望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

カメラ女子の未来

 「カメラ女子」という言葉が一般化したのはいつ頃だったか覚えていないが、オリンパスがミラーレスのPENを発売してから、カメラを持つ女性を街で見かけることが珍しくなくなった印象がある。同じ頃にパナソニックもCMに女性タレントを起用してアピールしていたから、カメラ業界にそんな流れがあったのかもしれない。



 それまでは女性が持つカメラといえばコンパクトタイプが多かった。写真を撮ることが好きな女性でも、大きく重たい一眼レフを持ち歩くのは大変だろう。そこに、小型軽量のミラーレスが誕生し、一眼レフ並みの写真を誰でも撮ることができるようになった。観光地などで、一眼レフを持つ男性と、ミラーレスを持つ女性のカップルを見かけることもよくある。



 カメラ女子が持つカメラにミラーレスが多いといっても、ミラーレスは女子用カメラではない。デジタル製品の宿命でデジカメは毎年のように機能を高めた新製品の投入が続き、ミラーレスでも高性能の機種が現れ、最近ではプロカメラマン(男性が大半)も使用するようになっている。



 「カメラ女子」の言葉は若い女性を指して使われることが多いようだが、写真を撮る習慣を身につけた女性は、その後の人生でも写真を撮り続けるだろう。家庭を写し、子供の成長を写す。子育てを終えた後は、趣味や旅行などで積極的にカメラをまた活用するようになるだろう。女性を取り込むことでカメラ市場は大きく広がった。



 だが、今のカメラ女子が子育てを終えた頃に、手にするカメラはどんなものになるのだろうか。現在でもコンパクトカメラは、カメラ機能を高めたスマホに押され、市場が縮小している。スマホのカメラがもっと高機能化したなら、一眼レフやミラーレスを含めてカメラ市場そのものが大きく縮小するかもしれない。



 新たなライバルも控えている。その頃にはグーグルグラスなどのウェアラブルコンピューター(身に着けるコンピューター)も一般化していそうだ。あらゆるものにカメラがつけられ、常時撮影し、記録するようになっているかもしれない。そんな未来には、写真を撮るという行為が特別な趣味になり、残っている数少ない一眼レフやミラーレスが高値で取引されるようになっていたりするかもしれない。