望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

モー娘狂想曲

 こんなコラムを2001年に書いていました。

 森首相の辞任が先だと思っていたら、中澤がモー娘を辞める方が先になりそうだ。この2人に共通点は、ない。一方は最初から資質、人格を疑われ、その疑いに応えて(?)首相にはふさわしくない人物であることを自らの言動で実証してみせた。もう一方は、グループでただ1人だけ「娘」を演じていたのに疲れたというところか。

 このモー娘は素人参加のテレビ番組から生まれ、メンバーの脱退、募集を繰り返しているのは衆知のところ。前回の追加メンバー募集には大層な応募があったそうで、こうなると視聴者がメンバー予備軍ともなって、乗用車のモデルチェンジのように2年毎くらいに追加メンバー募集を行うことで、人気を支えていくのかもしれない。そのうち脱退したメンバーを集めて、元祖モー娘とか本家モー娘なんてグループも結成できるようになるかも。

 モー娘は素人娘の集まりだったが、芸能界は「売れれば勝ち」。現在はトップアイドルに列せられ、下にも置かぬ扱いーになるはずが、実際は出演番組に「いじられる」扱いのタレント。プロダクションやレコード会社のガードが甘いーのではなく、プロダクションやレコード会社も「使い捨て」としか見ていないのさ。なにせ、「いじられて」つぶれたとしても補充は幾らでもできる。追加メンバー募集で、人気のてこ入れにもなる、か。

 モー娘は芸能人というものが、人気という池に浮かぶ花びらに過ぎないことをはっきり見せる。沈めば、どこかから代わりを持って来ればいい。そうしたはかなさが陰影となって華やかさを際立たせる。