望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





四ツ葉マーク

 警察庁が2010年に発表した高齢運転者標識の「もみじマーク」に代わる新デザインは1万4千点以上の公募案から選ばれたものだという。四ツ葉のクローバーに、シニアのSを組み合わせてデザインされたという新デザインは、「もみじマーク」より凝ったものだが、目先を変えただけでしかない。



 高齢運転者にマーク装着を促し、他のクルマと選別するのはなぜか。高齢者は加齢で身体機能が低下し、運転に支障を及ぼす恐れがあるから……と高齢者マークを表示するよう一度は改正道交法で義務づけられた。簡単に言えば、高齢者が運転するクルマに周囲は注意する必要があるから、マークをつけるようにした。



 社会の高齢化の進展とともに高齢者の運転免許保有者は増え、高齢者の運転による事故も増えているそうだ。でも、高齢ドライバーの人数が増えたのだから、高齢者による事故も増えるのは当たり前だ。

 メディアでは高齢ドライバーによる高速道路の逆走やアクセル・ブレーキの踏み間違いなどによる事故が報じられる。高速を逆走した高齢ドライバーの中には、高速だとも逆走だとも気づかずに走っていた人もいたとか。



 高齢者の交通事故防止ブログによると、高齢者の交通事故の特徴は、1)交差点での出合い頭事故や右折時の事故にかかわる割合が高い、2)信号、標識の見落としが多い、3)安全不確認、一時不停止の割合が高い。永年の運転の慣れから一時不停止による事故が多い、4)運転機能の低下からくるハンドル・ブレーキ操作不適による事故が多い、5)「狭い道路での信号機のない中小規模の交差点」「カーブ」での交通事故が多い、6)夕方5時台が、最も高齢者の死者数が多い。



 これらは高齢だけが原因とも言い切れないだろうが、高齢者の事故が増えていると聞かされると、高齢者の運転する車に対する注意喚起もありかとも思う。でも、それなら未熟練の女性ドライバーはどうなの?とか、免許を取って慣れた頃の3年内の事故が多いと聞くと、初心者マーク装着は1年だけでいいの?なんて疑問も出てくる。



 現在、初心者マークと聴覚障害者マークは装着が義務づけられ、高齢者マークと身体障害者マークは装着が奨励されている。そのうちに、「赤ちゃんが乗ってます」マークも法制化され、サンデードライバーマークも義務化され、事故を起こした経験のあるドライバーには事故喚起者マークなんて義務化され、ついでにドライバーの違反点数の車体への表示も義務化されたりして。



 運転に不慣れなドライバーや、周囲が注意する必要がある車などにはマーク装着の意味があるのかもしれないが、細かく個別のマークを設定するより、一つに統一したほうが良い。初心者マークも高齢者マークも他のマークも一つのマークに統合するのだ。



 最も知られているのは初心者マークだろうから、これに統合するのが良い。周囲のドライバーに注意を促し、幅寄せなどを禁止して、当該車両への注意喚起と保護を促す統合マークとする……でも、個別にマークを設定することで関連団体の仕事を創出することができるので、警察関係の天下りと関わってくるかもしれないなあ。そうなると、マークを減らすなんてことはできっこないか。