望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

大雨と都市計画

 米NYで9月末に大雨が降り、洪水や停電が発生し、道路は冠水して各地で動けなくなった車が放置され、建物への浸水も発生、駅に浸水して地下鉄が一部運休するなど影響が広がり、救助要請が相次ぎ、知事は緊急事態宣言を発令した。市当局は、降雨による被害の大きい地域や地下に住んでいる人々に避難するよう呼びかけたという。

 米NYでは1週間にわたり雨が続いていて、1時間に50mmを超える激しい雨が降った地域もあり、ケネディ国際空港では29日に200mm以上の降水量を記録し、1948年以降の観測史上最多となった。今年9月の同市の降雨量は14.15インチ(約360mm)で、1882年9月の16.85インチ(約428mm)に次ぐ大雨だった。今回はは141年ぶりの大雨だった。

 日本でも今年は各地で大雨が降ったとのニュースが多かった。例えば、1月には西日本など、5月には四国など、6月には近西日本から東日本の太平洋側など、7月には北東北や九州など、8月には西日本などで豪雨が伝えられ、九州や東北など各地で相次いだ大雨の被害について政府は激甚災害に指定した。

 天気予報で線状降水帯という言葉がしばしば使われるようになり、気象庁記録的短時間大雨情報を発表して安全を確保するようにと呼びかけることも増えた。冠水した道路を車が走ったり、道路脇の排水溝などから水が溢れたり、濁流した水が流れる河川がすぐにでも溢れそうになったり、土砂崩れなどのニュース映像も増え、大雨はすっかり非日常の出来事ではなく日常の出来事になったような気配だ。

 大雨で地上に降った水は山野の土壌に染み込んだり、河川に流れ込んだりする。だが、地面がアスファルトで覆われ、中小河川がコンクリートで覆われた都市では大雨で降った水の行き先は限られる。地面に染み込むことができない水は地表に溢れ、やがて決められた排水コースをたどることになるが、その排水コースが水で満ちていたりして水の滞留が方々で起きる。

 「これまでの下水道は、雨水流出率50%、降水量1時間当たり50mmに対応する計画が一般的だが、近年多発する集中豪雨の影響も加わって下水道への負荷は、その限界を超えることが多くなっている」と国交省HP。50mm/hを越える降水量が珍しくなっているのだから、100mm以上/hに対応した都市での排水機能を整備することが必要だ。

 日本国内のみならず世界各地での大雨の報道が増えた。これは、大雨に関する報道が増えて可視化されたとも解釈できるが、実際に大雨の頻度が世界で増えているのだとしたなら、100mm/hの大雨が降るのはしばしば起きることだと想定して対策を講じるしかない。地球環境は不変のものではなく、常に変化の中にあると考えるなら、人間にできることは変化に対応して対策を講じることだけだ。