望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

愚策

 こんなコラムを2000年に書いていました。

 日本の政治の「脳死」状態を実感させたのが、沖縄サミットのイメージソングを作るというニュースである。

 毎年どこかで開催される先進国首脳サミットに、なぜイメージソングが必要なのか。そもそもイメージソングがふさわしい催しなのか、サミットは。サミットって、皆でお祭り騒ぎをすべきものなのか。

 察するに、小渕首相以下政府首脳は、「いつものように」参加することに意義がある程度にしかサミットを考えていないから、こうした愚作が出てくるのだろう。小渕氏は沖縄に思い入れがあるともされるが、サミットに世間の注目を集めて、人気浮上につなげられればーなんて発想にしか見えない。

 小渕氏は電話で小室氏にイメージソングの総合プロデューサーを頼み、小室氏は快諾したという。小室氏は会見で「早く沖縄を訪れて、沖縄音楽をどう取り入れるのか勉強したい」と言ったとか。小室氏のつくる音楽に沖縄趣味をまぶしたところで、大したものは出来まいと考えてしまうのだが、曲ではなく、イメージソングを作ることに意味があると小渕氏は思っているのだろうな。

 「沖縄」という土地にサミット開催の意味があるかのように政府は仕向けたいらしいが、そうなら沖縄人の音楽家に頼むのがスジというものだろう。