望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

外国人の住宅購入規制

 外国人による住宅など不動産の購入は日本でも増加している。北海道では森林202haのほか観光施設、ゴルフ場、土地などが中国資本に買収されていると報じられ、対馬では韓国人観光客が大幅に増加し、民宿やホテル、飲食店、民家など不動産が次々に韓国資本に買収されていると報じられた。

 外国人が土地など不動産を購入することを制限している国は世界に珍しくない。外国人の土地の取得が認められない国があり、土地の借地権の取引のみが許されている国、投資額の下限制限が設けられている国、外国人のみでは土地を所有できない国、外国人は土地は所有できないがコンドミニアムなら所有できる国、非居住者の購入を制限している国、軍事施設周辺や自然保護地域など外国人が取得可能な地域を制限している国、外国人の不動産購入に課税する国など様々だ。

 日本は外国人の不動産所有の制限がごく少なく、外国人がほぼ完全な所有権を持てる国だという。どこの国に住むかは個人の自由であると考えるなら、外国人の不動産取得は世界中で自由であるべきだろう。とはいえ、非居住者の投機の対象になったり、外国人の不動産購入で、そこに住む人々の生活に支障が生じているのなら、何らかの対策が求められるのは理解できる。

 偏狭な「愛国心」から外国人の不動産取得を批判・否定するのではなく、資本や個人の自由な移動を容認する世界になっていることを踏まえつつ、外国人の不動産取得に伴う問題を挙げるなら、①適切に納税がなされているか、②関連法規を遵守しているか、③治安や防衛面などでの阻害要素を含んでいないか、などだろう。

 日本が気に入り、日本に住むと決めた個人が各国から日本に移住するのは歓迎すべきことだろう。不安や懸念が生じるのは、不動産を取得した個人や企業の正体が不明であったり、居住の実態がなかったり、法規など日本のルールを無視している場合だ。外国人の不動産取得と排外主義を絡ませないためには、行政の適切な対応により処理可能だと示さなければならない。