望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

ひまわり見

 花見の名所は各地にあるが、屋外で飲んで浮かれて騒ぐというのを春、桜だけに限定するのは勿体ない。冬には雪見酒があるが、屋外での雪中酒は、ちらちら降る雪の中で飲むので、飲むより早く身体が冷えていきそう。冬ははずしたほうがよさそうだ。

 春は桜のほかに桃、こぶし、梅などいろいろ花はあるが、鴬の声を聞きながら飲むという鴬聞き酒なんてのはよさそうだ。難点は静かさが必要で騒げないこと。

 夏は、ひまわり見。大輪のひまわりを見ながら飲む。真夏の直射日光をイメージすると、飲み物はテキーラとかラムだな。グラスの酒の上にひまわりの花片一つを浮かべ、おっ、風流だななどと言いながら、ぐいと飲む。夜桜ならぬ夜ひまわりというのもいい。ひまわりに囲まれた中で、夜なら冷えたビールをぐぐっというのも、いい。

 夏には蝉聞き酒というのもある。木陰に敷物を敷いて、蝉の声を聞きながらの宴会。暑いなかでは風流心は湧かないだろうが、くそ暑い夏に負けず、いや、負けてさ、しようがないから飲むって心境が、ミーンミーンだのジージーだのという蝉の声に囲まれて飲むのに合っている。

 秋には紅葉狩りがあるが、紅葉狩りと宴会の結び付きのイメージはあまりない。大きめの盃に紅葉を浮かべて飲むのもいいと思ったが、さすがに紅葉では大き過ぎか。葡萄狩りに出かけて、ワインを飲んで宴会というのもお洒落(?)。