望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

日本から出て稼ぐ

 2020年の国勢調査では、日本の人口は1億2614万6099人(2015年比で94万8646人減)。2010年の人口1億2805万7352人が国勢調査では過去最高で、減少が続いている。ちなみに国勢調査で人口が初めて1億人を超えたのは1970年で、1985年に1億2千万人台に乗せていた(総務省サイト)。

 東京など8都県で人口は増加したが、39道府県で人口が減少し、33道府県では減少幅が拡大した。全国1719市町村のうち人口が減少したのは1419市町村で、全体の82.5%にもなる。さらに、人口減少が5%以上になった市町村は710で、減少した市町村の51.3%と半分を超す。

 人口減少とともに高齢化も進み、総人口の28.6%が65歳以上(約3602万人)。15〜64歳は約7508万人(総人口の59.5%)、15歳未満は約1503万人(同11.9%)。また、日本人の人口は約1億2340万人で総人口の97.8%(2015年比178万3千人減)、外国人は約275万人で同2.2%(2015年比83万5千人増)。

 日本は人口増加から人口減少に転じたことがデータで明らかになったが、人口減少は以前から予想されていて、国内消費市場が縮小するとの懸念が広がっていた。さらに高齢者人口の増加と生産年齢人口の減少で日本の国内市場は「衰退」するとの見方も現れた。かつて日本の企業は豊かな国内市場に基盤を置き、それから海外市場を開拓して成長を続けた。

 その国内市場が縮小するのだから先行き、企業は売上減少と利益減少が必至だ。さあ大変だと危機感は高まるが、人口の減少を止めて、増加に転じさせることは企業にはできない。企業にできる対策は①海外市場を開拓する、②国内市場で他社からシェアを奪うーだろう。どちらにしても市場での熾烈な競争が待っている。

 国内市場の成長が頭打ちになると世界各地に新たな市場を開拓し、実物経済の市場の成長が頭打ちになると金融経済の市場を開拓し、さらにインターネット空間の市場を開拓して収益を高めるなど、投資にリターンを求める資本主義にとっては常に新たな市場が必要だ。日本の国内市場が縮小するのであれば、企業は新たな収益源をどこかに見つけなければ、市場とともに縮小する。

 人口減少に加えて非正規雇用の増加など国内市場における購買力の低迷は続きそうだ。国内の購買力を高める有効な政策が日本では皆無とあって、企業が成長を目指すなら海外市場を開拓するしかない。世界は広い。開拓できる市場はまだまだ残っているはずだ。受け身ではなくグローバル化を企業の戦略として活用するには、日本から出て行って稼ぐしかない。