望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

思いつき宇宙論

 高原に出掛けて満天の星空を見た……というわけではないが、現実から離れて、思いつきの宇宙論をメモしておく。



 我々が属している太陽系を含む宇宙があるが、この我々の宇宙の外にも、何次元かは知らないが、果てしがない空間があり、そこに、いくつもの宇宙があるのではないか。新しく誕生する宇宙もあれば、消滅して行く宇宙もある。果てしがない空間に多くの宇宙が漂っている。



 そんなことを考えたのは、ビッグバン以前のことが想像できないからだ。我々の宇宙の始まりはビッグバンで、その後は膨張を続けているというが、ビッグバン以前は無から有が産まれたのだとする。ビッグバンから全てが始まったとすると、無から有が産まれたとする以外になくなる。



 我々の宇宙も、果てしがない空間に存在する一つの宇宙だと考えれば、ビッグバン以前の説明ができる。果てしがない空間に多くの宇宙があり、その宇宙の間で、物質のやり取りが行われているとする。ある宇宙に「破れ」が生じ、そこから、その宇宙の物質が漏れ出る。漏れ出た物質は、新しく宇宙を形成する。それがビッグバンだという考えはどうか。イメージとしては、重力のない水中に油の塊がいくつも浮かび、一つの塊から漏れ出た油は新しい塊を形成する、というもの。



 ある宇宙から物質が漏れ出る「破れ」とは、ブラックホールを想定するのが分かりやすい。ブラックホールでは巨大な圧力で物質が圧縮され、破壊が進み、ついには素粒子レベルで粉々になっても圧縮が進み、その宇宙での物質としての存在が「破綻」した時に、その宇宙に「破れ」が生じ、その宇宙から漏れ出る。漏れ出た物質は、果てしがない空間で新たなビッグバンを始め、新たに物質の形成を始め、そこに新たな宇宙が形成される。



 例えば、2次元のグラフでX軸とY軸で区切られた平面を一つの宇宙と見なすと、四つの宇宙ができる。ブラックホールで物質が圧縮されるということは原点(X軸とY軸の交点)に近づいて行くことであり、とうとう原点に到達した時が、ブラックホールの中で物質として「破綻」した時。「破綻」すると物質は原点を通って、ほかの平面(宇宙)に出て、そこで新たなビッグバンを始める。



 こんなことを考えていると、人の一生は何と短く、何と小さなことに振り回されてばかりかと思える。まあ、そんな一生が人間にはふさわしいのかもしれないが。