望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





動く仮設住宅

 日本は地震国であり、日本列島は地震の活動期に入ったとの専門家の見立てもあり、全国どこでも「次の被災地」になる可能性がある。巨大地震だった東日本大震災の以降は、地震対策においても想定外という言葉を使うことができなくなるだろう。地震対策はさらに強化されるだろうが、その一つに仮設住宅の備蓄があってもいい。



 備蓄とは、従来型の仮設住宅を作り置きしたり、建設資材をストックすることではない。車で牽引するトレーラー型の住宅を各都道府県がそれぞれ百台ぐらい備えておくことである。そのトレーラーには、8人分の2段ベッドと通信手段、ラジオ、食料、水などを備え、現地に運ぶ時には支援物資を積載して搬入する役目も負う。



 各県が備蓄したなら、日本のどこで地震などの災害があっても、周辺の都道府県のトレーラー型住宅が支援に集積し、被災者の負担をいくらかでも軽減できよう。被災地で従来型の仮設住宅の建設が進めば、周辺の都道府県のトレーラー型住宅は役目を終えて撤収、「次」に備える。



 こうしたトレーラー型の住宅は地震など災害時以外にも、公共団体が関係する催事等での関係者の休息所など日常的にも活用できようし、2段ベッドを折りたたみ式にしてデスクを入れてPCを設置すれば、移動する事務所、連絡所等にもなるので活用範囲は広い。



 アメリカには、豪華なものから、低所得者が住むものまで様々なモービルハウスがあるようだ。牽引するトレーラー型のほかに自走式もあるが、エンジンがないトレーラー型のほうが耐用年数は長いだろうから、備蓄には適していよう。