望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

共和国憲法(中)

〔日本共和国憲法〕ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第三章 行政
〔行政権〕
第五十九条 行政権は、内閣に属する。
〔内閣の組織・資格・国会に対する連帯責任〕
第六十条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣ならびに大統領およびその他の国務大臣で組織する。
(2)内閣総理大臣ならびに大統領およびその他の国務大臣は、文民でなければならない。
(3)内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負う。
内閣総理大臣の指名〕
第六十一条 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から衆議院の議決で指名する。この指名は、他のすべての案件に先立って行う。
(2)内閣総理大臣は内政に関する事項をつかさどる。
〔大統領の指名、大統領の任期、兼職の禁止〕
第六十二条 大統領は、参議院議員を含む文民の中から参議院の議決で指名する。
(2)大統領は外交および防衛に関する事項をつかさどる。
(3)大統領は参議院ならびに衆議院の会議に出席する義務を負わない。
(4)大統領の任期は六年とし、任期は一期のみとする。
(5)大統領は、参議院議員を含め、兼職はできない。
国務大臣の任免〕
第六十三条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。ただし、その半数までは衆議院議員の中から選ぶことができる。
(2)大統領は、外交を担当する国務大臣ならびに防衛を担当する国務大臣を、参議院議員の中から選び、任命する。
(3)内閣総理大臣ならびに大統領は、任意に国務大臣を罷免することができる。
衆議院の内閣不信任、参議院の大統領問責決議〕
第六十四条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、内閣が決定する特定の事項に関する国民投票を行うことができる。
(2)内閣は、参議院で大統領の問責決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、内閣が決定する特定の事項に関する国民投票を行うことができる。
(3)内閣は、国民投票で示された結果を、尊重しなければならない。
内閣総理大臣の欠缺〕
第六十五条 内閣総理大臣が欠けたとき、または衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は総辞職をしなければならない。
〔総辞職後の内閣の任務〕
第六十六条 前一条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続き、その職務を行う。
〔大統領の欠缺〕
第六十七条 大統領が欠けたとき、参議院はあらたに大統領を指名しなければならない。
内閣総理大臣ならびに大統領の職務〕
第六十八条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務について国会に報告し、ならびに行政各部を指揮監督する。
(2)大統領は、内閣を代表して議案を国会に提出し、外交関係および防衛関係について国会に報告し、ならびに外交関係および防衛関係の行政各部を指揮監督する。
〔内閣の職務〕
第六十九条 内閣は、他の一般行政事務のほか、次の事務を行う。
 一、法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
 二、外交関係を処理すること。
 三、条約を締結すること。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
 四、法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること。
 五、予算を作成して国会に提出すること。
 六、この憲法および法律の規定を実施するために、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
 七、大赦、特赦、減刑刑の執行の免除および復権を決定すること。
〔法律・政令の署名・連署
第七十条 法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣連署することを必要とする。
(2)外交および防衛に関する法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、大統領が連署することを必要とする。
国務大臣の訴追〕
第七十一条 国務大臣はその在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。ただし、これがため、訴追の権利は害されない。
(2)外交および防衛に関わる国務大臣はその在任中、大統領の同意がなければ、訴追されない。ただし、これがため、訴追の権利は害されない。
第四章 司法
司法権・裁判所、特別裁判所の禁止、裁判官の独立〕
第七十二条 すべて司法権は、唯一の最高裁判所および法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
(2)特別裁判所は設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
(3)すべて裁判官は、その良心に従い独立して、その職権を行い、この憲法および法律にのみ拘束される。
(4)衆議院で三分の二で議決したときは、衆議院内に、特定の事案についてのみ起訴権を有する特別検察官を任命することができる。
〔裁判所制度〕
第七十三条 下級裁判所は、刑事、民事、行政、経済、労働、交通、軍事の分野別に各々二審制を構築する。 (2)最高裁判所に判断を求めることができるのは、憲法判断を求める場合と、第二審後に新たな証拠が発見された場合である。 (3)下級裁判所のうち第一審は各々道州に属し、第二審と最高裁判所は国に属する。 〔裁判所の規則制定権〕
第七十四条 最高裁判所は訴訟に関する手続き、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
(2)検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
(3)最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
〔裁判官の身分の保障〕
第七十五条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関が行うことはできない。
最高裁判所の構成、国民審査、定年、報酬〕
第七十六条 最高裁判所は、その長たる裁判官および法律の定める員数のその他の裁判官で構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣で任命する。
(2)最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙のときに国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行われる衆議院議員総選挙のときに更に審査に付し、その後も同様とする。
(3)前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は罷免される。
(4)審査に関する事項は、法律でこれを定める。
(5)最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達したときに退官する。
(6)最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は在任中、減額することはできない。
下級裁判所の裁判官、任期、定年、報酬〕
第七十七条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣で任命する。その裁判官は任期を十年とし、再任されることができる。ただし、法律の定める年齢に達したときには退官する。
(2)下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は在任中、減額することはできない。
〔法令等の合憲性審査権〕
第七十八条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則、処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
〔裁判の公開〕
第七十九条 裁判の対審および判決は、公開法定で行う。
(2)裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序または善良の風俗を害する恐れがあると決した場合には、対審は、公開しないで行うことができる。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪、または、この憲法第一章で保障する日本人の権利が問題となっている事件の対審は、常に公開しなければならない。
第五章 財政
〔財産処理の権限〕
第八十条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない。
〔課税の要件〕
第八十一条 あらたに租税を課し、または現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを必要とする。
〔国費の支出と国の債務負担〕
第八十二条 国費を支出し、または国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。
〔予算の作成と国会の議決〕
第八十三条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
(2)国が負担する債務の額は、毎会計年度の予算において歳入全体の二十五%を上回ってはならない。また、国が負担する債務の累積額は、当該予算の前年度の国民総生産額を上回ってはならない。
(3)毎会計年度の予算において、見込まれる税収額の百五十%を超える歳出額を計上してはならない。
予備費
第八十四条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
(2)すべて予備費の支出について内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
〔皇室財産・皇室の費用〕
第八十五条 すべて皇室財産は国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
〔公の財産の支出または利用の制限〕
第八十六条 公金その他の公の財産は、宗教上や政治上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、または公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出し、またはその利用に供してはならない。
〔決算、会計検査院
第八十七条 国の収入支出の決算は、すべて毎年、会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
(2)会計検査院が検査して、改善をもとめた事項に関して、国会の過半数の議決により承認されたときは、内閣は、次の年度に継続して、その事項に関する予算を計上することはできない。既に予算が成立したとき、内閣はその事項に関する予算執行を停止しなければならない。
(3)会計検査院の組織および権限は、法律でこれを定める。
〔財政状況の報告〕
第八十八条 内閣は、国会および国民に対し、定期に、少なくとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。