望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

ピンチはチャンス?

エゾリス「新聞・TVは、ここでも、そこでも温暖化特集。温暖化をテーマにすると企業の広告が取りやすいというから、絶好のビジネスチャンスだな。特集の内容も、氷河がどうの、海面上昇がどうの、感染症がどうの、台風がどうの、農作物がどうのなどと、さんざん使い古されたネタを再構成すればいいだけなんだから、手間もたいして掛からない。温暖化でマスコミ丸儲け、か」



ヒグマ 「企業も、温暖化に真面目に取り組む自社イメージをアピールできるのだから、好感度上昇は今だとアピールに積極的だ」



エゾリス「温暖化プロパガンダを真に受けた消費者が、自分も何かしなくっちゃと思い込む。といっても、先進国の人々が生活レベルを低下させてまで消費を抑制して大量消費を止め、大量生産の見直しを促す……はずもなく、消費の時にエコを意識するのがせいぜい。つまり、温暖化対策に積極的というイメージで消費者は選んでくれる……と企業は期待してるんだろうな」



ヒグマ 「白クマが死んで行くと同情されるが、日本の本州各地で多くのツキノワグマが“駆除”されても同情はなかった。温暖化のせいでツキノワグマが人里に出てくるようになったというストーリーを作り上げれば、少しは同情されたかもしれないなあ」



エゾリス「それはどうかな。温暖化は、情報が作り上げた“危機”だから人々は理性的(?)に考えようとするが、身近な危険となれば、クマちゃん、かわいそうなんて言っていられまい。殺してから、クマちゃんも温暖化の犠牲者だったのねって言って終わり」



ヒグマ 「温暖化という亡霊が世界を歩き回っているのだから、うまく利用して、ひと山当てたいな。温暖化で北海道の動物が絶滅の危機だとストーリーを組めば、観光客が増えるかも」



エゾリス「観光客が増えても、エサが増えるわけでなく、儲けは人間の手にしか入らない。それに、下手すると、絶滅から保護しろなんてことになって、オレらは捕えられてオリの中……なんてことになりかねない」



ヒグマ 「せっかくの温暖化というビジネスチャンスを見逃すのはアホだ。よし、温暖化で本州は暑くて住みづらくなるから、今のうちに北海道に土地を買って、“その時”に備えてください……これだ。沖縄に移住する人が増えているそうだが、温暖化の進行は止められないから、孫のことを考えると今のうちに、温暖化に“強い”北海道への移住のメドをつけておきましょう、って売るんだ」



エゾリス「よせよ。人間が増えれば、それだけオレらの居場所が狭まる。温暖化が巡り巡って北海道の野生動物の絶滅につながりました……なんてことになりかねないぞ」