望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

税金を食いものにする奴ら

 こんなコラムを2003年に書いていました。

 バブル崩壊後の“失われた10年”と、なにか他人事のような言い方で括られる期間に何が行われ、また、何が行われなかったのか。

 この間、構造改革という言葉が声高に言われたが、どのような構造をどのように変更するのか、その共通理解がないまま、構造改革という言葉が景気低迷の打開策ででもあるようなイメージだけでもてはやされ、政治改革などの言葉と同様、いずれは政治家らの手垢のついた新鮮味の無い言葉と成り果てる。

 失われたという10年に何が行われたのか。

 最初は住専だった。金融機関が倒れると金融不安が生じ、「国民皆さんの生活も大変になりますよ」てな脅し文句で、バブルに踊った連中の土地投機の尻拭いを公的資金つまり税金で行った。世間の反発が強まると、それではと北海道拓殖銀行を倒産させ、「ねっ、困るでしょう」と意識させておいて主要銀行への公的資金注入=税金による経営支援を行った。その一方では、景気対策として公共事業乱発などにより財政赤字は急拡大した。

 愚かな経営者らがおかしくした銀行を公的資金(税金)で支え、土建屋(ゼネコン)や不動産屋に税金で仕事を与え、遂には再生機構なる機関を作り、企業そのものを税金で支えようとし始めた。もちろん、この間も、以前から税金を食いものにしてきた特殊法人は安泰のままである。

 国家予算の6割程度しか税収のない日本では、この先も借金(国債)に頼らざるを得ない。莫大な赤字が既にあるが、「国民の資産が1400兆円あるから」などという言葉も聞こえてくる。隙を見て、国民の資産で国家財政を支える腹づもりだな。公共サービスを有料化し、増税し、インフレも辞さないというところか。

 カモは骨までしゃぶられる。中産階級の解体と階層固定が進む日本で、大多数となる中低所得層が政治家、官僚、経済人に「税金を食いものにするのを止めろ」と言い、止めさせるように行動しなければ、いつまでも税金は食いものにされたままだ。