望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

広告ジャケット

 こんなコラムを2000年に書いていました。

 都バスの装いがずいぶん変わってきた。前面部を除いて全身「広告塔」になってしまった。一台一台がそれぞれのスポンサーに合わせて装われているため、見かけるたびに、ある種の新鮮さがある。最初は違和感があったのだが、毎日のように様々のデザインの都バスを見ているうちに、面白いじゃないかとの気持も出てきた。寄席での小咄に、あまり美しくないが持参金付きの女と結婚した男を冷やかすと、「ブスは三日で馴れる」と答えたというのがあるが、バスも三日で馴れる?

 公共交通機関の車体をほぼ全面、広告媒体にするということは、考え方としては公共サービスも「商売の種」にするということ。コスト意識導入ということなのかもしれないが、発想が一歩踏み出したということは確かなようだ。別の見方をすると、東京都の財政逼迫が具体的に現れたともいえそう。

 そこで考えたのだが、バス車体広告の発想をもっと展開させてはどうか。都営地下鉄や都電のみならず、都の職員も活用するのだ。背広の代わりにスポンサー付きのジャケット、ジャンパーなどを着用させるのだ。都庁に通う人数だけでも相当になるだろうが、各地の都の事務所に務める人数もかなりになろう。

 それらの人々に、例えば背中に会社名なり商品名なりが入ったジャケットを着せることができるなら、結構なPRになる(はず)。道路を走っているだけの都バスと違って、こっちは、電車にも乗るだろうし、住宅街も歩くだろうし、盛り場をうろついたり、酒場にも現れるだろうから、PR効果は結構ありそうだ。もちろん都知事の広告ジャケットは別格、特別料金となる。