望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

国境の希薄化

目新しくはなくなったグローバリズムという言葉。資本主義が世界を覆っていることや、“できる(稼ぐ)”人は国境を越えて世界で活動するというイメージをこの言葉は醸成、定着させたようだ。似た言葉にインターナショナリズムがあるが、こちらは、国家の枠を…

最高権力者の自由な表現

支持者が連邦議会議事堂に乱入した事件の後、「暴力をさらに誘発する恐れがある」として米ツイッター社がトランプ大統領の公式アカウントを永久に停止した。トランプ氏は大量のツイートによって支持者にメッセージを届けていたが、アカウントの永久停止と落…





守るべきもの

2013年のベルリン・マラソンでケニアのウィルソン・キプサング選手が2時間3分23秒の世界新記録で優勝した。これは従来の記録を15秒短縮したもの。15秒とは僅かなようだが、キプサング選手の世界新記録で計算すると、15秒で約85メートル走る。つまりゴール…





リニア新幹線

東京と名古屋を40分で結ぶというリニア中央新幹線。2027年の開業を目指すJR東海が公表した走行ルートは、東京と名古屋の最短距離に沿うように走り、全体の86%がトンネルになるという。東京都や愛知県の都市部では、大半が地下40メートルより深くなるとい…

凶を愛でる

神仏の存在は信じないが寺社の建物が好きで、見かけるとつい立ち寄ってしまうという友人は、おみくじのファンでもある。おみくじをひいて、そこに書かれていることを面白がるが、未来を予言しているなどとは考えない。大量に印刷されているおみくじに、個別…

皆が待っている?

この30年ほど高い経済成長を続け、GDPでは日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の規模になった中国。外国から資本と技術を呼び込んで、低賃金労働による製造拠点として世界的な商品供給地となった。その一方、独裁体制を続ける共産党による経済統制も強固で…





5人か1人か

かつてNHKが放映した「ハーバード白熱教室」で取り上げられたテーマの一つがトロッコ問題。これは、暴走するトロッコの前方には作業中の5人がいて、そのままでは轢き殺されてしまうが、その手前に分岐路があり、トロッコの進路を切り換えれば5人は助か…





個人と国家

外務省によると、世界には日本が承認している国が194あり、日本を加えて195の国がある(日本が承認していない北朝鮮を加えると196。国連加盟国は193。2013年)。世界の人口は71億4000万人以上とされ、年間7000万人増える(1日で20万人、1分で137人増える計…

感染に覆われる世界

世界で新型コロナウイルス感染による死者は200万人を超え、感染者は9700万人を超えて1億人到達が目前だ。日本でも感染拡大の勢いが増しているが、世界では日本より感染状況が深刻な国は珍しくない。感染者本人とその家族、知人など世界で多くの人々が同じウ…

どちらも変

中国も日本批判を激しく行っている。ただ、こちらは韓国外交よりは、日本批判に転じた動機が理解しやすい。2012年9月に日本が尖閣諸島を国有化したことが、1968年以降に主張し始めた中国の領有権を侵しているということだろう。「棚上げ論」を日本側が破棄…





ダイオウイカ

なぜ、ダイオウイカは人気者になったのか? 確かに、小笠原沖の深海で2013年に撮影され、TVで放映された映像は印象に残るものだった。深海の闇の世界から潜水艇のライトの中に突如現れ、全身で光を反射しながら、巨大な目で人間のほうをうかがっているような…

新しい日常

平穏な日常が一瞬にして消え、非日常の中に突然投げ出されることは、日本に暮らす多くの人にとって希有な体験ではない。大地震は日本の各地で発生し、自然も人工物も破壊される。無事だった人も、電気などライフラインが断たれ、不自由な生活が続く中で生き…





大阪人の舌

いわゆるグルメで、いろいろなレストランなどで頻繁に食事していて、舌が肥えている人々なら、手捏ねハンバーグと既製品の違いや、レッドキャビアとトビウオの魚卵の違い、鮮魚と冷凍保存した魚の違い、芝海老とバナメイエビの違い、自家菜園の野菜のサラダ…





バチがあたる?

例えば、「そんなことをすると地獄に堕ちるよ」と注意された人が、地獄の存在を全く信じていなかったならば、その注意の言葉は空振りだ。同様に、天国の存在を信じていない人に「天国に行くことができるように善行を積みなさい」などと言っても、「天国が存…





受け継がれるもの

2002年に第一勧銀、富士、興銀が合併して誕生したのが、みずほ銀行。傘下の信販会社オリコが扱う自動車ローンなどで暴力団組員ら反社会的勢力との、件数で230件、融資額で約2億円になる取引が存在していたと2013年に明らかになった。みずほとの提携ローンで…

場外乱闘

スポーツはルールを競技者が守ることで成り立っている。マラソンで設定されたルートを無視して競技者が走ったり、自由に手を使うサッカー選手がいたり、土俵を無視して力士が取り組みを続けたり、競技能力を高める薬物を好きなように乱用する競技者がいたり…





謀叛有理

造反有理とは「反逆には道理があるということ。1939年毛沢東が演説に用い、文化大革命の際、紅衛兵がスローガンの一つとして用いた」(大辞林)。この言葉が日本でも広く知られるようになったのは、中国の文化大革命の頃からで、当時の学生らも使っていたよ…





科学と文学

マスコミの報道もあって、人為的な原因により気候が温暖化していると「知っている」人は多い。そして、温暖化していると「信じている」人も多いようだし、暑い夏を体験したりして温暖化を「感じている」人も多そうだ。3つの言葉の違いは、「知る」は知識の…

行政の怠慢と精神論

政府は首都圏1都3県を対象に緊急事態宣言を行った。感染者の大幅増加や重症者の増加を見ると、やむを得ないとの印象もある一方、飲食店での会食が今回の感染拡大の元凶だと政府や自治体は見ているらしいが、飲食店の営業禁止には踏み込まず(補償金の問題…





父を殺された娘

1963年11月22日に米テキサス州ダラスで、パレードのオープンカーの後部座席にいた第35代大統領であるジョン・F・ケネディは狙撃され、死亡した。リー・オズワルドの単独犯行とされているが、実行犯は複数いて、複数の場所から狙撃したとの説はいまだに根強い…





迷惑をかける

会見で記者たちを前に、きちんとした背広・ネクタイ姿の中高年の男が数人並んで、一斉に立ち上がって頭を深々と下げる……という場面を見ることが珍しくなくなった。ニュース番組に「今週の謝罪」というコーナーをつくっても、ネタには事欠かないかもしれない…

乱入してしまった

米国の首都ワシントンにある連邦議会議事堂の建物に、大勢のトランプ大統領の支持者が乱入した。トランプ大統領の支持者らが議事堂に押しかけたのは午後1時すぎで、上院の議場から午後3時半ごろ警察により排除され、議事堂の建物からは午後6時半過ぎに完…





太陽に焼かれる

太陽系が誕生した45億年前ころの氷と岩でできているというアイソン彗星は2013年、太陽に近づきすぎたのか、粉々になって消滅してしまった。太陽系の外側から100万年かけて、ようやく太陽に接近したというのに、アイソン彗星は太陽の熱により溶かされ崩壊した…




夢か情熱か志か

「夢を持て」と若者に言う人がいる。夢を持つことは大事だと、うっかり同意したくなるが、待てよ、若者が何を夢とするかは、まちまちだ。「平和な世界にしたい」やら「プロ野球選手になりたい」「人気歌手になりたい」などというものから、「正社員になりた…

100年前は1921年

100年前の1921年の日本では、生活難などから自殺が急増した一方、各地で解雇に反対する人々による同盟罷業や小作料減額を要求する争議などが増加し、大阪では失業者大会が開かれた。川崎造船・三菱造船での3万人参加の争議では政府がデモを禁止し、軍隊が出…

被害者感情の持続

国会で与野党が鋭く対立する法案が、ある。対立の根にあるものは各政党の政策の違いのはずだが、主張が似通っている政党なのに賛否が対立する場合も珍しくはない。そうした場合には法案に、支援団体の利害が絡んでいたりする。支援団体がヘソを曲げると次の…

カメラ女子の未来

「カメラ女子」という言葉が一般化したのはいつ頃だったか覚えていないが、オリンパスがミラーレスのPENを発売してから、カメラを持つ女性を街で見かけることが珍しくなくなった印象がある。同じ頃にパナソニックもCMに女性タレントを起用してアピール…





次期の都知事がやるべきこと

東京南部でマグニチュード7級の直下型地震が起きたなら、最悪で死者2万3千人、経済被害は95兆円と中央防災会議。冬の夕方などの場合で、強めの風が吹くと焼失・全壊建物が61万棟になり、都区部の5割が停電して電力不足が1週間以上続き、断水人口は1440…

見えない安定

2020年からの新型コロナウイルスの世界的な流行は、日常の安定という現象は微妙なバランスの上に成り立っているものであり、この世界は常に変化を続けていて、時には破壊的な変化がもたらされて、それまでの安定から人々は放り出され、新たな混乱・混沌の中…