望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

日本を覆う第3波

 国内で確認された新型コロナウイルス感染者数が21万人、死者数は3100人を超えた(24日現在)。東京など首都圏では感染拡大の勢いが止まらず、東京5万4018人、神奈川1万8227人、埼玉1万2482人、千葉9712人と増えた。1都3県で計9万4439人となり、日本全体の44.8%を占める。接触感染や飛沫感染は人口密度が高いほど増えるだろうから、治療薬がない状況で大都市での感染拡大は当然か。

 感染者数が多い順に全国を見ると、東京5万4018人、大阪2万8167人に続いて、神奈川1万8227人、愛知1万4936人、北海道1万2618人、埼玉1万2482人と1万人を超えた。さらに千葉9712人、兵庫8767人、福岡7852人、沖縄5101人と続き、京都4110人を加えた11都道府県で17万5990人となり、日本全体の83.5%。

 人口が多い都市部や観光客が多い道県で感染者が増えているようにも見えるが、茨城・栃木・群馬や岐阜・三重・滋賀など大都市周辺県でも感染者が増え、さらに広島や岡山、長野、熊本、石川、鹿児島などでも増えている。感染者が最も少ないのは鳥取79人で、100人以下は鳥取だけになった。1000人未満は24県だが、石川や滋賀、鹿児島は900人台でクラスターが発生すれば、すぐに1000人台に乗る。

 感染経路を徹底的に解明することを続ければ感染拡大を抑止する効果的な対策が見えてくるだろうが、感染者の大幅増加のなかで濃厚接触者を細かく追うことができなければ、感染経路を追うことは難しい。増える感染者の対応に保健所も医療機関も手一杯となり、感染経路不明が増えるなら、その地域で何が効果的な対策なのかが見えなくなる。

 「Go to トラベル」中断で全国的な人の移動は抑制されようが、多くの人が留まる都市部での感染拡大抑止における効果は限られよう。だから繁華街などでの飲食店の営業時間短縮などを行政は要請するが、感染経路不明が増えれば、居酒屋などの利用客をさらに減らしたところで、どれほど感染減少の効果があるのか不明だ。

 北海道での感染拡大で可視化された第3波は、すぐに首都圏や大阪、愛知などで猛威を振るい始め、地方にも広がっている。PCR検査数の増加と感染者数の増加には相関関係がありそうだが、そうした検証は乏しい。軽症者や無症状者が圧倒的に多いとされる一方、死者も重傷者も増えているというので、地域によっては医療崩壊も懸念されるようになった。規制に強制力を持たせる法改正も議論され始めた。

 人々の外出や企業活動を制限して、人と人が接触する機会を極力少なくすることで第1波を何とか乗りきった日本だが、その代償は大手企業も含め大幅な赤字決算の続出で、街中には廃業した個人商店が珍しくなくなった。失業した人は増え、政府の援助に頼るしかない人々や企業が膨れ上がる。借金まみれの日本が無尽蔵に金をばら撒けば、いつかはツケを社会が払わなければならなくなる。このパンデミックは人々の健康だけではなく、社会のあり方も脅かしている。