望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

鼻血と健康

 だいぶ以前のことだが、職場で鼻血が出て、洗面所に行き、濡らしたタオルで鼻を冷やしていたことがある。そこで、通りかかった人から「大人の鼻血は何かあるかもしれないから、病院へ行ったほうがいい」とアドバイスされた。不安に思ったが、体調に変わったところもなく、どこかが痛むこともなかったので、そのままにした。幸いにもその後、体調に異常はなく、多めの鼻血が出ることもなかった。



 鼻血にも、強く鼻をかんだ時にティッシュに血がにじむようなケースから、一滴が垂れて来たり、さらには鼻からの大量出血までと様々な状態がある。大量出血の場合は、すぐに病院へ行ったほうがよさそうだが、強く鼻をかんだり、冬場の乾燥している時などに鼻をかんだティッシュに血がにじむケースなら、そう珍しくもない。つい鼻をほじくって粘膜を傷つけることもあったりする。



 「大人の鼻血は何かある」というのは、何かの病気によって鼻血が出やすくなることがあるから注意すべきということ。例えば、白血病血友病、高血圧、脳梗塞脳出血、鼻の中の悪性腫瘍などが関わっている場合があり、何もしないのに鼻血が出て来たり、鼻血を繰り返すようなら、病院へ行って診察を受け、早期発見に務めることが大切だ。



 腎臓病や肝臓病の人も鼻血を出しやすく、鼻血が腎炎や肝硬変などのサインとして現れるという。鼻の奥の動脈から大量出血した場合は、すぐに病院に行って専門医の処置を受けるしかない。さらに、頭部を強打した時に頭蓋骨の底部が骨折して鼻血が出ることがあり、これは生命に関わるので、すぐに脳神経外科に運ぶこと。



 糖尿病でも血管がモロくなり、鼻血が出やすいという。また、アレルギー性鼻炎副鼻腔炎蓄膿症)、花粉症などでも、鼻の中の粘膜が炎症を起こし、傷つきやすくなるとか。スギ花粉症の患者は増え、3000万人以上ともされるので、鼻づまりに悩んで鼻をかみすぎて粘膜を傷つけている人もけっこう、いそうだ。



 鼻の中の粘膜にある血管は細く切れやすいので、鼻血は珍しいものではないが、たらりと鼻から血が垂れて来た時などにはギョッとするものだ。一説には鼻血の9割が粘膜の毛細血管からの出血というので、いちいち大騒ぎすることはなさそうだが、中には体の異変の徴候を示す場合もある。突然の鼻血に不安が募ったり、鼻血が繰り返して不安な時は、病院に行って診察を受けたほうがいい。