望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

3つの大地震

2011年に発生したM9.0の東日本大震災では東日本など広範囲が大きく揺れ、さらに巨大な津波が岩手県、宮城県、福島県など太平洋沿岸部を襲い、死者・行方不明者が計2万2千人以上に達した。震源域は南北約500km、東西約200kmとされ、宮城県牡鹿半島では東南…

自由な音楽

4人組の「たま」というバンドがあった。アコースティック楽器を主に使い、テレビの勝ち抜きバンド合戦番組で有名になり、「さよなら人類」のヒット曲があった。オリジナル曲を演奏したが、歌詞は言葉のイメージが飛躍して交雑し、独自の詞の世界を構築して…

中国の歴史意識

ロシアのウクライナ侵攻開始から1年になる2月24日に中国は、政治的解決を呼びかける12項目からなる仲裁案を公表した。報道によると内容は①各国の主権尊重、②冷戦思考の排除、③停戦、戦闘の終了、④和平対話の始動、⑤人道危機の解決、⑥民間人と捕虜の保護、⑦…

法は修正できる

2022年の通常国会では、政府が提出した法案61本が全て成立し、これは26年ぶりだという。過去には、与野党が鋭く対決する法案が国会に提出され、新聞などマスメディアや世論を巻き込んで賛否の議論が活発化することが珍しくなかったが、この通常国会で野党側…

雪の重さ

この冬も日本では各地で雪が降り、大雪になったところもあった。累計降雪量(2月23日現在)は北海道の音威子府村で880cm、幌加内町で777cm、沼田町で751cm、留萌市で691cm、夕張市で644cm、石狩市で587cmなどとなり、札幌市南区でも552cm、小樽市で492cm、…

弁別せず

弁別とは「物事の違いをはっきりと見分けること。識別」とか「違いを見分けて区別すること」などとされる。例えば、右翼と左翼は思想が大きく異なり、右翼と左翼を弁別することは簡単だろう。だが、社会の矛盾や不正に対する批判などでは右翼も左翼も似たよ…

蝶の羽ばたき

「ブラジルでの小さな蝶の羽ばたきは、遠く離れた米テキサス州での竜巻につながる」との言葉で知られるバタフライ効果。この言葉が事実ならば、ブラジルで蝶を絶滅させれば米テキサス州において竜巻の発生はなくなるか少なくなる。でも、ブラジルに生育する…

乏しい分析

日本で2022年10月頃から新型コロナウイルスの新規感染者数の増加傾向が続いて第8波の感染拡大とされたが、2023年1月中旬ころから減少傾向に転じた。第8波で政府は厳しい行動制限を行わず、欧米に倣ったのか経済活動を持続させたが、それでも第8波の感染…

地方都市への移住

東京など都会から地方への移住というと、農山村など田舎への移住をイメージする人がいる。一方で、移住先での人間関係のトラブルなどで、移住者が住みづらくなって引き上げざるを得なかった事例も伝えられる。農山村などには明示されていないが住民が共有す…

実需としての移住

北海道では人口減少が続いている。2023年1月1日現在の道内の日本人数は514万8060人と24年連続で減少が続いた。国立社会保障・人口問題研究所は2045年には400万4973人になるとの推計を示し、道内179市町村のうち85市町村で人口が半分以下になるともした。観…

国際単位と世界認識

この世に長さや重さ、温度、時間などに相当する何かが存在するが、それを認識し、測定するために人類は共有する単位を決めた。長さの単位はメートルで、メートル法が発展して国際単位系が形成された。国際単位には7つの基本単位があり、それは長さ(m)・質…

マスクを外せ

日本政府のウイズ・コロナ政策は、▽新型コロナウイルスの感染症法上の分類を「2類相当」から「5類」に引き下げる、▽医療費の公費負担は段階的に縮小、▽病院への診療報酬の特例措置などを見直す、▽濃厚接触者の外出自粛は不要、▽特措法に基づく緊急事態宣言…

読者のシンクタンク

日本の新聞社は①発行部数の減少が続く、②広告料収入の減少が続くー状況下にあり、売上高は減り続けている。こうした状況を打開する妙案がなく、縮小再生産で対応するしかないとなれば、固定コスト削減のために人員削減を繰り返すしかない。インターネット上…

棒タラ

棒タラはタラ(鱈)を寒風にさらして水分をすっかり抜いた干物だ。ガチガチに固まっているので、身をほぐすためには水に数日つけておくか、金づちなどで叩いてほぐすしかない。棒タラを煮物などの料理に使うためには水につけて戻すのが一般的だが、酒のつま…

愚策

こんなコラムを2000年に書いていました。 日本の政治の「脳死」状態を実感させたのが、沖縄サミットのイメージソングを作るというニュースである。 毎年どこかで開催される先進国首脳サミットに、なぜイメージソングが必要なのか。そもそもイメージソングが…

別のを探せ

「鳴かぬなら殺してしまえ不如帰」とは織田信長の言葉で、秀吉はどう、家康はこうと伝えられている。本当に三人がそう詠んだのかどうかは知らないが、三人の性格をよく表す言葉として有名だ。 ここに一つ加わった。誰が書いたものか失念したが、「鳴かぬなら…

近代の期間

日本史における近代の期間は「明治維新から太平洋戦争の終結まで」とされる。太平洋戦争の終結は1945年で明確だが、明治維新の始まりと終わりについては諸説あり、明確ではない。明治維新という理解は後世の人々による時代区分の設定であるから、どういう要…

ひまわり見

花見の名所は各地にあるが、屋外で飲んで浮かれて騒ぐというのを春、桜だけに限定するのは勿体ない。冬には雪見酒があるが、屋外での雪中酒は、ちらちら降る雪の中で飲むので、飲むより早く身体が冷えていきそう。冬ははずしたほうがよさそうだ。 春は桜のほ…

分断と暴力

ブラジルで議会や大統領府、最高裁判所をボルソナロ前大統領の支持者たちが襲撃、侵入して内部を破壊した。昨年10月の大統領選挙で再選を目指したボルソナロ前大統領は僅差で敗れたが、電子投票で不正があったと主張して敗北を認めず、熱狂的な支持者らも敗…

鈍感なのは誰か

こんなコラムを2000年に書いていました。 森氏が首相に就任した日の夜、11時過ぎから記者会見が始まり、NHKが中継していた。どんな「失言」をするのかと見ていると、手元の分厚い資料をしきりに見て、読んでいるだけのことも多かった。 印象に残ったこと…

三国人

こんなコラムを2000年に書いていました。 石原都知事が陸上自衛隊駐屯地の式典で「大震災の時に、凶悪犯罪の多い三国人が騒憂事件を起こすから、自衛隊に治安出動してほしい」と述べたそうで、三国人が外国人差別の発言であると批判が集まっている。しかし、…

緩慢な自殺

こんなコラムを2000年に書いていました。 少年の凶悪犯罪が続発している。少年の凶悪事件といっても豊川市の殺人やバスジャックと、愛知での5000万円強奪や埼玉でのリンチ殺人、女性の耳切り落としを同列に論じることはできまい。前者は誰でも被害者に成り得…

なんとかなる

ウクライナにとって2022年の2月23日は戦前だった。翌24日にロシア軍が侵攻を開始し、ウクライナは戦中となった。ロシアが軍を引き上げる気配は見えず、和平に向けての動きは双方に希薄で、和平を促す調停者(国)も現れない。ウクライナにとって戦後がいつ…

植民地と侵略者

こんなコラムを2000年に書いていました。 オランダを訪問した天皇を迎えたベアトリックス女王夫妻主催の晩餐会で、「今なお戦争の傷を負い続けている人々のあることに深い心の痛みを覚えます」などと述べた天皇に、女王は「多くの人(オランダ人)がその体験…

広告ジャケット

こんなコラムを2000年に書いていました。 都バスの装いがずいぶん変わってきた。前面部を除いて全身「広告塔」になってしまった。一台一台がそれぞれのスポンサーに合わせて装われているため、見かけるたびに、ある種の新鮮さがある。最初は違和感があったの…

感染放置で集団免疫獲得

中国の習近平国家主席は昨年12月31日、「科学的で正確な感染対策を行い、人民の生命と安全、身体の健康を最大限守ってきた」とゼロコロナ政策の成果を強調してから「防疫措置は新たな段階に突入した」と方針転換を明言したと報じられた。さらに「まだ苦労が…

オウムと日本社会

こんなコラムを2000年に書いていました。 教団本部的に使用していた横浜支部からの立ち退きを求められていた上祐氏らオウム幹部がどこぞへ移転したという。あっちへ行っても、こっちに来ても「オウム出て行け」の大合唱で、ここは人権派の出番、「オウム信者…

マルコヴィッチの穴

こんなコラムを2000年に書いていました。 とあるビルの7.5階の一室の壁に穴があり、それは俳優マルコヴィッチの脳に繋がっている。穴に入るとマルコヴィッチの脳に乗り移ることができ、馴れればマルコヴィッチの身体を思うままに動かすことができる。 こん…

押し倒して

こんなコラムを2000年に書いていました。 女性を押し倒し、ハイヒールを奪おうとした19歳の男が逮捕されたという。ダイヤをちりばめた純金のハイヒールを奪おうとした、のではない。「ハイヒールを履いた女性を見ると、その靴が欲しくなってしまう」と捕まっ…

100年前は1923年

全ての人々が国政に関与できる普通選挙法の制定を求める運動が広がるとともに、東京で約10万人が参加した大示威行進が行われたのは100年前の1923年(普通選挙法の成立は1925年)。西日本の各地で水平社の設立が相次いだこの年、各地で労働組合が3悪法(過激…