望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





ダボス会議の値段

 世界中から、お金持ちや政財界の指導者らが集まって、世界の現状や先行きなどを議論するというイメージがまき散らされているダボス会議(正式には世界経済フォーラム年次総会)。



 資本が国境を超えて自由に移動する現在、そうした巨額の資本に都合のいい世界に導くための宣伝装置の一つとダボス会議を見る向きもある。



 このダボス会議、実際に現地で見てみようと参加するのは大変だ。一般討論会に参加できる基本会員になるには、約5万2千ドルの会費の他に会議参加費1万9千ドル余、合わせて7万1千ドル以上が必要となる(ニューヨーク・タイムズ紙が2011年に報じた)。お金持ち以外は、お呼びじゃないっていう場なんですね。



 でも、お金持ちにもレベルがあって、VIP専用のプライーベートな会合に招かれたいのなら、特別会員になる必要があるという。それには会費13万7千ドルと参加費1万9千ドル余で約15万6千ドルが要る。こんな大金をかけるのだから、ダボス会議には、かなりの儲け話が転がっている?



 さらに上があって、ゴールド会員になると会費26万3千ドルと会議参加費1万9千ドルが必要。ゴールド会員になると部下をつれて会議に参加できるそうだが、部下の参加費1万9千ドルも払わなければならない。これだけの金があれば、栄養不足の世界の子供らにどれだけ食料を贈ることができるか。

 金持ちクラブのダボス会議をマスコミが持ち上げるのは、政治家や著名経済人が金持ち相手に「プレゼンテーション」することの話題性からだろうが、ダボス会議をあまり過大視する必要もなさそうだ。もし金持ち連中の思うままに世界が動くなら、チュニジアに政変が起きて、金持ちの独裁者一族が追い出されることもなかっただろうに。