望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

中国にも必要な民主主義

 こんなコラムを2005年に書いていました。


毛沢(ケザワ)「これからが面白くなりそうだったのに、中国共産党反日デモを抑えにかかり始めた」


江沢(エザワ)「井の中の蛙の日本の政治家らに中国政府の意図を思い知らせてやったのだから、反日デモの役目は終わったのだ。このまま続けていればデモがエスカレートしかねず、デモの矛先が中国共産党に向く可能性も出てきたので、先手を打ったのだ」


毛沢「厳しい報道統制の中でも、地方では腐敗への抗議や待遇改善を求めるデモが頻発し、一部は暴動化していると伝わっている。反日なら無届けデモが許されると知れ渡ったなら、格好の口実になるからな。しかし、中国共産党の思惑通りに人民はおとなしくなるかな」


江沢「愛国無罪は叫んでも、中国共産党を相手に造反有理を叫ぶほどの肝っ玉は、おそらく今の学生連中は持ってはいまい」


毛沢「革命の精神は消えたのか。永続革命こそ中国共産党の根本精神だったはずなのに」


江沢「革命の時代はとうに終わっている。今は経済の時代だ。資本家を養成・保護して、先に豊かになれる者はなれ、という時代だ」


毛沢「中国で主席だの首相だの幹部だのと呼ばれている連中の誰1人として、直接選挙で人民から選ばれた者はいない。あのイラクでさえ、直接選挙を試みているというのに」


江沢「確かに不思議だな。民主主義を世界に広めるとか勝手に言っているアメリカが、中国にも民主主義を広めようなんて決して言わない」


毛沢「中国が民主国家になったなら、経済だけではなく政治的にも国際的影響力を増すのは確実だ。アメリカのヘゲモニーを脅かしかねないから、アメリカは中国の共産党独裁には何にも言わない。アメリカの外交では、アメリカに好都合な独裁政権には何も言わない」


江沢「もうひとつ、中国に民主主義が導入されたなら、統一国家であり続けられるかという不安もある。いまや世界の工場となった中国で政治的混乱が拡大し、分裂・解体することになったなら、アメリカ経済にも影響を与える」


毛沢「また、経済か。人民の幸福を第一に考えるべきだ。中国人民の」


江沢「その人民の願っている幸福が、今では豊かになることなのだ」


毛沢「人はパンのみにて生きるものでもあるまい。貧しいから革命は必然だったが、豊かになったからこそ求められる政治的自由もあるはずだ。共産党独裁の終焉は近付いている」


江沢「革命家は、裏切られ続けても、夢を見るものなんだな」