望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





日本にも大統領

 日本国内、特に永田町での権力闘争に習熟した政治家が大半を占める議会では、乱暴に言うと、何でも内政問題にして権力闘争に利用する傾向がある。外交問題も、政府の対応の問題にしてしまう。それで、衆議院参議院の機能を分化させ、衆議院は内政を担当し、参議院は外交・防衛を担当するように分けたほうが良いと前回提案した。



 議会の機能を内政と外交・防衛に分けた場合、首相が内政以外に、外交・防衛も担当する現在の制度の見直しが必要となる。そこで提案。議会の機能の分化に伴って、首相は衆議院で選出されるものとし、内政を担当する。外交・防衛を担当する大統領職を新たに設け、参議院で選出されるものとする。



 対外的には大統領が日本を代表し、国際会議などには首相ではなく、外交を担当する大統領が出席することになる。永田町での権力闘争で首相が頻繁に交代しても、大統領は変わらないので、国際的に日本は安定感を今よりは与えることができよう。



 こうした改革の狙いは、議会の機能をより発揮させることである。議会を、政府の責任問題や「政治とカネ」追及などで権力闘争の場とすることは、時には必要なのかもしれないが、そればかりでは政治の空洞化が進み、政治の実際(行政)は具体的事項の積み重なりなので、政治家は結局、知識の豊富な官僚頼みとなる。



 基本的に議会は、議員たちの冷静な議論・審議により、政治の方向性を決め、提出法案などを練り上げる場としたい。冷静な議論・審議には、実際の現場のデータの共有が必要になる。そのため議会には専門家を集めた調査委員会を適時設置し、報告させる。そうした積み重ねが、現実から遊離した観念論を振り回す政治家を減らすことにもなろう。



 議会を内政と外交・防衛に分けると、内閣制度も新たなカタチにする必要がある。首相と大統領が異なる政党に属する可能性があるので、首相が率いる内閣は基本的に内政を担当するものとし、外交・防衛を担当する大統領が率いる機構を新設する。そこには外相と防衛相(共に参議院で選出されるものとする)が加わり、内閣に属する各大臣は準メンバーとして参加する。