望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

日の出・日の入り


 最近は夕方6時にはすっかり暗くなる。夏には夕方7時でも明るかったことを思うと、ずいぶん日の入りが早くなった。朝も、夏には4時頃には明るかったのだが、最近では5時過ぎになって、ようやく明るくなるなど、日の出も遅くなった。外が明るい時間が短くなると、何だか損をしているような気にもなり、冬へと急かされているようでもある。



 東京で見てみると、2014年の日の出と日の入り(各月1日の時間。国立天文台)は、1月=6時51分と16時38分、2月=6時41分と17時08分、3月=6時12分と17時36分、4月=5時28分と18時02分、5月=4時50分と18時27分、6月=4時27分と18時51分。



 7月=4時29分と19時01分、8月=4時49分と18時46分、9月=5時13分と18時09分、10月=5時35分と17時26分、11月=6時02分と16時46分、12月=6時32分と16時28分。日の出から日の入りまでの時間は6、7月は14時間以上あるが、8月は13時間台、9月は12時間台、10月は11時間台。夏の感覚でいたなら10月は、ずいぶん日が短くなったと感じるはずだ。



 日の出は、5月から8月まで4時台だが、9、10月は5時台になり、11月から翌3月までは6時台になる。日の入りは、7月は19時台に延び、8、9月はまだ18時台だが、10月は17時台、11月から翌1月までは16時台となる。日の出から日の入りまでの時間は、1月から7月までは毎月増えるが、8月以降は翌1月まで毎月減る。



 植物は日照時間の蓄積で季節の推移を感知していると聞いたことがあるが、人間も日照時間に影響を受ける。北欧で育ったゴッホ南欧の明るい日差しに憧れたことは知られているが、日照時間が長いことは心理的にある種の解放感をもたらす。夏には夏を楽しみ、冬には冬を楽しむ……というような人生観に凡人はなかなか至らず、日照時間に左右されるのも自然なことか。



 現代人は、時間で行動せざるを得ないので、日照時間などに構ってはいられず、明るかろうが暗かろうが、決まった時間に出掛け、早く暗くなっても勝手に帰ることはできない。空調が整ったので気温変化による影響も限定されるものになった。そんな中で、日の出や日の入り、外が明るい時間の長短は、季節感を最も感じさせる自然現象かな。



 なお日照時間は気象条件に左右されるため、日の出から日の入りまでの時間よりも短くなる。30年平均の各月の日照時間(気象庁)は、7月は140時間台、8月は170時間台だが、9月は120時間を割り、10月は130時間台、11月は140時間台とけっこう変動がある。雨が多かったり、台風が相次いでやって来たりするなら、あまり解放感にはつながらなさそうだ。