望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

不安を煽る商売

五輪が開幕する前は感染拡大の危機をさんざん煽っていた新聞やテレビだが、開幕すると一転し、日本人の活躍やメダリストのひたむきな努力ストーリなどを連日大きく扱う。東京はじめ全国で感染が拡大しているが、そうした報道は事実を伝えることが主で不安を…





鳥を見る人々

鉄道を愛でることを趣味とすることは最近ではすっかり市民権を得ている。書店には関連本が多数並び、テレビの旅番組でも、どこかの沿線を巡るなど鉄道に関連させた企画は定番となっている。一昔前は、鉄ちゃんなどと呼ばれて変わり者扱いだったのに、変わっ…





シェアハウスの可能性

シェアハウスとは、家を複数の人が共有して暮らす居住形態だ。個人で個室を借り、台所やリビング、風呂などは住人共用となる。不動産会社は、敷金・礼金・保証人が不要であることや、月払いの短期契約型であることなどをPRしている。 昔の木造アパートには、…

最速15分は長いか

2016年3月に北海道新幹線が開業し、北海道内では木古内駅と新函館北斗駅に新幹線が停車するようになった。本州から新幹線に乗って来た人が人気の観光地である函館に行くためには新函館北斗駅でアクセス列車(はこだてライナー)に乗り換える必要があり、所…





ダボス会議の値段

世界中から、お金持ちや政財界の指導者らが集まって、世界の現状や先行きなどを議論するというイメージがまき散らされているダボス会議(正式には世界経済フォーラム年次総会)。 資本が国境を超えて自由に移動する現在、そうした巨額の資本に都合のいい世界…





馬脚を現した

2011年に、ドイツの緊急救助隊が東北に入って早々、原発事故を知ると、本国の指示とやらで救助を一切行わず、すぐに日本を離れ帰国していたと報じられた。でもアメリカやスイスの救助隊は活動を続けたという。 東日本大震災を現地取材しようと世界から取材陣…





「大雪」で大騒ぎ

2011年の2月14日に太平洋側で降雪となり、四国や和歌山でも雪が降り、首都圏でも数センチの積雪となった。日本列島の太平洋側を低気圧が西から東に移動し、その低気圧が北からの寒気を呼び込む格好で太平洋側で降雪となるパターンは、冬型の気圧配置から春…

表現と主張

子供から大人まで、絵を描く人は多い。何かを表現したいと描き始めて作品を仕上げた当人は精神の充実感を得るだろう。作品を仕上げて満足する人が多いだろうが、中には自分の作品を他の人にも見てもらいたいと公募展に参加したりする人もいる。作品が高評価…





長期と短期

リビアの「革命指導者」というカダフィ大佐は41年も権力を握り続け、エジプトのムバラクは30年、チュニジアのベンアリは23年だった。 独裁者が長期にわたって強権を振るい、その親族と取り巻きだけが肥え太って行く社会に暮らすとは、どういうものなのだろう…





大聖堂と神

2011年のニュージーランドの地震でクライストチャーチにある英国国教会の大聖堂も大きな被害を受け、尖塔などが崩れ、聖堂内部や周辺で多数の死傷者が出た。この大聖堂は英国からの移民が建設、1904年に完成したもので、観光名所の一つとなっており、観光客…

何でも異常気象

ドイツ西部やベルギーなどで7月14〜15日に24時間の総雨量が100~150ミリという集中豪雨があり、河川が氾濫して洪水が発生した。確認されている死者はドイツで160人、ベルギーで31人だが、多数の行方不明者がいると見られている。欧州で大規模な洪水の被害が…

「オオカミが来るぞ」パラドクス

「オオカミが来るぞ」「オオカミが来るぞ」と警鐘を鳴らし続けている人がいる。その警鐘が正しかったことが客観的に証明されるためには、実際にオオカミが来ることが必要だ。ついにオオカミがやって来た時に、警鐘を鳴らしていた人はどんな気持ちになるのだ…





身軽になる

東京近郊の自宅の一部屋にびっしり、本を積み重ねていた友人がいる。本が積み上がっている様子は、JR中央線沿線の駅から離れた路地にある整理の悪い古本屋の趣で、一画にはCDやDVDも積み上げられていた。2011年に東日本大震災を職場で体験した友人は…

ある死刑論

ある友人は若い頃に大逆事件を知ってから、死刑制度に反対する考えを持つようになったという。政府が社会主義運動を弾圧するために24人に死刑判決を下し、12人を恩赦により減刑する一方、幸徳秋水ら12人の死刑を執行して社会から完全に排除した大逆事件。国…





動く仮設住宅

日本は地震国であり、日本列島は地震の活動期に入ったとの専門家の見立てもあり、全国どこでも「次の被災地」になる可能性がある。巨大地震だった東日本大震災の以降は、地震対策においても想定外という言葉を使うことができなくなるだろう。地震対策はさら…

ただのカゼ

日本でも接種が進むCOVID-19ワクチンの効果について厚労省サイトでは、①ファイザー社のワクチンでは約95%、武田/モデルナ社のワクチンでは約94%の発症予防効果が確認されている、②実際に接種された人の情報を集めた研究等から重症化予防効果を示唆する結果…





「がんばれ」という言葉

「がんばれ」という言葉が東日本大震災以降、大増殖した。その言葉を発する人は被災者に同情し、励まし力づける意味で使用していて、家族や友人等を失い、自宅を失った人に向けて、更なる特別な奮起を促しているわけではないのだが、被災者に向けて放たれる…

動ける人から動け

2011年の東日本大震災では首都・東京のもろさがアラワになった。長い揺れが続いた震度5強だったが、鉄道の運行が止まり、JRは終日、復旧せず、多くの人が帰宅難民となって、数時間歩き続けた人やら会社等に泊まった人やら混乱した。そして、計画停電。停…





浮世絵だけじゃない

浮世絵というと日本人は、西洋の印象派に強い影響を与えたと自慢する。立体的な表現スタイルに縛られていた欧州の画家達に浮世絵は、平面という2次元世界の表現の新しい可能性を実地に示した。なにより浮世絵は、見てすぐ分かる面白さが共感されたのかもし…

米軍の侵攻から20年

米国は7月6日、アフガニスタンからの米軍撤収が9割以上完了したと発表した。米軍がアフガニスタンに侵攻したのは20年前の2001年10月。同年9月11日に米NY市における同時多発テロが発生した後、米国はアフガニスタンのタリバン政権にアルカイダのビン・ラ…





電線の地中化

住宅地の高架を走る列車の窓から外を見ると、電線をつないだ電柱のアタマが並んでいる光景が目に入る。たしかにゴミゴミとした印象はあるが、「汚い」光景だとはいえない。しかし、電線の地中化を主張する人は、電線や電柱が目障りで仕方がないらしい。 例え…





薔薇とローズ

花のバラを指して、ある人が「薔薇」と言い、別の人は「ローズ」と言う。表現は異なるが、どちらも正しい。この2人が議論をして、「薔薇が正しい」「ローズが正しい」とそれぞれ主張したとしても、どちらも正しい(どちらも間違いではない)。 では、バラを…

人民服の意味

中国共産党の結党100周年の祝賀式典で中国共産党の中央委員会の総書記である習近平氏が演説し、報道によると「共産党がなければ新中国もなく、中華民族の偉大な復興もない。党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴で、最大の優位性だ」などと述…

「欲しい」と「必要」

2011年の東日本大震災後には自粛機運による消費縮小が懸念された。破壊され瓦礫となった家屋、家財道具などの映像が消費者心理に影響を与え、被災者への同情とも相まって、消費行動に変化をもたらしたのだろう。一時的な変化なのか、根本にも及ぶ変化なのか…





黒鳥

自分の目に見えている世界(主観的な世界)と、現実の世界(客観的な世界)とのズレは、程度の違いはあっても、誰もが抱えているものだろう。自我が強く、主観が出過ぎると、ズレに気づかなかったり、ズレを無視したりして、周囲は振り回されたり、辟易した…





天から食べ物

昔、天から毎日、決まった時間に食べ物が降ってきたので、人間は働くこともなく毎日楽しく暮らしていたという。しかし、人々の間に「もし、明日、天から食べ物が降って来なければ、飢えることになる」との不安が出て来て、天から降って来た食べ物を全部食べ…

AMからFMへ

日本初の民放ラジオ局である中部日本放送と新日本放送が開局したのは70年前の1951年。次々と全国でラジオ局の開局が続き、相撲中継や野球中継、連続放送劇、リクエストによる歌番組、クイズ番組など多くの人気番組が誕生、ラジオは全盛期を迎えたが、やがて…





体を張った記者

生命の危険がある戦場などに、記者が業務命令で行かされることは、現在の企業社会では許されないことかもしれない。従業員組合との決めごともあろうが、「○○社は戦場に社員の記者を派遣して死なせた」と世間に見られ、派遣された記者が負傷したり死亡した場…





新聞やめた

最近、首都圏から地方に引越した知人が、新聞の購読をやめたという。出版社勤務の経験もある知人は以前、新聞は情報収集の大事な手段だと言い、朝になって新聞が届いていない生活などは考えられないと言っていたのに、引っ越してからは新聞なしの生活がもう…