望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





ある日突然



 日本には2千万人以上の花粉症患者がいるといわれるが、その8割がスギ花粉症ともいう。死に至る病ではないためか厚労省による花粉症の全国的調査データは見かけないが、耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした調査結果によると、スギ花粉症の有病率は全国平均で26.5%だという。都道府県別では山梨が44.5%と最も高く、次いで高知41.2%、埼玉、栃木、静岡が40%弱。東京、千葉、神奈川、群馬は32、3%となる。



 くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどや目が痒くなったり、涙が止まらなくなったり、スギ花粉症はアレルギー反応なので厄介だ。そんな様子の人を笑っていた人が突然、花粉症デビューしたりするから油断がならない。コップから水が溢れるように、その人のアレルギー反応の許容範囲を超えると花粉症の症状が現れるなどと解説されたりする。



 スギ花粉を吸い込んでも反応しなかった体が、ある日突然、スギ花粉に反応するようになるのだから、何らかの潜伏期みたいなものがあるようだ。交通違反点数の累積が基準を超すと行政処分が下されることを連想する。冗談じゃない、普通に暮らしていたのに「処分」されることはないじゃないかと腹立たしくなるが、アレルギー反応は聞き入れてはくれない。



 日本でスギ花粉症が認識されたのは1960年代になってから。でも、花粉症フリーの人がいることや、山間より都会のほうが患者が多いとか、自動車の排気ガスや大気汚染物質等との相乗作用など解明されていないことはまだ多い。治療法も様々あるが、目覚ましい効果があるというものはないようで、市販薬も同様、アレルギー性鼻炎等の薬で対処するしかないのが実情か。



 突然発症する花粉症が、進行するのではないかという疑いがある。花粉症の症状の現れ方は年によって軽重があるが、花粉症の症状が現れて何年かすると、風邪をひくと咳だけが長引くようになったりする。咳喘息というのだそうだが、重傷化すると気管支喘息に移行することもあるという。花粉症はなかなか油断ならないヤツかもしれない。