい」などと誉めそやしたりする。タレントが撮影交渉する姿を入れることで、「仕込み」ではないことをさりげなく強調したりする。 タレントが歩くのは都会の商店街…

閉じた世界と資本主義

資金を集めて経済活動を行い、得た利益から利子を出資者に提供することで成り立っていた資本主義経済が壁にぶつかっている。世界経済が大不況で機能不全に陥っているわけでもないのに、日米欧などの10年国債の金利は低い。利子を産まなくなった経済活動は資…

国民国家と「近代の秋」

既得権益層やエリートから国家主権を取り戻し、一般人の感覚に基づいて運営される「健全」な国民国家へ回帰することで、民主主義を取り戻そうという動きが世界で見られる。そうした動きはポピュリズムだとの批判も盛んに行われ、国民国家のあり方が揺らいで…

そういう見方もある

例えば、世界の大学ランキングを英国の教育専門誌が発表すると、日本の大学の順位が上がったとか下がったとか日本のマスコミは詳しく報じる。ランキングは教育力、研究力、研究の影響力、国際性、産業界からの収入をそれぞれ指標化して決めるといい、論文引…

「08憲章」に見る民主中国

中国が共産党による独裁統治をやめ、人権や民主主義、法の支配を尊重する国になることは、中国に住む人々にとっての幸いであるだろうが、周辺国に住む人々にとっても、新しい民主的な中国と判断基準、行動基準などを共有し、相互理解と相互尊重に基づく国際…

自然との共生と温暖化

人と自然との共生という概念は良いことだとみなされているようだ。これは1980年代に現れた概念で、「昔の日本人は自然と共生して生きていた」などと賛美されたりする。だが、自然と共生するしかない条件下に生きてきたのが実態だろうし、燃料にするために木…

民主主義は善か

民主主義は善きことであると一般には見なされているようだ。軍部や特定階層などによる独裁体制よりも、民主主義のほうが多数の人々にとって望ましい体制であることは確かだろうが、民主主義という制度と善という価値観を結びつけると、民主主義が理想化され…

話法の効果

話すときに身振り手振りが大きな人がいる。話すことに熱中して、つい身体も動いてしまうのだろうが、意識して身振り手振りを大きくしている気配の人もいる。それは、自分の話に演出を加えているようにも見え、聞き手に違和感を感じさせたりする。 評論家や大…

民主主義と国民主権

人々の自由な普通選挙により形成された議会で国家運営の方向を決定するシステムである民主主義を支えるのは、国民主権(人民主権、主権在民)の概念だが、民主主義と国民主権の間には緊張がある。それは、民意は常に揺れ動くが、一度形成された議会は次の選…

雨が降っているから天気が悪い

「雨が降っているから天気が悪い」とか「晴れているから天気が良い」などの言葉は正しい(間違ってはいない)であろうが、少し考えると「そんなこと、当たり前じゃないか」と気がつく。論理的な装いではあるが、表面的なことしか言っておらず、新しい発見は…

世界で大規模な山火事

オーストラリア南東部で11月から山火事(森林火災)が猛威を振るっている。100カ所以上で発生した火災は強風により燃え広がり、合体したりして規模を拡大、シドニーに迫っているという。すでに165万haが焼失し、700戸以上の住宅が被害を受け、死傷者が出てい…

白人至上主義

白人至上主義とか白人優越主義と呼ばれる考え方がある。白人は有色人種より優れているとする考えだが、なぜ、そうした考え方が生じたのか。言い方を変えるなら、なぜ、そうした考え方が必要だったのか。それは、白人による有色人種の支配を無条件に肯定する…

多次元世界

物質とは何かを人間は考え、探ってきた。そして原子の存在を知り、さらに原子は陽子や中性子、電子でできているが、それらは更に小さな素粒子でできていると知った。素粒子は粒子と波の双方の性質を併せ持つもので、大きさを持たない「点」のようなものと考…

優れた政治家

優れた政治家の要件は何か。第一に高く豊かな見識を持ち、第二に論理的な思考力を有し、第三に人々の暮らしに精通し、第四に自分の利益より人々の利益を優先し、第五に強い情熱と意志を持ち、第六に意見や利害の対立を公平に調整する能力を有し、第七に人々…

内政干渉という反論

米国で成立した香港人権・民主主義法により、①香港で「一国二制度」が機能しているかどうかを米政府が毎年検証、②香港で人権侵害を犯した人物には米国入国禁止など制裁を科す、③香港経由の中国への米国製ハイテク製品の不正輸入を米国政府が毎年検証ーなどが…

政治と希望

希望とは「ある事の実現を願いのぞむこと。その願い」「将来によせる期待。見通し」(大辞林)、「自分がこう成りたい、人にこうしてもらいたいと、よりよい状態を期待し、その実現を願うこと」(新明解)とされる。つまり、何かの実現を期待することだ。 何…

典型としての人体

人間の誕生以前から神は存在していたとするのがキリスト教やイスラム教の考え方だ。神の姿は人間には見えないから、神がどのような姿をしているのか人間は知らない。イスラム教が偶像崇拝を禁じるのは、見えない神を人間が勝手に作り上げることは神への冒涜…

地位と名誉と好色漢

英王位継承順8位のアンドリュー王子は、一時的に公務から引退すると表明せざるを得ない状況に追い込まれた。一時的とするが、アンドリュー王子に対する批判は収まらず、英エリザベス女王がアンドリュー王子の「解任」を決め、約25万ポンド(約3500万円)の…

鎌倉リアリズムは何を意味するか

鎌倉リアリズムという彫刻様式が生まれた背景には、平安末期の戦乱のあと多くの大寺院が再建事業に乗り出し、仏像制作における技術的洗練が進み、仏師たちが身体の革新的な表現に取り組んだことなどがあるする加藤周一氏(『日本その心とかたち』)。詳しく…

公約の効能

お題目とは「法華経の題目(「南無妙法蓮華経」と「妙法蓮華経」)を丁寧にいう語」だが、「ありがたそうに唱えているばかりで、内容・実質のない主張」(大辞林)という意味でも使われる。実質がないという点では選挙を前に政党がでっち上げ…いや、急いで作…