望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





放棄した優位点

 ニュースはインターネットで読めばいいという人が多くなり、若い人などは宅配で新聞を購読しなくなり、800万部とか500万部とか各社は言い立てるものの、実際の配達部数はもっと少ないと言う関係者もいて、新聞事業が先細りであるという指摘も珍しくなくなった。



 さらには、大掛かりな印刷設備や配達網などを必要としないネットに、情報発信やジャーナリズムの中心が移ってくるという見方もある。そうした見方に新聞関係者は「ネットの情報は玉石混淆だ。いい加減で偏った情報が多い。新聞は裏付けをちゃんと取っているから、情報の信頼性では大差がある」と反論する。



 そうなんだろうなあと漠然と受け止め、やっぱり新聞はマスコミの主役だと思っていた。でも、政府関係者や司法関係者、官僚らからのリークを大きく扱う新聞の騒ぎようを見ていると、「情報操作されているだけじゃないか」と笑ってしまう。

 情報の裏付けを取っていて信頼性が高いという、新聞などがネット情報に対して誇っていた「優位点」が、勝手な思い込みでしかなく、時と場合によっては、なくなってしまうことを彼らは自ら明らかにした。



 自分らの置かれている状況を冷静に認識してこそ、活路を開くことができる。広告収入がガタ減りし、購読部数は漸減傾向にある。つまり売り上げが縮小する産業である新聞事業。そういえば各紙とも、美術展や展覧会などの告知がやたらと増えたな。興行に活路を見いだそうとしている?



 紙からネットへ……新聞は販売を各社が自前で行っているので、各社の判断でネット対応はできる。まだ生き続ける余裕があるから各社は販売店への配慮を重視しているが、そのうち切羽詰まれば、そうも言っていられなくなる。問題は、そうなった時はすでに手遅れの可能性があることだ。