望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





9の不思議


 9という数字には何かが潜んでいる。例えば、九九の9の段。9×1が9、9×2が18、9×3が27、9×4が36……答えの各位の数字を足すと9になる。もっと大きな9の倍数はどうかと電卓で適当に計算し、出た答えの各位の数字を一桁になるまで足すと、その和は9になる。



 9の段の各答えから9に掛けた数字を引くと9−1は8、18−2は16……24、32、40、48、56、64、72となるが、各位の数字を一桁になるまで足すと8、7、6、5、4、3、2、1、9になる。こうした規則性を見ると、数学好きの言う「数学は美しい」との言葉に何となく共感できるような気になる。



 今度は割り算。1を9で割ると0.111…、2を9で割ると0.222…、3を9で割ると0.333……8を9で割ると0.888…となり、9で割った元の数字が小数点以下に連続して現れる。これは全ての(9で割る)割り算にも現れる。

 9を9で割ると1。10を9で割ると1.111…、11を9で割ると1.222…、12を9で割ると1.333…、13を9で割ると1.444……17を9で割ると1.888…となり、9で割った元の数字の各位の数字の合計が小数点以下に現れる。



 18を9で割ると2。19を9で割ると2.111…、20を9で割ると2.222…、21を9で割ると2.333…、22を9で割ると2.444……26を9で割ると2.888…となる。ここでも、9で割った元の数字の各位の一桁まで合計した数字が小数点以下に現れる。



 気づかれただろうが、何かの数字を9で割った時に、余った数字(1~8まで)を9で割って行くと、先述のように、小数点以下にその余った数字が現れる。



 見方を変えて9の倍数+1では、例えば28を9で割ると3.111…、37を9で割ると4.111…、46を9で割ると5.111…、55を9で割ると6.111……82を9で割ると9.111…、91を9で割ると10.111…、100を9で割ると11.111…となる。小数点以下に1が続く。



 9の倍数プラス2では、38を9で割ると4.222…、47を9で割ると5.222…、56を9で割ると6.222……83を9で割ると9.222…、92を9で割ると10.222…となり、小数点以下に2が続く。他を試してみても、9の倍数にプラスした数字が小数点以下に現れる。



 なぜか9には規則性が伴う。いつも冷静な律儀なヤツで、言うことには何かスジが通っていて、いくら飲んでもハメを外すことがなく、たのまれたことは期日までには間違いなく仕上げる……そんなキャラクターをつい連想してしまう。



 でも、手拍子の一本締めは、シャシャシャン・シャシャシャン・シャシャシャン・シャンと打つが、3回手を叩く×3にプラス1回で、最後の1回は、九に点を加えて丸にしておさめる意だという。9ではなく、10にして収まりが良いということのようだ。してみると、9には何か欠けているところがあるので、その何か欠けているものが9に規則性をもたらしているのかもしれない。