望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

感染に覆われる世界

 世界で新型コロナウイルス感染による死者は200万人を超え、感染者は9700万人を超えて1億人到達が目前だ。日本でも感染拡大の勢いが増しているが、世界では日本より感染状況が深刻な国は珍しくない。感染者本人とその家族、知人など世界で多くの人々が同じウイルスに苦しんでいるのだが、ウイルスに世界各国が足並みを揃えて立ち向かう気配は希薄のままだ。

 世界における感染者数が多い国(22日現在)は順に、米国2447万人、インド1061万人、ブラジル863万人、ロシア361万人、英国355万人。米国だけで世界の25.2%と4分の1を占めるのだから、ひどい感染状況だ(どうにか持ち堪えているのは、さすが大国・米国の底力か)。米国にインドとブラジルを加えた3カ国で45.0%となり、ロシアと英国を加えた5カ国では52.4%と、世界の感染者の半分以上が5カ国で出ている。

 死者数が多い国は順に、米国が40万人、ブラジル21万人、インド15万人、メキシコ14万人、英国9万人。死者数では米国が世界の19.2%と5分の1を占め、圧倒的に多い。ブラジルとインドを加えた3カ国で36.5%、メキシコと英国も加えた5カ国で47.8%。感染者数に対する死者数の比率は世界累計では0.021%だが、米国では0.016%、ブラジル0.024%、インド0.014、メキシコ0.085%、英国0.025%、ロシア0.016%で、メキシコが高い。

 感染状況を地域別に見ると、アジアではインドが感染者1061万人(死者15万人)と突出し、次いでインドネシア93万人(2.7万人)、バングラデシュ52万人(0.8万人)、パキスタン52万人(1万人)、フィリピン50万人(1万人)、日本34万人(0.5万人)。中東ではトルコ240万人(2.4万人)、イラン134万人(5万人)、イラク60万人(1万人)、イスラエル56万人(0.4万人)、サウジアラビア36万人(0.6万人)、ヨルダン32万人(0.4万人)などとなる。

 欧州では英国355万人(9万人)、フランス300万人(7万人)、イタリア240万人(8万人)、スペイン237万人(5万人)、ドイツ207万人(5万人)、ポーランド144万人(3万人)、オランダ93万人(1.3万人)、チェコ90万人(1.5万人)、ルーマニア70万人(1.7万人)、ベルギー67万人(2万人)、ポルトガル56万人(0.9万人)、スイス50万人(0.9万人)、オーストリア40万人(0.7万人)など。これら各国は感染者数、死者数ともに日本を上回る(人口は日本より少ない)。

 北米では米国が2447万人(40万人)、カナダ72万人(1.8万人)。人口は米国が3億2775万人、カナダが約3789万人なので感染者数の人口比は米国0.074%、カナダ0.019%と米国での感染爆発は深刻だ。中南米ではブラジル863万人(21万人)が突出しているが、コロンビア194万人(5万人)、アルゼンチン182万人(4.7万人)、メキシコ165万人(14万人)、ペルー106万人(4万人)、チリ68万人(1.8万人)、パナマ30万人(0.5万人)などと各国でも感染が拡大した。アフリカでは南アフリカ136万人(4万人)、モロッコ46万人(0.8万人)、エジプト16万人(0.9万人)など。

 アジアではインド、北米では米国、南米ではブラジルと突出して感染者数が多い国があるが、欧州では各国で大差なく感染者数が増えている。おそらく、国境を越える移動規制が強化されたとはいえ、域内での人々の移動が他地域に比べて活発であることが関係している。人々が集って語らい、グローバルに移動することは国境にとらわれない地球人意識の形成に欠かせなかったが、それを感染力が強いウイルスが阻んでいる。