望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

義が行動原理

童話「桃太郎」のストーリーや人物設定などは地方によって様々な違いがあるそうだが、一般的なのは、桃から産まれた桃太郎が老夫婦に育てられ、成長してから鬼が島に行って、人々を苦しめる鬼を退治し、宝物を持ち帰るという筋書きだ。鬼退治には、犬、猿、…

借り物の正義

自粛警察と呼ばれる行為として報じられているのは、▽飲食店のドアに「営業するな!火付けるぞ!」と書かれた段ボールを貼り付けた▽居酒屋やライブバーに「この様な事態でまだ営業しますか?」「自粛してください。次発見すれば、警察を呼びます 近所の人」と…

世界を評価する

英教育専門誌が行う「世界の大学ランキング」で東大や京大など日本の大学の順位が下がり、数年前にはアジア首位をシンガポール国立大に譲り、順位を上げた北京大にも抜かれたと報じられた。世界の上位200校に入った日本の大学は2校だけだなどと、日本の大学…

真似できない髪型

日露戦争の後に女性の間で二百三高地髷という髪型が流行った。当時の写真を見ると、前髪が大きく張り出し、頭頂部に束ねた髪が高くそびえるスタイルだ。髪でつくった大きな鏡餅を頭に乗せているように見えるものもあり、正面から見ると、女性の顔よりも髪の…

PCR検査と安心

空港や営業を再開した商業施設の入り口などで体温測定を行っている様子がニュース映像などで放映されるが、使用されている体温計はほとんどが非接触式だ。対象になる人数が多いので、瞬時に測定できることと衛生的なことから採用されているのだろう。 非接触…

社会の外から来る大量の難民

東日本大震災で被災し、避難所生活を強いられた人の数は全国で最高時には約47万人にも達した。阪神大震災では約32万人。被災者は学校や公共施設などで集団生活し、仮設住宅が整備されたなら順次移転したり、借り上げの災害公営住宅などに入居するなどして、…

住む場所を選ぶ

現在のトルコ共和国に住むトルコ人はテュルク系民族とされる。テュルク系民族は中央アジア一帯からモンゴル高原、現在の中国北部などにかけてユーラシア大陸の内陸部に広く住み、各地で様々な国をつくったり滅ぼしあったりしてきた。現在のトルコ人の祖先は…

シリア化

「シリア化」という言葉を考えついた。これは、シリアのようになるという意味だ。といっても、4000年以上も前から文明が栄え、多くの人が行き交い、この地を多くの国が代わる代わる支配したという長い歴史を持つことを意味するのではない。強権的な政権に対…

ロマンチックな空想

10代や20代の若い頃に、自分が長生きすることや、70歳代、80歳代、90歳代まで生きて老人になることに実感が持てず、反対に、自分は若死にするとか「30歳過ぎまで生きてはいないだろう」などと思ったり、感じたりする人がいる。 若くして死ぬというのは、ある…

何と戦うか

米映画のキャラクターの一つである「プレデター」は地球外生物で、光学迷彩で自らを透明化して地球で人間を襲う。透明化している上にプレデターは腕力が強く肉体的能力にすぐれ、地球人は劣勢だが、映画では最後に地球人が勝つ。見えない強力な敵が近くにい…

法は神聖視すべきか

日本では自動車は道路の左側を走る。この左側通行を採用している国は世界でほぼ3分の1で、残りの3分の2は右側通行を採用している。左側通行と右側通行の違いにより、交通事故の発生率などに差が出て来ることは考えにくく、どちらの通行方法が優れている…

中国は勝利したか

中国国内では、新型コロナウイルスに勝利したとのイメージが広がっているという。公式発表では感染者数は約8万3千人、死者は4600人台だから、いくら総人口が多いとはいえ、少ないとはいえない数字だ。勝利したとの実感を持つ人は、おそらく感染者や死者が…

旧型になってから批判

自動車雑誌などに掲載されている新型車の試乗リポートは、その新型車の良いところしか取り上げないという印象だ。うっかり厳しい批判を書いてしまうと、広告を出してもらえなくなったり、広報に様々な便宜を図ってもらいにくくなったりするから“自主規制”せ…

科学と未来予測

世の中に溢れる多くの言説の中には、「科学的に妥当だ」との装いを強調するものがあり、信用度を高めることに効果があったりする。科学という言葉には、客観的に証明された正しい知見とのイメージが投影されているので、それらの言説も客観的に正しいと見な…

悲観的になることと加齢

長く続いた永六輔さんのラジオ番組ではいつも野坂昭如さんからの手紙を紹介していた。その手紙は、世相を斬るといった内容が多かったが、柔軟で個性的な独自の視点からの評というより、子供の頃に戦争に巻き込まれた体験をベースに、世の中は悪くなっている…

明るいニュース

「暗いニュースばかりで気が滅入る。明るいニュースがもっと欲しい」との声は、社会的な混乱や事件が続いた時などに多く現れる。それに応えてマスコミは、子供らの健気な行いや人々の善行を探し出して伝えたり、きれいに咲いた花々や可愛い動物の姿を紹介し…

繰り返してきたことか

中東からアフリカにかけて、政府が機能しない破綻国家が点在してテロ集団が跋扈し内戦状態となり、欧州には大量の難民・移民が流入して、多文化主義など欧州が掲げる理念・理想が揺さぶられる一方、台頭する中国が欧米主導の国際秩序に黙って従うことを拒否…

4時間を楽しむ

2016年3月26日に北海道新幹線が開業した。北海道新幹線といっても、北海道を走る距離は長くはない。新青森駅まで開業している東北新幹線が、青函トンネルを通って道南の新函館北斗駅まで延伸しただけだ。だが、新幹線の北海道初上陸であることは確かだし、…

ウイルスとの消耗戦

毛沢東は1957年、ソ連で開催された社会主義各国の首脳会議で、西側との対話を否定し、「武力をもって打ち破ればよいのだ。核戦争になっても構わない。世界には27億人がいる。その半分が死んで帝国主義が一掃されたとき、社会主義だけが生き残る。中国の人口…

おみくじの秘密

初詣で、おみくじを抽(ひ)いた人も多いだろう。大吉を抽くと大喜びし、凶など出ようものなら縁起が悪いと気にかかったりして、それなりの影響力をおみくじは持っている。とはいえ、おみくじが個人の運勢や吉兆を正確に言い当てていると信じている人はほと…

様々な外貨準備

2015年12月末における日本の外貨準備高は1兆2332億ドルで世界2位。うち1兆1790億ドルが外貨で、その大半の1兆642億ドルが証券(ほとんどが米国債)。ちなみに金は261億ドル、IMFリザーブポジションは95億ドル、SDRは180億ドル。外貨準備高の世界1…

「干す」という悪習

タレントを縛りつけて収奪する芸能プロダクションの構造を分析した『タレント帝国』が刊行されたのは昭和43年(1968年)だった。著者は、女性誌の専属ライターとして芸能界の表裏に精通していた竹中労さん。当時、テレビ局や雑誌などにも強大な影響力を持っ…

ゾンビとパンデミック

映画では、ゾンビに襲われ、噛まれた人は死んで、その死体はやがてゾンビとなって蘇り、人を襲う。生きている人間を食いたくなるのがゾンビだという設定で、物理的にゾンビの体(死体)を破壊しなければゾンビは活動し続ける。人々は次々にゾンビに襲われ、…

嫌ぁ〜な感じ

自分の側に間違いやミス、誤解など非があったことを自覚したなら、対立していた相手に謝罪する行為は自然なことかもしれない。だが、どちらの主張にも相応の正当性があり、それが対立している場合には、話し合いで妥協点を見いだすしかないが、どちらも譲ら…

温暖化と保険

例えば、1週間後に世界のどこかで大地震が起きるかもしれず、1カ月後に世界のどこかで火山の大噴火が起きるかもしれないが、それを前もって知ることはできない。自分のことでも、いつ事故に遭って大ケガをしたり大病を患うかもしれず、いつか寿命の終わり…

それぞれの感染爆発

ブラジルで新型コロナウイルスの感染爆発が生じているが、死者が5千人を超えた日に記者に問われたボルソナロ大統領は「それで? 私に何をして欲しいのか?」と答え、「私に奇跡は起こせない」「これが人生だ。明日は我が身になるかもしれない」などと述べ、…

世代別の意味するもの

覚醒剤の所持、使用、譲渡、譲り受けなどで検挙された人は全国で1万958人になる(2014年)。平均すると1日当たり30人が検挙されている計算だ。うち55%の6024人が暴力団構成員等(山口組と稲川会、住吉会の構成員等は4654人)。大麻事犯、麻薬事犯などを含…

余剰マネーで世界は不安定

モノやサービスの売買などの実物経済の規模は世界で74.2兆ドルだが、金融経済の規模はもっと大きく、ストック・ベースで余剰マネーが140兆ドルあるとIMFは推定している(2013年。水野和夫著『資本主義の終焉と歴史の危機』)。この余剰マネーはレバレッジ…

ドキュメント「パンデミック4月」

世界における新型コロナウイルスの感染者数は4月1日に90万人を超え、30日には320万人を超えた。死者数は1日に4万6千人を超え、30日には22万人を超えた。都市封鎖によって各国で経済活動はほぼ停止し、人々は将来不安の中にいる。 <4月>1日=世界の…

飛べない航空会社

各国で人々の外出が制限され、客が消えたのだから例えば、レストランなどは売り上げが立たず、融資や援助を受けることができずに手持ち資金が尽きれば廃業するしかない。これは大企業でも同じで、売り上げが立たず、融資や援助を受けられずに手持ち資金が尽…