望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

温暖化は珍しくない?

 新聞、テレビなどでは温暖化の危機をあおる記事や番組が多くなった。なにやらプロパガンダ臭が強くなった温暖化キャンペーンを真に受けて、可愛そうな白クマちゃんを救おうなんて本気で信じ込んでいる人々が増えていたりして……。個人の生活から出るCO2を減らそうと、健気に努力するのはヒョウショウジョーものか。



 日照りが続き雨が降らなければ「温暖化のせい」とされ、大雨が降っても「温暖化のせい」とされたりする。便利な温暖化という言葉は、身近な気象現象の手っ取り早い解釈に使われている。「このインローが目に入らぬか! この現象を何と心得る! 先にIPCCで報告された温暖化でござるぞ! 一同、頭が高い、控えおろう!」



 温暖化しているのは確からしいけれど、地球環境総体で見ると、エコバッグを持ち歩いても温暖化の進行に大して影響はないんじゃないの?との疑問は消えない。意識の問題だというのかも知れないが、CO2排出抑制が急務だというなら、実効性を重視して産業セクターでの規制を強めるべきだろう。排ガスまき散らしのカンバン方式の規制なんてマスコミは決して指摘しないゾ。



 CO2が温暖化の主要因とされている。確かに近代になって人類は石炭、石油など地中から化石燃料を取り出し、大量のCO2を空気中に放出した。だから温暖化が促進されているということらしい。IPCCでは複雑なシミュレーションを行って、相関関係を見いだしたという。ごくろうさん。



 でも、世界各地の平均気温(その計測方法や精度に関して様々な異論があるらしいが)のデータがあるのは近代以降。それ以前は類推するしかない。IPCCは今世紀末には1.8~4度上昇するとの報告を以前に出したが、計算の基となるデータ次第で数値は変わるらしい。逃げ道は用意されている。



 地図で見るとカナダの右上に位置するグリーンランド。島全体の8割以上が氷床という極寒の地だが、9カ国による過去の調査(日本からは国立極地研究所が参加)で興味深いことが判明した。氷床を岩盤まで三千m以上掘削して調べたところ、約1万4700年前には3年間で約10度、約1万1700年前には約50年間で約10度の温度上昇が確認されたという。



 3年で10度も50年で10度も、すさまじい温度上昇だ。46億年とされる地球の歴史からすると、気温の変化は珍しいものではなく、温暖化なんて大騒ぎするほどのことではないのかもしれない。人間活動に起因するかどうかはさておいて、人類の力で温暖化をコントロールできる……なんて考えること自体が思い上がりかも。



 現在は間氷期とされる。氷期間氷期を繰り返し、約1万2千年前に最後の氷期が終わった。氷期には急激な温暖化と緩やかな寒冷化が繰り返されて来たとされるが、間氷期にも気温変動はあり、6千年前は温暖で5千年前は寒冷だったことが湖沼掘削による調査で判明しているという。つまり、CO2排出量とは関係なく地球では温暖化が繰り返されて来たようだ。