望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

世界が「日本化」する

 こんなコラムを2002年に書いていました。

 国連安保理も「承認」したことでアメリカのイラク攻撃は時間の問題となった。中間選挙の結果からしアメリカ国民はイラク攻撃を支持しているようだ。そりゃ、そうだな。“必ず勝てる戦争”だろうから、行け、やれぇってなところか。石油も手に入るし。

 アメリカはフセイン体制崩壊後のイラクでは日本型占領策を検討していると報じられた。それはアメリカが日本を「民主化」したことを指しているようだが、現在の日本も含めて考えると意味深である。現在の日本は、軍事的にはアメリカの保護下(支配下)にあり、外交的には米国追従、政治的にはアメリカの強い影響下にあり、経済的には米国依存度は高いものの自立している。なるほど、アメリカにとっては好都合な存在である。

 フセイン体制崩壊後のイラクアメリカの思惑通り「日本化」されるのかはともかく、「日本化」はイラクはもとより欧州であれ、中東であれ、アフリカであれ、アジアであれ、世界のどの国で起きてもアメリカにとっては望ましいだろう。

 突出した軍事力を持つアメリカに対抗できる国は現在、ない。中国は経済的に対米依存が進みアメリカと敵対できない国となり、ロシアもアメリカの支援が頼り、政治的に欧州の一部の国がアメリカに異論を唱えてみせたりするが、アメリカを動かす力はない。無視されるだけだ。国連を含め国際機関や条約などは、アメリカに都合のいい場合にのみ、アメリカは尊重する。

 つまり世界が「日本化」しているのである。軍事的にはアメリカの支配下にあり、外交的にはアメリカの意に逆らえない(逆らえば、アメリカが無視するだけ)。政治的には、自由と民主主義をアメリカが振りかざしたときに、反論できない。経済的には、アメリカは収奪するのみ。

 世界が「日本化」しているのは、アメリカの「帝国」化が進んでいることの結果である。敗戦の後、日本が勝者のアメリカに隷属したように、冷戦の唯一の勝者のアメリカに世界が隷属するのである。