2011年の2月14日に太平洋側で降雪となり、四国や和歌山でも雪が降り、首都圏でも数センチの積雪となった。日本列島の太平洋側を低気圧が西から東に移動し、その低気圧が北からの寒気を呼び込む格好で太平洋側で降雪となるパターンは、冬型の気圧配置から春型に移行していることでもある。
当日の夜のTV各局のニュース番組ではトップで、都内や八王子などから中継で降雪状況を熱心に伝えていた。あまりに大層な伝えぶりで、中には「この大雪は~」とリポートする人もいて、数センチ程度の降雪に「大雪」とは、あきれるほかない。
もっと多くの降雪に見舞われた北日本や日本海側の地域に比べるなら、いくら降雪対応がお粗末な首都圏や太平洋側とはいえ、数センチ程度の降雪で「大雪」は言い過ぎ。別の言い方をすると、数センチ程度の降雪でTV各局はなんで、あんな大騒ぎをしたのか。まるで巨大台風が首都圏を襲来したかのようなハシャギっぷり、いや騒ぎ方だった。
この「大雪」は国際的にはニュース価値はゼロだっただろう。2月14日時点で国際的に最も注目されていたのは、エジプトの動向だ。日本国内で日本人相手に放送しているニュース番組が内向きの話題偏重になるのは、内向きの日本人相手としては止むを得ないかもしれないが、日本のメディアにも「開国」が必要な気がする。
エジプト情勢のニュースは連日、それなりに日本のテレビ各局でも報じられていたものの、世界史の年表に太字で記入される大きな出来事が起きたのだという高揚感めいたものがキャスターからは伝わって来ず、他人事という感じだった。
メディアが伝えるものは、聴取者や読者が望むものが主になる。メディアは聴取者や読者にこびるという言い方もされる。日本の太平洋側には数千万人が暮らしているのだから、数センチの「大雪」の方がエジプト動向よりも重大だというニュース価値判断もあるのかもしれない。そんな日本メディアだからリポーターは張り切って「大雪」と言ってしまったのか。