望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

世界でも繰り返す波

 世界の累計感染者数は1億9819万人で、累計死者数は422万人だ(8月2日現在。以下同)。累計感染者数が多いのは米国3497万人、インド3165万人、ブラジル1991万人で、この3国だけが1千万人を超えており、3国で世界の43.7%を占める。次いで多いのがロシアとフランスで620万人、英国590万人、トルコ572万人、アルゼンチン492万人、コロンビア478万人、スペイン444万人、イタリア435万人、ドイツ377万人などとなる。

 世界各地で感染拡大の波は繰り返している。大規模なワクチン接種により感染拡大を抑制できるとの期待があったが、若者らワクチン未摂取者の間で感染が拡大していると各国で報じられ、さらにワクチン摂取者は感染しても無症状が多いので感染源になるとの懸念も指摘されている。

 米国では新規感染者数が8万人/日になり、感染拡大が鮮明になっている。このままでは30万人/日になるとの予測もあるそうで、再び人々にマスク着用を呼びかける州や企業が増えているという。一方、共和党が強い州ではマスク着用やワクチン接種の義務化に消極的だと伝えられ、感染拡大対策が政治問題化しており、全米規模で感染を抑制できる見通しはぼやけている。

 インドでは4〜5月の40万人前後/日の感染爆発は収まったが、それでも4万人/日ほどの新規感染者が出ている。その感染爆発はデルタ株によるものとされるが、デルタ株は世界に広まり、120カ国以上で確認されたとWHO。感染力が従来株より強いとされ、さらに感染拡大が続き、数週間で2億人以上が感染するとWHOは予測する。

 ブラジルでも新規感染者は多かった6月より減っているが、それでも3万〜4万人/日ほど出ている。ワクチン接種が遅れ、冬が到来した状況は厳しいが、ボルソナロ大統領はじめ中央政府は感染対策の推進に否定的で、いわば放置状態が続いている。死者数は55.6万人と米国61.3万人に次いで世界で2番目に多い(インドは42.4万人)。

 ワクチン接種が進む英国で新規感染者は1月に5万人台/日だったが、その後、1万人/日を下回り、規制解除へと動いた。6月半ばから再び増加し始め、7月中旬にまた5万人/日を超えたものの最近は2万〜3万人/日。死者や重症者が増えていないことから規制解除を見直さないと政府は主張する。ただ感染者が増えて濃厚接触者として自己隔離を求められる人も増えて食品や日用品などの流通に影響が出ているという。

 昨年1月の感染確認以来、世界は緊急事態として感染拡大抑止を最優先させてきたが、COVID-19の終息のメドは立たない。ワクチン接種には重症化を抑制したり感染率を低下させる効果はありそうだと見えてきたが、変異を繰り返すウイルスは手強く、マスクを着用せずに会話や飲食を楽しむことができる日がいつになるのか見通しはつかない。