望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

今は氷河期

 衛星画像の分析から、ネパール北部のランタン・リルン山の標高5200m付近で、幅が約610mの氷塊が切り離されるとともに土砂崩れが発生、約2100m落下し、下流へと大量の泥流が猛烈な勢いで押し寄せたとCNN。氷河の下流域に住むことの危険性に加え、氷河からの氷の喪失ペースが増え、氷河は縮小するに連れて不安定さを増すと指摘されている。

 

 現在の地球には南極やグリーンランドに膨大な量の氷河・氷床があり、ヒマラヤやアルプスなど世界各地の高山や高緯度地帯にも多数の氷河が存在する。氷河期とは「地球の表面のどこかに氷床や氷河が存在する時期」とされるので、現在は氷河期になる。だが、氷河が限られた場所にしか存在しないので、氷河期の中では暖かい間氷期とされる。

 

 氷河期には、相対的に温暖な間氷期と特に気温が低下する氷期がある。約1万1700年前に氷期が終わって現在は間氷期だが、数千万~数億年続くとされる氷河期の中で氷期と間氷期は約10万年周期で繰り返す。過去100万年の間に数万年の氷期と間氷期が繰り返した(10度程度の温度変動があった)が、現在は地球史から見ると、特に暖かいことはなく涼しい時期だという(名古屋大学)。

 

 過去に氷河期は5回あったとされるが、地球史では氷河期でない時期が圧倒的に長いという。例えば、巨大な様々な恐竜が生きていた中生代は極地からも氷床・氷河が全て消えるほど暖かで、様々な動物や植物が出現するなど地球は生命に満ちていた。現在の熱帯地方を連想すると、暖かな気候が動植物など生命にとって生存に有利な環境であるとイメージできよう。

 

 ネパールの氷河が崩落した原因などの解明はこれからだが、継続的な気温上昇の影響が指摘されている。継続的な気温上昇が氷河の「弱体化」を招いているなら、世界各地の氷河も「弱体化」する可能性がある。各地の氷河が静かに縮小していることは報じられているが、氷河がもろくなっているとすれば、各地で氷河の崩壊は繰り返されよう。

 

 今年の夏の北半球では熱波が猛威を振るい、日本でも猛暑の日々が続いた。継続的な気温上昇がさらに続けば、いつか現在の間氷期を脱して氷河期が終焉を迎えるのか、自然の気候循環によって、いつか氷期へと向かうのかは不明だ。その結果が明らかになるのは遥か未来のことで、現在の人類にできることは厳しい暑さ寒さに音を上げ、不満を言いたてることだけか。