望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





70億人の圧力

 国連人口基金UNFPA)の推計によると、世界の総人口は2011年10月31日に70億人に到達した。このまま増加すると2050年には93億人に達するとか。一方で日本は人口減少に転じたとされ、2050年には、多くて1億825万人、少ないと9203万人になるとの推計もある。どちらの数字に近くなるのかは不明だが、海外から日本への移住圧力が強まることは確かそうだ。

 Wikiによると、18世紀の産業革命以降に世界人口の増加ペースが早くなり、国連推定では19世紀末の1900年に約16億人だったが、20世紀半ばの1950年に約25億人、1998年には60億人と20世紀後半の半世紀で2倍以上に増えた。現在の人口は過去6000年間に存在した全ての人口の5分の1ほどにあたるという。

 人口が多いのは中国とインド。UNFPA東京事務所が発表した「世界人口白書 2011」によると、国別人口(09年データ)で世界1は中国で13億4760万人、2位はインドで12億4150万人、以下3位アメリカ3億1310万人、4位インドネシア2億4230万人、5位ブラジル1億9670万人、6位パキスタン1億7670万人、7位ナイジェリア1億6250万人、8位バングラデシュ1億5050万人、9位ロシア1億4280万人、10位日本1億2650万人。

 これを世界人口比で見ると、中国は19.7%、インド18.2%、アメリカ4.5%、インドネシア3.5%などとなる。世界人口の5人に1人は中国人ということになるが、アジア各国や欧米に移り住んだ華僑やその子孫を考えると、中国系の比率はかなり高くなりそうだ。

 ついでに見ると、11位のメキシコ1億1480万人までが1億人を超えている。12位フィリピン9490万人、13位ベトナム8880万人、14位エチオピア8470万人、15位エジプト8250万人と続いて、16位ドイツ8220万人とやっと欧州の国が顔を出す。17位イラン7480万人、18位トルコ7360万人、19位タイ6950万人、20位コンゴ6780万人。21位英国6240万人、22位イタリア6080万人、24位南ア5050万人、25位韓国4840万人、26位ミャンマー4830万人などと続く。

 世界人口がこうも増えると、全員が「豊かで快適」な生活を送ることはできるはずもなく、資源や水、食糧などの産出額には限度があるので相対的な不足が問題となり、力づくでの争奪戦が懸念されたりする。一方で、世界人口が増えた分だけ経済が成長する保証はなく、貧困層が増えるだけだとの見方もある。生まれた子供は祝福されるべきだろうが、人口増には懸念材料が多いようだ。

 ただ、世界人口が増えるにつれて、非欧米から欧米への移住圧力も高まるだろうから、人口増につれて人々の居住地は世界的に均衡していくのかもしれない。その時には国境や国家のあり方も変質して行くのだろう。