望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

熱い韓国

 こんなコラムを2008年に書いておりました。

 えー、金持ち喧嘩せずなんて申しまして。これは、1)金持ちは他人と争わない、2)金持ちは計算高いから無駄金を使わない、3)金持ちは、しまり屋でケチだから金持ちになれるーーという意味だそうでございます。どうやら誉め言葉ではないようで、金と品格ってのは両立しないものなんでしょうかネ。あたしには、どちらも縁のないことでございますが。

 見回しても、あたしの知り合いに金持ちはいないんですがネ、日本は金持ちだそうで。世界がそう見ていて、日本政府のお役人や大企業のおエライさんもそう自負しているとか。そういえば、国際会議のたびに日本は金をポンと気前よく出していますな。金も出すが口も出すと、世界をより良くするために口八丁金八丁の活躍を日本が国際舞台で繰り広げているのなら、嬉しいんですがネ。

 ふとね、日本には実は強いて主張するほどの意見・提案・理念があるわけではなく、もの言えば唇寒しだから国際舞台で積極的に発言せず、実は金持ち喧嘩せずを気取りたいが、国際的つき合いをケチるわけにいかず……ってのが日本外交の基軸なんではないか、なんて気になったりします。

 これがお隣り韓国になると、違ってくるんですな。アメリカにだって遠慮しません。わあわあと自分らの主張を押し通して、気弱(なげやり?)になったブッシュ大統領に譲歩させました。見習いたいものですな。国際的に尊敬はされないでしょうが、騒がれると厄介だから触れるんじゃないーてなポジションを韓国は確保しそうです。

 カッとしやすい民族性なんでしょうか、デモも荒れるようでして。米産牛肉の輸入制限撤廃に反対して始まったキャンドルデモもずいぶん“高揚”しました。韓国でのこれらの動きは実は、保守政権に対するリベラル派の抵抗の表れだとする見方があります。だから竹島問題は政権にとって絶好のタイミングだったわけでしてね、政府は世論の関心を移すべく煽り立てたんでしょうね。

 もの言う態度は立派だと韓国の人々を評価する声もありましてね。人々の主張・行動が韓国の政治家を動かし、米国政府まで動かしました。それに比べて日本はどうです? 年金を官僚にぼろぼろに食い荒らされても、大規模な抗議デモもおきず、高齢者医療制度への非判が高まっても示威行動はさっぱり。思いやり予算を出し続け、さらに日本が米軍のグアム移転のために巨費を出すとやら。怨嗟の声や愚痴がマスコミにあふれても、それだけで終われば政治家は痛くも痒くもありませんや。

 金持ち喧嘩せずというのは“おとなしい”日本人には、気分的にマッチしやすい外交だったから容認されて来たーというより実態は、外交への関心が人々に希薄だっただけかもしれません。ところが状況が変わってきてまして。外貨準備で見ると中国や台湾も金持ちになり、ロシアなども続いてますが、金持ち喧嘩せずなんてところはありゃしません。日本の存在感がますます希薄になるというところで、お後がよろしいようで。