望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

人の自由な移動

 日本の新型コロナウイルスの感染者数は39万人、死者数は5800人を超えた(2月1日現在)。東京の感染者数は10万234人と10万人を超え、全国の4分の1を占める。埼玉2万5363人、千葉2万2531人、神奈川4万983人を加えると首都圏1都3県で全国の48.3%とほぼ半分。通勤通学などで日々の人の移動が多い首都圏だから、接触感染や飛沫感染が抑えられず感染が広がるのは当然か。

 首都圏以外でも人口密度が高い大都市で感染者の大幅増加が続き、大阪4万3966人、兵庫1万6538人、京都8515人、愛知2万4127人、福岡1万6239人の2府3県で10万9385人。これは全国の27.9%を占め、首都圏1都3県と合わせると全国の感染者の4分の3以上が大都市に集中していることがわかる。第3波の流行が最初に顕著になった北海道は1万7521人だが、その56%が札幌市で出ている。

 これらの1都1道2府6県が1万人を超える感染者を確認している。次に多い県は沖縄7591人。茨城4846人、広島4828人、静岡4612人、岐阜4137人の4県が4千人台で続き、群馬3892人、栃木3774人、宮城3416人、熊本3343人、奈良3005人が3千人台。首都圏1都3県の感染急増が茨城、群馬、栃木の感染増加につながっていると見え、宮城や静岡も首都圏からの人の移動が多い。

 2千人台は岡山2345人、長野2291人、三重2203人、滋賀2139人の4県、1千人台は宮崎1832人、福島1735人、鹿児島1632人、長崎1530人、石川1466人、山口1240人、大分1166人、和歌山1066人の8県。広島で感染者が急増し、隣接する岡山、山口でも増えている。九州では福岡と沖縄以外は少なかったが、熊本で感染者が増えてから各県でも感染者が増えている。

 千人以下は愛媛995人、佐賀953人、新潟912人、山梨902人、富山873人、高知851人、青森717人、香川655人、福井517人、山形506人、岩手496人、徳島386人、島根269人、秋田261人、鳥取202人。四国4県では感染者数が少なかったが、各県で徐々に増え、愛媛が四国初の1千人台になりそうだ。佐賀が1千人台に乗れば、九州全県で1千人未満の県がなくなる。鳥取、秋田、島根の3県は1年前に感染が拡大して以来、感染者数の最小近辺で推移している。

 東日本では東北で感染者が少なく、西日本では中国、四国、九州で少なかったが、第3波は大都市中心に感染者数を大幅に増加させるとともに、全国でも徐々に感染者を増やしている。元日には全国で感染者23万9千人、死者3500人を超えたが、この1カ月間で感染者は15万人、死者2300人以上も増えた。外出や飲食店営業の自粛などは対症療法でしかなく、何が感染爆発の要因なのか解明しなければ感染の終息はない。だが、日本でも世界でも模索が続くだけだ。

 休日や休暇などで人の移動が活発になると、やがて感染急増が起きる現象は日本でも世界でも同じだ。強権で人々の移動を監視し、制限する中国は感染を抑え込んだと主張するが、そんな抑圧された社会で暮らしたいと望む人は少ないだろう。人々が自由に移動できる社会を維持しながら、どう感染を抑制するかが問われている。